【目次】
・平均寿命が延びると老後も長くなる
・老後の生活にいくらかかる?
・必要になるお金は?
・将来もらえる年金はいくら?
・老後の資金を貯める方法
・投資も老後の資金作りにおすすめ
平均寿命が延びると老後も長くなる
一般的に、「老後」とは、定年退職後の人生を意味します。年金受給開始年齢から平均寿命までが、老後資金の計算などでよく使われる期間です。
したがって、平均寿命が延びると、老後の期間も長くなります。日本の男女別平均寿命を知り、老後として考えておくべき期間を確認しましょう。
男女の平均寿命
厚生労働省の資料によると、2019年における日本人の平均寿命は、男性が81.41歳、女性が87.45歳です。男女とも平均寿命は毎年前年度を上回っており、1947年に比べると30年以上も延びています。今後も平均寿命はさらに延びていくと予想されています。
老後資金の計算では、平均寿命を参考に、85~90歳まで生きた場合を考えるのが一般的です。85歳なら老後は20年、90歳なら老後は25年となります。
出典:令和元年簡易生命表の概況(PDF) 1 主な年齢の平均余命|厚生労働省
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老後の生活にいくらかかる?
総務省の「家計調査報告(家計収支編)」から、2019年の高齢者世帯における平均実支出が分かります。
夫婦世帯と単身世帯に分け、老後の生活にいくらぐらいかかるのかをご紹介します。
出典:家計調査報告(家計収支編)2019年(令和元年)平均結果の概要
夫婦に必要な金額
総務省の調査結果によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上・妻60歳以上)の実支出は、月額平均で約27万円です。持ち家がある世帯を対象とし、衣食住に必要な最低限の金額や、税金・保険料などの平均額を反映したデータです。
老後の期間を20年とすると、生活に必要な金額は「約27万円×12カ月×20年=約6480万円」と算出できます。
老後資金としては、生活費のほかに、医療・介護費用や葬儀費用も考えておかなければなりません。介護費用を1人500万円、葬儀費用を1人100万円とすると、夫婦に必要な老後資金は「約6480万円+(500万円+100万円)×2人=約7680万円」となります。
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単身に必要な金額
2019年における高齢者単身無職世帯(男女60歳以上)の実支出は、月額平均で約15万円です。高齢夫婦無職世帯と同様に、持ち家がある世帯での最低限必要な金額や、税金・保険料の平均額を示しています。
高齢者単身無職世帯が老後20年間で必要な生活資金は、「約15万円×12カ月×20年=約3600万円」です。
介護費用が500万円、葬儀費用が100万円かかるとすると、単身に必要な老後資金は「約3600万円+500万円+100万円=約4200万円」となります。
必要になるお金は?
老後の生活に必要なお金には、「生活資金」「医療費・介護費用」「葬儀費用」などがあります。
それぞれの内容を詳しくチェックしておきましょう。
日常にかかる生活資金
まず必要になるのが、家賃や食費などの生活資金です。具体的には、食費・住居費・水道光熱費・家具家庭用品・被服や履物・交通費・教養娯楽費などが含まれます。特に、旅行や趣味など充実した老後を過ごそうとすると、その分資金も多く必要になってきます。
家のリフォームや車の維持費用など、イレギュラーに発生する出費にも注意しましょう。また、子どもの結婚新居の購入、孫の誕生などでまとまった金額が必要になる場合もあります。
医療費や介護費用
老後のお金について考えるとき、若い頃よりシビアに考えなければならないのが、「病気になった場合の医療費」と「体が思うように動かなくなったときの介護費」です。
確かに年を取ると医療費の負担自体は減るかもしれません。原則的に70歳以下では3割、70~75歳で2割、75歳以上で1割負担しなければいけません(2020年12月時点)。年を取って体が弱ったり、病気になったりすることが増えることを考えると、決して少なくない金額となることも考えられます。
また、年を取るごとに要介護・要支援の認定を受ける人が増えてきます。介護を受ける場合、介護保険があるため、所得に応じて1~3割の自己負担となり、実際には多くの人が1割負担で介護サービスを受けています。
ただし9割が介護保険で賄えるといっても、介護度に応じて限度額があり、その限度額を超える分については10割負担でサービスを受ける必要があります。
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葬儀費用
葬儀費用の準備がないと、残された配偶者や子どもが費用を捻出することになります。ある調査機関によると、葬儀にかかる費用の総額は平均200万円という結果も。
例えば、身内だけの家族葬にしたとしても、参列者が少なく香典が集まらないため一般葬と変わらないコストになる可能性もあります。やはり、残された家族のためにも葬儀費用は残しておきたいものです。
新たにお墓を建てることになった場合は、さらにコストがかかるようになります。
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将来もらえる年金はいくら?
老後の収入の大半を占めるのが、「年金」です。
将来もらえる年金額について、厚生労働省の資料を参考に、厚生年金と国民年金に分けて解説します。
厚生年金
厚生年金は、会社員や公務員など、組織に所属して働く人が加入する公的年金です。原則として、65歳から受給が開始されます。厚生労働省の「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2018年度の平均年金月額は、約14万6000円です。
年代別の平均月額は、65~69歳が約14万5000円、70~74歳が約14万7000円、75~79歳が約15万4000円、80~84歳が約16万2000円、85~89歳が約16万5000円となっています。年齢が高くなるほど厚生年金の受給額は高くなるため、今後高齢化が進むと、受け取れる金額はさらに少なくなるかもしれません。
厚生年金の受給額は、保険料の納付月数に加えて収入額も影響することから、給与所得が多いほど受給額も増えます。
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国民年金
国民年金は基礎年金とも呼ばれ、20歳以上60歳未満の国民全員が加入する年金です。自営業者・専業主婦・学生などは、国民年金に加入します。会社員や公務員は、現役時代に納付する保険料に国民年金も含まれているため、厚生年金分と国民年金分の両方を受け取れます。
厚生労働省の資料によると、2018年度の国民年金における平均月額は、約5万6000円です。厚生年金と異なり、年代別の平均月額にも大きな差はありません。
国民年金の受給額は、保険料の給付月数のみで決定されます。年金を受け取るために必要な期間である「受給資格期間」は、かつては25年でしたが、現在は10年です。
老後の資金を貯める方法
年金収入だけでは、老後の生活が心配な人も多いでしょう。老後に安心した生活を送るためには、できるだけ多くの資金を貯めておく必要があります。
老後資金を貯める代表的な方法を紹介します。
できるだけ長く働く
60~65歳で迎える定年後も働き続ければ、収入が途切れないため、年金収入の不足分を補えます。継続雇用制度を採用している企業で働いているなら、そのまま同じ職場で働く方法があります。一般的に給料は下がりますが、環境を変えずに慣れた職場で働けます。
ハローワークの高齢者向け再就職支援制度を利用するのも1つの方法です。特技を生かした仕事に就きやすいほか、再就職をサポートするための職業訓練も行っています。
ほかにも独立して起業したり、パートやアルバイトで働いたりといった方法もあります。
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家計を見直す
支出項目の中で出費を減らせる項目があれば、家計への負担が軽減されるため、家計に余裕が生まれます。無駄な部分はないか、家計を見直してみるのも大切です。
定年後はライフスタイルが大きく変わるため、住宅費・保険料・通信費・交通費などをチェックすれば、削れる部分が数多く見つかるでしょう。住宅費に関しては引っ越しやローンの借り換えができないか、保険料なら保障内容の変更ができないか、自動車を買い替えて交通費を安くできないかなど、検討できることはさまざまです。
生活費の中でも、固定費に分類される費用を見直せれば、1度見直すだけで大きな節約効果が得られます。
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貯蓄する
現役時代からコツコツと貯蓄しておけば、老後の資金の大きな足しになります。確実に貯蓄を積み上げていくためには、貯蓄分を給料から天引きするタイプの「先取り貯金」がおすすめです。
財形貯蓄や積立定期預金なら、指定した金額を毎月の給料から自動で引き出し、積み立てに回せます。容易に引き出せないタイプのものが多いため、貯蓄しやすいことがメリットです。
個人年金保険などの私的年金も検討してみましょう。公的年金と同様に、60~65歳まで保険料を支払い、老後に年金として受け取れます。保険料・年金額・受取期間などに選択の幅があるほか、節税効果が期待できることも特徴です。
投資も老後の資金作りにおすすめ
NISAやiDeCoを活用すると、節税効果により投資効率が飛躍的にアップします。
投資で老後資金を増やすなら、NISAとiDeCoの基本的な仕組みや特徴を理解しておきましょう。
NISA(ニーサ)
2018年1月からスタートした、主に少額からの投資を支援するための税制優遇制度であり、正式名称は「つみたてNISA」です。
毎年40万円を新規投資額の上限とし、2037年までの最長20年間が積立期間に定められています。40万円×20年間=最大800万円まで、非課税で運用できることがメリットです。金融機関によっては100円からの少額積立が可能であることや、いつでも現金化できることなどから、投資初心者に人気があります。
ただし、限定された商品の中から、自分で投資先を選ばなければなりません。非課税期間が最長20年に限定されているため、長期運用には向かないこともデメリットです。
【資産形成のイロハ】「老後までに3,000万」よりも「10年で1,000万円」。制度活用で〝節税&1,000万円〟を目指す
iDeCo(イデコ)
個人型確定拠出年金「iDeCo」は、確定拠出年金法に基づき実施される私的年金制度です。20歳以上60歳未満であれば、誰でも加入できます。
掛金を毎月積み立てて運用し、60歳以降に積立金や運用益を受け取れる仕組みです。最低5000円から積み立てられるため、投資に回せる資金が少ない段階からでも始められます。積立金は全額所得控除の対象となり、運用益は全額非課税です。積立金や運用益を引き出した際にも所得控除を適用できるなど、税制上の大きな負担軽減効果を期待できます。
60歳になるまでは原則として途中解約できないことや、積み立て可能な金額に上限があることなど、デメリットにも注意が必要です。
老後資産や子どもの教育資金、どうしたらいい!? プロが教える【資産形成のイロハ】
世界的に富裕層は資産形成するのに利回り4%以上で運用している
富裕層が資産形成するのに利回り4%以上で運用しているのに対し、低所得者層は利回り1%以下で運用していると言われています。
例えば貯金して始めようと考えた場合、金利0%で月14万円を30年間貯めると、合計5,000万円 になります。又、金利 5%で運用したら月6万円で合計5,000万円が作れるのです。老後に必要なお金は「貯める」という発想ではなく「産む」という考えが必要です。「お金を産むニワトリを飼うとよい」とはよく言ったもの。
わたしのおすすめは不動産投資。20代~40代の若いうちから不動産投資をすれば、ローンを使い購入したとしても30年の期間が終れば、残債もなくなり、その時点でその不動産を売却すれば老後資金も出来てしまうわけです。ぜひ不動産投資で100年時代と言われる老後を楽しみましょう。
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中山長盛
1966年5月11日生まれ。青森県出身。20歳で東京へ上京し、アパレル業界に飛び込み38歳で不動業界に転身 。43歳で独立し、年商10億円の不動産投資会社を経営。現在も、「人生良くなるセミナー」を開催し、楽しい老後を作るお手伝いに活動中。