「鯵」を知るための基礎知識
鯵は「アジ」と読みます。スズキ目アジ科の魚です。背がうっすらと青く、身も青味がかっているため青魚のひとつとして挙げられます。
鯵の名前の由来はいくつかありますが、味がよいからという理由が一般的に知られています。刺身から塩焼き、フライなど、どのような食べ方をしてもおいしく食べられるのは、やはり元々の味がよいからといえるでしょう。
スーパーや鮮魚店では鯵は一年中見かけますが、6月~8月ごろが旬といわれています。この時期に獲れる鯵は、通常よりも味がよく、うまみが濃い傾向にあります。ただし、身自体は大きくはなく、ほかの季節の鯵と比べると小ぶりです。
日本で漁獲される鯵は、回遊している場所によって瀬付き鯵と外洋鯵に分けられます。瀬付き鯵とは、日本沿岸の内湾にすみ着いている鯵です。見た目がやや黄色っぽく、身が厚めで脂の乗りがよいとされています。
一方、外洋鯵は外洋を回遊しているため、身が引き締まり、脂の乗りはあまりよくありません。また、見た目は少し黒っぽいという特徴があります。
■鯵の種類
日本で食べられる鯵は、主にマアジとムロアジ、シマアジが一般的です。
マアジは鯵のなかでも定番とされ、北海道から九州まで広く分布しています。体長は30cmほどと小ぶりで、透明感のある青白い身は、刺身や握りずしなどのように生でもおいしく食べられます。ただし鯵は傷みやすいので、生食するときは鮮度がよいものだけに限るようにしてください。
ムロアジは九州地方で漁獲されることが多い鯵です。血合いが多いため、身もあまり白くはありません。早く傷んでしまうので、流通量は少なく、地産地消されることが多いです。また、40cm~50cmと大きめで、マアジと比べると細長い形状です。
シマアジは、魚体全体に黄色い縞模様が見られるのが特徴です。シマアジは鯵のなかでも希少種で、とりわけ体長が大きいものは高額な値がついています。マアジやムロアジと比べると身が透明で美しく、上品で青臭い後味がないことから高級料亭などでも供されることが少なくありません。
■おいしい鯵を見分けるコツ
基本的に鯵は何でもおいしいのですが、傷みやすいため、鮮度が高い鯵を見分けることが大切です。新鮮な鯵かどうかは、目を見るとわかるといわれています。目に濁りがなく、球形に盛り上がっているものを選びましょう。
また、エラの色もチェックしてみてください。エラが鮮やかな紅色の鯵は新鮮で、時間が経過すると茶色~黒になります。
鯵全体のフォルムも見てみましょう。新鮮な鯵は立体感があり、身が引き締まったような印象があります。時間が経過すると平たく、弾力が低下してしまうため注意が必要です。
身に傷がないことも要チェックです。傷があると雑菌が繁殖している可能性があります。尾びれや背びれにも傷がないか確認してみてください。
鯵料理はどんなものがある?
鯵は傷みやすい点が気になります。寄生虫などがいる可能性も想定されるため、鮮度にこだわって選ぶことはもちろんのこと、刺身や握りずしなどは専門店で食べるようにしましょう。
安心して鯵を味わうためにも、家庭では加熱もしくは薬味をふんだんに使った調理法がおすすめです。鯵といえばコレといえる、定番メニューをご紹介します。
■鯵の南蛮漬け
さわやかな酸味がおいしい南蛮漬けは、鯵の定番料理です。しっかりと揚げてから調味液に浸けるため、深い味わいが魅力です。
■鯵のなめろう
おつまみとしても人気のなめろうは、千葉県の郷土料理です。鯵以外にも、カツオなどでもつくります。
■アジフライ
お弁当にも定番のアジフライ。味が濃くなる旬の時期は、多めにつくって家族みんなで味わいましょう。
■鯵の塩焼き
シンプルに鯵のおいしさを楽しむなら、塩焼きが1番です。小さな子供やお年寄りがいるご家庭では、小骨を丁寧に取り除いてから焼いてください。
鯵を味わい尽くそう
おいしい鯵は、夏ごろが旬の魚です。気軽に食べられるマアジだけでなく、地域が限定されるムロアジ、シマアジなどもぜひ味わってみたいところ。
▼あわせて読みたい