所感とはどんな意味?
報告書などを作成する際、上司から「所感を記入するように」と言われ、戸惑ったことはありませんか? 所感はビジネスシーンでよく使われており、報告書以外にスピーチなどでも多用されています。
所感を作成するとなると、自信を持ってできるという人は案外少ないかもしれません。所感の構成や書き方をマスターし、周囲から信頼を得ることにつなげたいですね。まずは、所管の意味や「感想」との違いを見ていきましょう。
所感とは、「事に触れて感じた事柄」のこと
所感を辞書で調べたところ、次の意味があることがわかりました。
しょ-かん【所感】
1:事に触れて心に感じた事柄。感想。「—を述べる」「年頭—」
2:仏語。行為が結果としてもたらすもの。
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
所感は「感想」と同じ意味合いを持つ言葉と紹介されていますが、ビジネスシーンでの使われ方は異なります。
ビジネスシーンにおける「感想」との違いは?
ビジネスシーンにおいて、所感と感想は少し異なる意味で使われています。
【ビジネスシーンにおける所感】感じたことに加え、今後の活かし方も述べる
【ビジネスシーンにおける感想】感じたこと
「所感を述べるように」と指示されて、感想だけを書くと、「感想じゃなくて所感を書いて」と報告書を返されることがあるのは、所感には「今後の活かし方」が必要だから。自分なりに考えた改善策や活かし方が入っていることが重要になります。
ビジネスシーンで所感を求められるのは?
ビジネスシーンにおいて、所感を求められるのはどのようなケースでしょうか。
日報
その日の仕事の取り組みを報告する「日報」。ほとんどの場合、日報には所感を述べるよう指示されます。その日の仕事を通して、どのような発見や気づきがあり、それを今後どのように活用するのか、具体的に述べなければなりません。
日報における所感は、業務内容を通して気づいたこと、成功や失敗の原因分析などに、今後それをどう活かしたいと考えているかを加え、これらを平易な言葉で述べるとよいでしょう。
各種報告書
出張や研修に行った際に、報告書などで所感を求められることがあります。出張先や研修で何を学んだかを報告したうえで、その学びを今後どのように活かすのか、自分の意見を述べるといいですね。
スピーチ
朝礼や何かしらの式典などでスピーチをする際も、所感を盛り込みます。テーマを決め、根拠となるデータの報告をし、そこから要因の分析や自分の意見を伝えます。
スピーチで大切なのは、短時間でわかりやすく伝えること。情報量が少ないと時間を持て余しますが、多すぎる情報量は聞き手を疲れさせてしまいます。情報量のバランスは最大限注意を払う方とベター。
スピーチに使う時間の指定がない場合は、3分程度を目安に考え、話す準備をするとよいでしょう。
所感はどう書く?
報告書などで所感を述べる場合、どのように書けばよいか、もう少し詳しく見ていきましょう。
まずは、所感の構成を考えよう
所感を作成する際、何も決めずにいきなり書くと、途中でまとまらなくなったり、何を書けばいいかわからなくなったりすることがあります。それを避けるためにも、事前準備として、所感の構成を考えてから書き始めることをおすすめします。
所感の構成は、次のように考えるとスムーズです。
▷1:まずは事実を書く
研修や出張、業務などで経験した事実を書き出します。時系列で書くことを意識すると、まとまりやすいですよ。
▷2:結果を書く
経験から得た気づきや感想、発見したこと、学んだことなどを書きます。「楽しかった」「勉強になった」などで終わるのではなく、具体的にどう感じたのか、具体的に何をよいと感じたのかを書くよう意識します。
▷3:反省や気づき
結果から得た反省や課題、問題点などを明らかにします。ここでも、何に対してどう反省したのか、具体的に書くようにしてください。また、問題点や課題については、根拠となる理由も示すとよいでしょう。
▷4:次への展望
所感の大切な部分です。反省や気づきを得て、それを今後どのように活かすかを書きます。課題や問題点の改善策に加え、それを具体的にどのように実行するのか、プランの提案にも触れることを意識してください。
所感の書き方のポイントをチェック
所感を書く際に押さえておきたいポイントをチェックしましょう。次の4点を意識しながら書くと、相手に上手く伝えることができるはずです。参考にしてください。
▷気づきや学んで得たことを書く(結論ファースト)
ビジネスシーンでは、報告などは結論から先に述べるのが鉄則とされています。所感の場合は、「結論=気づきや学んで得たこと」が該当します。いろいろな視点から物事を見て、何か発見しようとする姿勢があることを伝えるためにも、結論から述べることを意識してください。また、結論は正直に書くことが大切。自分が感じたり、気づいたりしたことをわかりやすい言葉で表現します。
▷誰に向けて書くのかを最初に決める
所感を書くときは、誰に向けて書くのかを決めるとスムーズです。上司や先輩に対して所感を述べるのと、同期に対して所感を述べるのとでは、使う言葉や表現が変わるはず。伝えるポイントも変わってくるでしょう。
▷平易な表現を使い、誰が読んでもわかるようにする
報告書を作成するとなると、難しい言葉や専門用語を使いたくなるかもしれません。しかし所感で大切なのは、伝えたい事柄が正しく相手に伝わること。そのためには、平易な表現を使い、誰が読んでもわかる内容にしなければなりません。
また、内容もくどくどと長いものにするのではなく、簡潔に作成することが大切。ポイントごとに伝えたいことを明確にし、正しく相手に伝わることを意識してください。
▷語尾は工夫を
所感を述べる際、語尾を工夫するようにしましょう。「~と思いました」ばかりでは、読み手は稚拙に感じてしまいます。「~のように感じられました」「~という印象を受けました」「~と考えます」など、語尾を多様化することで、スムーズに読めるようになりますから、その点は意識したいところです。
最後に
所感は、辞書では「感想」と同じ意味合いを持つとされますが、ビジネスシーンにおいては少し意味合いが異なります。所感には、経験や気づきを今後どのように活かすのか、そのことを入れ込む必要があります。所感を求められるシーンは多いですが、大切なのは、しっかりと構成を考えてから作成すること。相手に伝えたいことが正しく伝わるよう、わかりやすい内容にしてください。
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