「草案」とは?
草案(そうあん)とは、契約書や規約、法律などの元になる下書きの文章のことです。草案と同じく、元になる下書きを表す言葉に「素案」や「原案」がありますが、使い方は異なります。草案づくりの過程は契約書や法律を完成させるために重要であり、慎重に進めなければなりません。
ここでは、素案・原案との違いや草案の役割、使い方などを解説します。
■素案・原案との違い
草案は正式な書類となる前段階であり、「たたき台」になるものです。草案をベースにさまざまな話し合いや交渉が行われ、正式な文書を作成します。
例えば契約書の場合、契約内容については同意しながらも、細かい条件などは草案により双方がやりとりしながら合意していくのが一般的です。
これに対し、素案(そあん)は、草案になる前の元になる案のことで、草案の作成にする前の大まかな考えを指します。
一方、原案(げんあん)は草案と同じく下書きとなるものですが、草案が文章の元となる案であるのに対し、原案はデザインなど文章以外のものも対象になります。
■「草案」の役割
草案の作成によって規約や契約書など正式な文書ができあがるため、草案づくりには重要な役割があります。
草案は単に下書きだからといって疎かにしていると、目的に適った文書を作成できません。契約書の場合、不利な条件で契約を締結してしまう可能性もあります。
草案の段階から、慎重に作成を進めていくことが大切です。
■「草案」の使い方と例文
草案は、「法律の草案」「草案を練る」「草案がまとまる」という使い方をします。具体的な使い方について、例文をみてみましょう。
・新商品発表の席で行うスピーチの草案をまとめたので、確認してほしい
・規約の草案を作るため、委員会が結成された
・契約書の草案を作成したが、上司から作り直しを命じられた
・契約の相手方が作成した契約書の草案を受け取ったので、すぐにチェックしなければならない
契約書の草案とは
ビジネスで契約交渉にあたると、契約書の草案を受け取ることもあります。取引では契約書の草案をどちらが作成するかによって、その後の契約交渉を優位に進められるかどうかが決まります。
自社で契約書の草案を作成する際は、第三者のチェックを入れて精度を高めることで、交渉もスムーズに進めることができます。
ここでは、契約書の草案について、詳しくみていきましょう。
■契約書の草案を作成するメリット
企業間の取引では、どちらが契約書の草案を作成するかが、その後の交渉に影響します。自社の契約書フォーマットには、基本的に自社にとって有利となる内容が盛り込まれているか、少なくとも不利になる内容は盛り込まないためです。
自社の契約書フォーマットで草案を作成すれば、交渉を有利に進められる可能性があります。また、契約数が増えるほど、自社のフォーマットを使用した方が管理をしやすいでしょう。
■契約書の草案を受け取ったあとのステップ
取引では、相手方から契約書の草案を提示される場合もあります。特に中小企業が大手企業と契約する場合などにありがちです。そのような場合は、草案の内容についてよく確認することが大切です。
自社に不利な内容になっていないか、担当部署や法務部にも確認をとりながらしっかりチェックしなければなりません。契約の中心となる金額や数量、契約期間などを確認するのはもちろん、免責事項や保証規定など、数多くのチェック項目があります。
修正したい点がある場合は、相手方と交渉を行います。確認と修正を繰り返しながら調整を行い、契約内容に問題がないことを双方が確認して合意すれば、契約書の完成です。完成した契約書について社内の確認を行ったのち、契約書に署名・押印を行って契約締結が完了します。
草案の類義語・対義語
草案には類義語・対義語もあり、合わせて覚えておけば語彙を増やせるでしょう。
類義語には、主に次のような言葉があげられます。
・下書き
・草稿
・ドラフト
・原稿
・草本
・文案
一方、草案の対義語は「成案」です。正式な内容がまだ決定されていない草案に対し、成案は完成した文案を指します。
ここでは、草案の主な類義語と対義語をみていきましょう。
【類義語】下書き・原稿
草案の類義語として、「下書き(したがき)」や「原稿(げんこう)」があげられます。「下書き」とは、清書の前に練習のために書いてみることです。草案とほぼ同じ意味ですが、草案が正式な文書の元になるのに対し、「下書き」は絵を描く前の輪郭を描くなどラフスケッチを指すこともあります。
〈例文〉
・作成された下書きにはいくつか手を入れられていた
「原稿」とは、 印刷・公表するものの元になる文章や書画・写真などを指します。草案と異なり、文章以外のものも対象です。
〈例文〉
・印刷する日に間に合うよう、原稿を仕上げなければならない
【対義語】成案
成案(せいあん)とは、具体的にできあがっている考えや文案のことです。「成案を得る」「成案に至る」といった使い方をします。
成案という言葉がよく使われるのは法律を制定する場面です。例えば、法律は両院協議会において出席した議員の3分の2以上の多数で議決されたときに成案となります。成案は、その後に開かれる両院の本議会で議決されてから国会の意思となり、法律になるという流れです。
〈例文〉
・白熱した議論が繰り広げられた結果、会議ではようやく成案を得られた
草案の意味や内容は正しく覚えよう
草案は規約や契約書などを作成するときの下書きとなる文章で、素案や原案とは異なります。契約書の草案づくりは契約を円滑に進めていくために重要であり、自社で最初の提案を作れば、その後の契約を有利に進めることができます。
相手方が草案を作成したときは、細かい部分もしっかりチェックすることが大切です。
草案には類義語や対義語が豊富にあります。一緒に覚えて言葉の意味を正しく理解しましょう。
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