「以上」とは〝その数字とそれより大きな数〟のこと
「以上(いじょう)」は、主に数字の後につけて使う言葉です。その数字とそれより大きな数を指すときに使います。
たとえば「5以上の整数」といえば、5・6・7……を指します。また、「0以上の整数」は0・1・2……を指すため、「0と正の整数」と言い換えることが可能です。
■その数字を含まないときは「超」などを使う
その数字を含まず、その数字よりも大きな数を指すときは、「超」などを使います。たとえば「5超の整数」といえば、6・7・8……を指します。また、「0超の整数」は1・2・3……を指すため、「自然数」と言い換えることが可能です。
その数字を含まず、その数字よりも大きな数は、単に「より大きい」と表現することがあります。たとえば「5より大きい整数」といえば、6・7・8……を指します。
■以下はその数字とそれより小さな数のこと
「以上」の反対は、「以下(いか)」です。「以下」も、主に数字の後につけて使うことが多いです。その数字とそれより小さい数を指すときに使います。
たとえば「5以下の整数」といえば、5・4・3……を指します。また、「0以下の整数」は0自身を含むため、「0と負の整数」と言い換えることが可能です。
■その数字を含まないときは「未満」を使う
その数字を含まず、その数字よりも小さな数を指すときは、「未満」などを使います。たとえば「5未満の整数」といえば、4・3・2……を指します。また、「0未満の整数」は-1・-2・-3……を指すため、「負の整数」と言い換えることが可能です。
その数字を含まず、その数字よりも小さな数は、単に「より小さい」と表現することがあります。たとえば「5より小さい整数」といえば、4・3・2……を指します。
「以上」を使う数字以外のケース
「以上」は数字の後につけて使うことが多いですが、必ずしも数字とセットで使われるのではありません。数字以外にも、大きさや関係、量で表現できるものなどとセットになることが見られます。
また、スピーチなどでも「以上」を使うことがあります。よくある例をいくつか見ていきましょう。
■小学生・中学生・高校生など
小学生・中学生・高校生などの学校制度に関する言葉にも、「以上」を使うことがあります。たとえば中学生以上は有料というときは、中学生・高校生・大学生・大学院生・学生ではない大人は有料で、小学生・園児・未就園児は無料と判断されることが一般的です。
これは、日本では小学校と中学校が義務教育となっていることから可能な区分といえるでしょう。その年の4月2日時点で満6歳以上であれば小学校に入学し、6年間を小学生と過ごして中学校に進学します。
また、その年の4月2日時点で満12歳以上であれば中学校に入学し、3年間を中学生として過ごし、高校に進学したり社会人として働いたりします。もちろん病気などの事情で入学・進学が遅くなることはありますが、小学校から高校に進学することや、高校から中学校に進学することは基本的にはないため、「以上」「以下」というだけで理解しやすいでしょう。
学校制度に「以上」を使うことは、子どもたちの課外学習にも役立ちます。たとえば、校外学習として小学生たちが水族館に出かけたとしましょう。
水族館の料金が「6歳以上11歳以下:500円」「12歳以上14歳以下:700円」のように、年齢によって区分されていたらどうでしょうか。6年生なら700円の子どももいるため、計算が複雑になってしまうでしょう。また、病気などで学校に通えなかった時期がある子どもなら、4年生や5年生でも700円になることがあります。
しかし、「小学生」や「中学生」などの学校区分を使えば、個人の事情とは関係なく皆同じ料金が適用されます。計算が簡単になるだけでなく、特別な事情のある子どもたちが疎外や孤立を感じずに済み、より快適な学校生活を送れるようになるでしょう。
■友だち・恋人・家族など
友だちや恋人、家族などの人間関係を表す言葉にも、「以上」を使うことがあります。たとえば「友だち以上」といえば、親友・恋人・家族などのより親密な関係を意味します。
ただし、人間関係を表す言葉は、小学生・中学生・高校生のように客観的な順序があるわけではありません。そのため、「友だち以上」といっても人によって親密さが変わる点に注意が必要です。
■期待・予想・想像など
期待・予想・想像などの思っている状態を指す言葉には、「以上」をつけることがあります。いずれも定量化が難しい言葉ですが、「以上」をつけることで、対象となるものの程度が著しく高いことを示せます。
たとえば、「彼の文章は期待以上だった」と表現するなら、彼の文章の素晴らしさを褒めていると考えられるでしょう。ただし、最初に「彼は文章が下手に違いない」と思っていたのであれば、褒めているニュアンスにはなりません。
■文章やスピーチの終わり
文章の終わりに「以上」と記載することがあります。たとえば相手に伝えたいことが多くあり、わかりやすいように箇条書きでまとめたときは、最後に「以上」と記載して、追記する内容がないことを示せるでしょう。
また、スピーチの終わりに「以上」と言うことがあります。社長やリーダーなどの特定の集団の上に立っている人なら、「……。以上」と簡潔に伝えて話が終わったことを告げます。上の立場でないときなら「……。以上になります」と伝えることもあるでしょう。
「以上」と「超」を正しく使い分けよう
「以上」はそれ自身を含み、それよりも大きいものを示す言葉です。一方「超」はそれ自身を含まず、それよりも大きいものを示します。
とりわけ数字につけて使うときは、意味の違いを明確に理解することが大切です。量や大きさ、関係性を的確に示していきましょう。
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