「居丈高」という言葉、知っていますか?
「居丈高」という言葉がありますが、どういう意味か、何を指すのかご存じですか? 日常ではあまり見聞きしたことがないという人もいるかもしれません。
「居丈高」は、座ったときの背が高いさまを表すこともありますが、人の態度を表す際にも使われます。
「居丈高」の意味は?
いたけ-だか【居丈高】
1:(「威丈高」とも書く)人に対して威圧的な態度をとるさま。「—に命令する」
2:座ったときの背が高いさま。「偏(かたほ)にものし給はむ人の—に髪少なにて」〈栄花・根合〉
3:上半身を伸ばすようにして、相手を見くだすさま。「興なる修行法師めが面(つら)やと—になりて申しける」〈義経記・三〉
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
上記からうかがえるのは、あまりよい意味ではないということ。人に対して取る態度が偉そう、威圧的というさまを表す言葉なので、使い方には注意が必要です。
読み方に注意
「いけだか」や「きょじょうこう」のように読んでしまう人もいそうですが、それは誤り。話し言葉として使う際は、特に注意してください。辞書によっては、「いだけだか」などと読むと記載していることもあります。
「居丈高」どう使う?
ここからは、「居丈高」の使い方を見ていきましょう。日常ではあまり見聞きしないかもしれませんが、表現のひとつとして知っておいてはいかがでしょうか。
使い方を例文で確認
《例文》
・彼の弱点は、自分よりも弱いと感じた人間に対して居丈高になるところだ。
・権力を握ると居丈高になる人もいるため、自戒しなければならない。
・若い人に対して居丈高になる人ほど、信用ならない。
威圧的な態度をとる人に対して指摘する場合や、その様子を誰かに話す場合などに使います。意味からもわかるように、ほめ言葉などポジティブな意味合いで使われることはほぼありません。
「居丈高」、似た意味を持つ言葉を紹介
ここからは、「居丈高」と似た意味のある言葉を紹介します。どのような表現があるでしょうか?
「威圧的(いあつてき)」
威力などで相手を押さえつけようとするさまを表す言葉です。相手を威嚇する、圧迫するような態度や雰囲気を表す際も、「威圧的」と使われることは多いでしょう。
《例文》
・担当者の対応の仕方が威圧的で、とても不快だったというクレーム電話を受けた。
「高圧的(こうあつてき)」
権力などに物をいわせ、人を押さえつけようとするさまを表現する「高圧的」は、「居丈高」と似たような意味を持ちます。
《例文》
・相手の高圧的な態度を見て、そのサービスの利用をやめた。
「高慢(こうまん)」
他者よりも自分が優れていると思い上がり、相手を蔑むさまを表す言葉です。
《例文》
・彼は確かに人気俳優だが、その高慢な態度に周りが辟易としていることには気づいていない。
「高飛車(たかびしゃ)」
相手に対して高圧的な態度をとることや、そのさまを表す言葉です。将棋の「浮き飛車」に対してもこの言葉を使うため、混同しないようにしてください。
《例文》
・あの人の物言いは常に高飛車だが、本人は自覚がないようだ。
「横柄(おうへい)」
人を無視した態度や、無遠慮、無礼なさまを表す言葉です。おごり高ぶり、人を見下すさまを表す際にも、使われることがあります。
《例文》
・若いうちから横柄な態度をとるようでは、先が思いやられる。
「御高い(おたかい)」
気位が高く、人を見下すさまを表す言葉です。前向きな意味とは言えないこの言葉に「御」の文字が使われているのは、ひやかしの気持ちで丁寧の意を表す「御」をつけたからとされています。
《例文》
彼女は御高く構えていると言われているが、実際に話すとそうでもないように思えた。
「居丈高」、対照的な意味を持つのは?
「居丈高」と反対の意味を表す言葉についても、チェックしておきましょう。
「親切(しんせつ)」
相手の身になり、その人のために何かをすることや、思いやりをもって人のために尽くすことを表す言葉です。「人に親切にするように」といったことを聞く機会は、かなり多いのではないでしょうか。
《例文》
・応対してくれたスタッフがとても親切だったので、後日お礼のメールを送った。
「温和(おんわ)」
やさしく穏やかな性質を持つ人に対してよく使われる言葉です。また、落ち着いていてかどが立たず、人に受け入られやすいことも表します。
《例文》
・彼の温和な人柄に魅了される人は多く、彼のオフィスを訪ねる人は後を絶たない。
「謙虚(けんきょ)」
控えめで慎ましいことを表す言葉です。へりくだり、相手の意見を素直に受け入れる態度を表す際にも使われます。
《例文》
・地位や名誉を手に入れても、「周りのおかげ」と感謝しながら謙虚に生きる社長の姿に、多くのことを学ばせてもらえた。
「低姿勢(ていしせい)」
人に対応する際に姿勢を低く構えること、相手に対してへりくだった態度をとることを表す際に使う言葉です。
《例文》
・お客様は大変怒っておられたが、対応したスタッフが低姿勢な態度だったこともあり、最終的には許していただけた。
「慎ましい(つつましい)」
遠慮深くて、控えめな態度を表す言葉です。また、しとやかさや、質素なさま、人に対して気後れがしているさまを表す際にも使われます。
《例文》
・実力があり、申し分のない実績があっても態度が変わらず、常に慎ましい彼女の人間性は尊敬に値する。
「まるい」
円い形状を表す言葉ですが、穏やかな人間性や、円満であることを表す際にもよく使われています。年を重ね、どんどん穏やかになる人に対して、「人間がまるくなった」のように使うことも。
《例文》
・若い頃は気難しく、ちょっとしたことで怒鳴ってばかりいた父親が、年のせいか人柄がまるくなり、今では孫を溺愛する好々爺になっている。
おわりに
人に対して威圧的な態度をとる様子を表現する際に使われる「居丈高」。意味からもわかるように、ほめ言葉として使われることはほぼありません。そのため、うっかり使うと相手が気分を害してしまうということも。意味や使い方を知り、適切に使えるようにしておきたいですね。
参考:小学館 デジタル大辞泉
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