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2023.12.02

河童の川流れとはどんな意味? 使い方や類義語、対義語まで解説【教員監修】

「河童の川流れ」ということわざを聞いたことがあるでしょうか。本記事ではその意味や使い方について紹介します。あわせて類義語や、対照的な意味をもつ言葉についてもチェックしていきましょう。

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河童の川流れとは

「河童の川流れ」ということわざを知っていますか? 小学校の教科書に出ていた、まさに河童が流されていく様子が描かれた挿絵を思い出す人も多いでしょう。「かっぱのかわながれ」と読みます。泳ぎの得意な河童でも、時には水に流されてしまうこともある、どんな名人でも思わぬ失敗をすることがあるというたとえとして使われます。

水に流されるカッパのイラスト

河童とは

まずは、河童について見ていきましょう。河童は、日本の伝説や民話に登場する神秘的な水棲生物です。人間と似た体形をしていますが、サイズは小さく、通常は子供くらいの大きさとされています。河童の特徴的な要素には、以下のようなものがあります

河童の頭頂部には、水を溜めておくためのくぼみがあり、これが「皿」と呼ばれています。この皿が水で濡れている限り、河童は強力な力を保つとされ、水がこぼれ落ちると河童は弱ったり死んだりすると言われています。

生態

河童は通常、小柄で緑色の皮膚を持ち、カメやカエルのような特徴があります。川や池などに住むとされ、水かきのある手足を持ち水泳が非常に上手です。そのため、人間が水辺で河童に遭遇する話は多く、水の中ではとりわけ力が強いとされています。

性格

河童はいたずら好きで、ときにはいたずらが過ぎて危害を加えることもありますが、一方で礼儀正しく、約束を重んじる一面もあるとされています。また、河童はきゅうりを好むとされ、「かっぱ巻き」というきゅうりを中心とした巻き寿司は、河童の好物にちなんで名づけられたという説があります。

河童の物語は、地域によって異なるバリエーションがあり、多様な文化的背景をもっています。日本の文化に深く根づいており、今日でも子供向けの本やアニメ、映画などで取り上げられることが多い伝説の生き物です。

河童の川流れということわざは、このような泳ぎの得意な河童でも、時には水に流されてしまう、どんなに熟練した人でも過信は禁物で、油断大敵であることを教えてくれます。

きゅうりを持つカッパのイラスト

河童の川流れの使い方

では、河童の川流れはどのような場面で使うのか、例をあげながら紹介します。

1:いつも完璧な報告をする彼女が、今回の会議で重要なデータを見落としたのは、まさに河童の川流れだった。
2:数学が得意な彼が簡単な計算ミスをしてしまったのは、河童の川流れの典型的な例だ。
3:経験豊富なシェフが基本的な調理過程を間違えてしまった。これは、河童の川流れと言えるだろう。

このように、専門家や熟練者でさえ失敗することがあるということを表し、油断大敵という教訓としても用いられます。「川の流れに乗る」という意味にとって、うまくいく場合に使うのは誤りですので気をつけましょう。

河童の川流れの類義語は?

河童の川流れの類義語には、どのようなものがあるのか一緒に見ていきましょう。

猿も木から落ちる(さるもきからおちる)

「猿も木から落ちる」ということわざは、どんなに熟練した人でも失敗することがある、という意味です。猿は木登りが上手ですが、たまには失敗して落ちることもあるというところからきています。これは、人間誰しも完璧ではなく、時にはミスをする、油断大敵であるという教訓です。以下に例文をあげます。

1:彼はこの分野の専門家だけど、猿も木から落ちるで、ミスを連発したね。
2:プロ野球選手があんな凡ミスをするなんて、まさに猿も木から落ちるだ。
3:ピアニストの彼女が、初心者向けの曲でミスをしたとき、観客は「猿も木から落ちるよね」と言った。

木にぶら下がる猿のイラスト

弘法にも筆の誤り(こうぼうにもふでのあやまり)

「弘法にも筆の誤り」ということわざは、弘法大師(空海)のような筆に優れた名人であっても、書き間違いをすることがある、という意味。これは、「どんなに技術や知識がある人でも、時にはミスをする」ということを表しています。以下に例文をあげましょう。

1:経験豊富な司会者が、弘法にも筆の誤りで生放送中にゲストの名前を呼び間違えた。
2:いつも完璧な報告書を提出する彼女が弘法にも筆の誤りで、数字を間違えてしまった。
3:あの大俳優が、弘法にも筆の誤りで舞台でセリフを忘れてしまった。

川立ちは川で果てる(かわだちはかわではてる)

「川立ちは川で果てる」という言葉は、専門家や熟練者が自分の得意とする分野で失敗することを表すことわざです。直訳すると、「川に立つ者(川に強い者や泳ぎのうまい者)は川でその命を終える」という意味ですが、これは専門家であっても油断大敵であることを表す教訓です。「川立ちは川」「泳ぎ上手は川で死ぬ」とも言います。以下に例文をあげましょう。

1:川立ちは川で果てるで、登山歴20年のベテランでも遭難する。
2:有名なサーファーが大波にのまれて負傷した。川立ちは川で果てるだ。
3:あの大物演歌歌手でも川立ちは川で果てるで、歌詞を間違えてしまった。

河童の川流れの対義語は?

辞書的に、河童の川流れの対義語としてズバリそのもの、というものはありませんが、場面によっては対照的な意味としても使える言葉を紹介します。

塞翁が馬(さいおうがうま)

「塞翁が馬」という言葉は、中国の古い故事に由来する成語で、損失や不幸が後になって幸運や利益に変わる可能性があることを意味します。塞翁は、国境の近くに住む老人を指し、彼の馬が逃げて不幸と思われたが、後によい馬を連れて戻ってきたという話です。

この故事は、物事の幸、不幸は予測不可能で、時として逆転することがあるという人生の不確実性を表しています。たとえば、慎重に事にあたっていたとしても、何がおこるかわからない、というニュアンスなら、対照的な言葉としても使えるでしょう。以下に例文をあげます。

1:会社を解雇されたが、まさに塞翁が馬で夢だったビジネスを始められた。
2:彼は交通事故で入院したが、塞翁が馬、病院で将来の妻と出会った。
3:彼女は怪我で大会に出場できなかったが塞翁が馬で、より練習を積む時間が持てた。

まとめ

河童の川流れは、本来水中で生活している河童が川に流されるという予想外の事態を示しており、専門家や熟練者が得意分野で失敗することを比喩的に表すことわざです。

「河童も一度は川流れ」ということわざもありますが、これは「河童も一度はおぼれるように、何ごともはじめから上手な人はいない」という意味ですので混同しないようにしましょう。ベテランだからといって慢心せずに物事にあたりたいものですね。

武田さゆりさんのプロフィール写真

執筆

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。

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