「匂わせ」の意味と由来を解説
近年は、SNSや普段の会話の中で、匂わせという言葉に触れる機会が多いかもしれません。匂わせという言葉の意味と、近年になって生まれた使い方を紹介します。
「匂わせる」を略した言葉
匂わせとは「匂わせる」から派生した言葉で、名詞のように使われるのが特徴です。何かをそれとなくアピールするという意味で、「ほのめかす」「示唆する」に近いニュアンスを持っているといえます。
はっきりと何かを言うわけでなく、あくまでも思わせぶりな言動をするのが「匂わせ」の特徴です。自分で直接説明するわけではないものの、相手に何かを気付かせるための行動ともいえるでしょう。
また「匂わせる」には、文字通り香りを漂わせるという意味も持っています。この場合は、ストレートに香水などのよい香りをまとっている人に対して使うのが一般的ですが、「匂わせ」には基本的にこの意味は含まれません。
におわ‐・せる【匂せる】
① =におわす(匂)④
(中略)
②気配、雰囲気、特徴などを漂わせる。
引用:小学館 精選版 日本国語大辞典
におわ・す【匂】
(中略)
④ それとなく暗示する。ほのめかす。におわせる。
引用:小学館 精選版 日本国語大辞典
近年ではSNSの投稿にも使われる
近年よく見聞きする「匂わせ」とは、おもに恋愛関係をアピールすることを意味する際に使われる傾向にある言葉です。SNSなどの投稿で、はっきりとは言わないものの、誰かと付き合っているのをほのめかす行為などが匂わせに該当します。
こうした匂わせは、自分のSNSを見る人に対するマウントに近い行為として捉えられることが多いようです。そのため、特に同性からは批判的な目で見られやすい行動ともいわれています。
また、匂わせは恋愛だけではなく、仕事やプライベートなどさまざまな場面で見られる行動です。恋愛でのアピールに限らず、ネガティブな意味合いで使われる傾向がみられます。
「匂わせ」の代表的な行動をチェック
SNSなどの投稿では、具体的にどのような行動が匂わせだと思われるのでしょうか。さりげなく交際をアピールする、代表的な匂わせ行動を紹介します。
体や小物が映り込んだ写真をアップする
匂わせは、あくまでもそれとなく行うものなので、恋人の姿がはっきり映ったツーショットは使われません。手や髪など、よく見ると体の一部が映り込んでいる写真をアップするのが匂わせ投稿と捉えられやすいです。
写真に添える文面も直接的に表現するのではなく、「出かけてきた」など簡潔にとどめているケースがほとんど。どこに行ったか、誰と一緒にいたのかなど詳しいことを書かないのが特徴といえるでしょう。
また、二人分の食器や小物などを映すことで、誰かといた事実をさりげなく示すパターンも見受けられます。おそろいの小物を並べて撮影するのも、恋人がいると周りに伝える匂わせ投稿とされやすい一例です。
もらったプレゼントをアピールする
誰かからもらった贈り物の写真に「ありがとう」「大好き」などのメッセージやハッシュタグを添えるのも、匂わせ投稿といわれやすいケースです。もちろん、ここで誰からもらったプレゼントなのかは明かしません。
アクセサリーなどの高価なプレゼントを披露したり、実際に贈り物を身につけたりと、アピールの方法はさまざまです。こうしてプレゼントをもらったことをほのめかしつつ、相手への感謝を伝えます。
クリスマスや誕生日だけでなく、記念日はカップルにとっての特別なイベントの一つとされます。特別な日にプレゼントの写真をアップすることで、はっきりとは明言せずに恋人の存在を主張するパターンもあるようです。
匂わせをする人の特徴
SNSで匂わせをする理由の一つとして、承認欲求を満たしたいからともいわれています。自分のアカウントをフォローしている友人に今幸せであることを自慢したくなり、「いいね」をもらうことで承認欲求を満たそうとしてしまうのかもしれません。
また、誰かに反応してもらいたいという理由も挙げられるでしょう。あえて恋人がいると言わないことで、「付き合ってるの? 」「彼氏ができたの? 」とコメントが来るのを期待しているとも考えられます。
匂わせ投稿をする人は、周囲から面倒な性格の人だと思われることも珍しくありません。頻繁に匂わせをすることで、SNSを見ている知り合いに敬遠されてしまう可能性もあります。
「匂わせ」という言葉の使い方を知ろう
SNSは身近なものだからこそ、匂わせを目にする機会も多くあるでしょう。匂わせに関連する言葉や、具体的な使い方を紹介します。
匂わせを使ったフレーズ
匂わせと、ほかの言葉を組み合わせた用語は数多く存在します。たとえば匂わせ目的の投稿に使われる写真を「匂わせ画像」「匂わせ写真」と呼びます。
また、インスタグラムのストーリー機能は、24時間で投稿が見られなくなるという特徴があります。すぐに消えるのを利用して、匂わせに使われる場合は「匂わせストーリー」と広くいわれているようです。
恋人に関する匂わせをするのはおもに女性が多いといわれ、普段から匂わせが激しい人を「匂わせ女子」と呼ぶこともあるようです。
匂わせの使い方を例文でチェック
匂わせは「匂わせる」を略した言葉なので、名詞的な用法で使われています。そのため、「匂わせする」「匂わせをする」のように使われる傾向がみられます。
匂わせは、マウントを取る行為とも受け取られるため、他者の匂わせに触れる場合は批判的なニュアンスになりやすいです。たとえば「あの子は最近匂わせがすごい」「匂わせ投稿ばかりでモヤモヤする」のように使われます。
また、匂わせのもとになった「匂わせる」も、示唆するという意味でよく使われる言葉です。「この事件には裏があると匂わせている」などが挙げられます。
メイン・アイキャッチ画像:(c)AdobeStock
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