オピニオンリーダーとは
「オピニオンリーダー」と聞くと、なんだか強くて難しそうなイメージを抱くかもしれません。なんとなく分かっているようで、曖昧な言葉かもしれません。本記事では、そんな「オピニオンリーダー」についてや、インフルエンサーとの違いについて触れていきます。
オピニオンリーダーを直訳すると「意見や世論を先導する人」。つまり、特定の集団の中で、強い影響力をもち、意思決定や行動に大きな影響を与え、世論の形成に影響力のある存在のことをいいます。その存在は、SNS花盛りの現代において、マーケティングでの重要な位置づけにあります。
オピニオンリーダーが果たす役割
オピニオンリーダーは、特定の集団において影響力が大きいため、絶えず行動や発言には注目が集まります。そのため、常に学び、誰よりも新しい発想や行動にチャレンジし続けるのです。
マーケティング手法としてのオピニオンリーダー
マーケティングの世界では、オピニオンリーダーの存在は大きな戦略のひとつになります。商品を販売する際、オピニオンリーダーを起用することにより、飛躍的な伸びをつくることができます。オピニオンリーダーが、ある商品を採用することによって、集団はその行動を真似るからです。オピニオンリーダーは、特定の人物に限らず、口コミサイトのような仕組みも含まれます。
インターネット社会前後のオピニオンリーダー
インターネットが普及してSNSが一般に広まる以前の社会で、オピニオンリーダーといえば、マスメディアに登場する有識者や著名人でした。つまり、一般的に名前の通っている人物が、オピニオンリーダーと呼ばれていたのです。ところがSNSが広まった現代では、普通の一個人でも、オピニオンリーダーになることができます。
オピニオンリーダーとインフルエンサー
オピニオンリーダーと似た存在で、特定の集団に大きな影響力を持つものとして、「インフルエンサー」というものがあります。インフルエンサーとは何か? そして、その違いを見ていきましょう。
インフルエンサーとの違い
インフルエンサーとは、SNSのコミュニティにおいて、莫大な数のフォロワーを持つ人のことです。オピニオンリーダーと同じように、そのコミュニティのみならず、似たジャンルにまで大きな影響力を持っています。またオピニオンリーダー同様、マーケティング領域において「インフルエンサーマーケティング」といわれ、欠かせない存在になっています。
このように、インフルエンサーとオピニオンリーダーは、とても近い存在です。しかし、インフルエンサーは人物のみに使われるのに対して、オピニオンリーダーは人物に限らず、サービスや仕組みなどに対しても使われる点が大きく異なるといえるでしょう。
イノベーター理論とは
イノベーター理論とは、新しい商品や仕組みなどが社会に浸透していく過程を、5つのグループに分類したマーケティング理論のことです。1962年にスタンフォード大学のエベレット・M・ロジャース氏によって提唱されました。
イノベーター理論とオピニオンリーダー
このイノベーター理論の中で、最初に新しい商品やサービスを生み出す人のことを「イノベーター」と呼びます。そして、生み出された商品やサービスの新奇性や独自性に気づいて、最初に採用するのが「アーリーアダプター」といわれる人。このアーリーアダプターがオピニオンリーダーと同じ位置づけになります。
そして、アーリーアダプターの動向を見て影響を受けて、次にそれらを広める役割が「アーリーマジョリティ」という人たちになります。そして、流行の兆しが見え、導入側が多数派だと確証を得たところで採用に乗り出すのが「レイトマジョリティ」となり、最後に新しいものにはあまり関心がなく、その製品やサービスが世間の定番になると採用する層が「ラガード」と呼ばれる人たちです。
それぞれ浸透する人数の割合は、イノベーター(2.5%)、アーリーアダプター(13.5%)、アーリーマジョリティ(34%)、レイトマジョリティ(34%)、ラガード(16%)となります。
オピニオンリーダーの具体例
特定の集団におけるオピニオンリーダーについて、具体的な人物やサービスなどを見ていきましょう。
口コミサイト
口コミサイトは、その存在自体がオピニオンリーダーといえるでしょう。レビューや評価点そのものが影響力を持ちます。一時期、投稿や評価自体が恣意的なものもあり、信頼性を失いかけた時期もありました。しかし、利便性からいまだに利用者は多く、今も立派なオピニオンリーダーといえるのではないでしょうか。
飲食業界では「食べログ」や「ぐるなび」などが有名です。その他にも旅行業界や転職業界、元従業員などによる企業そのものの口コミサイトもあります。
YouTuberやインスタグラマー
YouTuberとは、動画投稿サイト「YouTube」で活動している方のことです。多くのフォロワーを抱える人が、オピニオンリーダーになりえる人です。オピニオンリーダーになると、YouTubeの中のみならず、雑誌やテレビのバラエティー番組やCMなどにも出演する傾向にあります。一時期は「将来なりたい職業ランキング」で1位になったこともある、いまや人気職業です。
インスタグラマーは、写真動画共有SNS「Instagram」で活動している方で、同じように多くのフォロワーを抱える人がオピニオンリーダーです。ファッション、エンターテインメント、ペット、旅行、ソロキャンプなど様々なジャンルがあります。
著名人
芸能人などの著名人です。著名になっていること自体で、すでに影響力があります。著名人のファッションや言動、習慣などは社会現象になるような大きな影響力を持ちます。芸能人に限らず、政界や財界、スポーツ分野、小説家など多くのジャンルで、オピニオンリーダーを生み出しています。
SNSでフォロワーの多い個人
SNSが発達した現代では、一般の人であってもフォロワーの人数が多ければ、その影響力を如何なく発揮できる社会になりました。
最後に
SNSの拡大によってマーケティングの単位は、不特定多数の大衆(マス)から小さな隙間(ニッチ)に移行しました。特定のジャンルにおいて、徹底したこだわりや知識などによって、一個人でも社会現象を生み出すことが可能な社会です。個人が総じてオピニオンリーダーになる時代もやってくるかもしれません。
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