「えぐい」とはどういう意味?
会話の中やSNSでよく見かける「えぐい」という言葉。ポジティブな意味でもネガティブな意味でも使われている印象を受けますが、「えぐい」とはどういう意味なのでしょうか。
「称賛」と「否定」2つの意味を持つ言葉
「えぐい」の意味は、辞書では以下の通りです。
えぐ-い
1. あくが強くて、いがらっぽい感じがする。
2. 俗に、むごたらしいさま。また、どぎついさま。
3. 我が強くて思いやりのないさま。きつい。
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
「えぐい」という言葉には、複数の意味があります。その中でも、近年SNSやテレビなどで特に耳にするのは、スラングとしての「えぐい」が多い傾向です。
このスラングの「えぐい」には非常に強烈な感情や、ずばぬけた状況を表す意味合いが込められており、称賛と否定の二つの意味を持ち合わせています。
つまり、「最高」「素晴らしい」「すごい」といった強くポジティブな意味合いから「ひどい」「最悪だ」という極端にネガティブな意味にもなるため、使い分けたり、どちらの意味になるのかを理解したりするには、文脈を読み解くことが重要です。
食べ物の「えぐみ」が由来といわれている
このスラングの「えぐい」は、もともとあった、ほうれん草やワラビといった食べ物の苦味や酸味、アクの強さを表す「えぐみ」という言葉からの派生だといいます。強烈な苦味や酸味がスラングの「えぐい」の語源となり、「すごい」「ひどい」といった強い感情を表す際に用いられたと考えられるのです。
また、関西地方で使われている「えげつない」が「えぐい」の語源という見方も。全国的に通用するようになった「えぐい」というスラングは、最近では特に「えぐいて」というフレーズで耳にしますが、これはYouTuberの発言がきっかけのようです。
「えぐい」の使い方を例文でチェック
「えぐい」は、どういったタイミングで使える言葉なのでしょうか? 使い方を理解しておくと、同僚との会話でも役立つかもしれません。称賛・否定、それぞれの使い方と注意点について例文を交えて解説します。
称賛の意味で使う場合
●あいつのシュートはえぐいな。並のキーパーじゃ止められないよ
●昨日の試合はえぐかったね。手に汗握ったよ
●あの子のビジュがえぐい
「あのシュートはえぐい」「昨日の試合はえぐかった」という使い方をする場合は「すごい」「素晴らしい」という意味で使われるのが一般的です。「すごい」という言葉では表しきれないほどの感動を表したいときに使えます。
「あの子のビジュがえぐい」という使い方をする際は「とてもかわいい」「非常に美しい」という意味になります。かわいいという言葉では言い表せないほど、たかぶった感情を表したいときに使える表現です。
否定の意味で使う場合
●ここの店の大盛りの量えぐくない? 食べきれないかも…
●ジムの専属トレーナーから言いわたされたメニュー量がえぐい
●自分は贅沢して子供に1日1食しか与えないなんて、えぐいことをする親もいるもんだ
「大盛りの量がえぐい」という使い方をすると、あまりの量の多さに若干引き気味である状態を表しています。否定という意味合いよりは「すごく量が多いから食べきれるかな」という不安を表しています。
「ジムのメニュー量がえぐいんだけど」という使い方をする場合は、メニュー量が多くてキツい・ひどいという意味合いです。「えぐいことをする親もいるもんだ」という例文では「最悪だ」「ひどい」といったニュアンスを表しています。
同僚との会話で使う場合
●自分のミスを押し付けるなんて、あの先輩のやってることはえぐすぎる
●あの新入社員、入社半年であんなに残業するなんてえぐいね
●こんなに気温高いのにスーツ着用するのえぐいね
「自分のミスを押し付けるなんてえぐすぎる」という使い方をする場合は、「最悪だ」「ひどすぎる」という意味合いで使われます。
「入社半年であんなに残業するなんてえぐいね」という言葉には、多くの残業を押し付けられてしまった社員に対して、あわれむ気持ちを含んでいます。主に「ひどい」「かわいそう」という意味合いです。「気温高いのにスーツ着用するのえぐいね」という例文も、同様に「ひどい」「かわいそう」という感情を表しています。
同僚と軽い雑談で使用する程度であれば問題ありませんが、本来「えぐい」はビジネスシーンで使用する言葉ではないため、上司や先輩に使用するのは避ける方が賢明といえます。
「えぐい」だけじゃない!若者言葉
近年、若者の間で使われている言葉。知っておくと、後輩との会話に役立つかもしれない若者言葉を二つ紹介します。
ジワる
「ジワる」とは、だんだんと笑いが込み上げてくる様子を表した言葉です。「る」を省略して「ジワ」といわれるケースもあります。もともと「ジワジワくる」という言葉が語源とされており、省略した形が「ジワる」です。
「ジワる」は、以下のような使い方をするので、子供や若手社員の口から「ジワる」と聞いたら、ポジティブな意味合いなのだと捉えましょう。一発ギャグや写真を見たときなど、だんだんと笑えてきたという場合に使います。
●あの一発ギャグが今更ジワってきた
●この写真の私の顔がジワる
ワンチャン
ワンチャンとは「ワンチャンス」の略として使われる若者言葉です。文字通り「チャンスは1回」という意味が由来ですが、以下の例文のように「可能性はゼロではない」「あまり期待できないが、もしかしたらうまくいくかもしれない」といった意味で使われるケースが多いようです。ワンチャンという言葉を聞いた際は、希望的観測の一種だと捉えましょう。
●先方の気分次第ではあるが、ワンチャンあるかも
●ワンチャン終電に間に合いそうだ
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