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2023.10.05

踏襲とは?何と読む? 言葉の意味や由来、類義語、対義語まで詳しく解説【教員監修】

踏襲とは、それまでのやり方を変えずに引き継ぐということです。どんな字を書くの? どんな意味? と思っている方も多いのではないでしょうか。当記事では言葉の意味や由来、類義語や対義語まで詳しく解説します。

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踏襲とは

日常生活やビジネスシーンで耳にすることがあるかもしれませんが、なんと読むのか、どういう意味があるのか知っていますか? まずは読み方と基本的な意味から見ていきます。

読み方と意味

踏襲は、「とうしゅう」と読みます。「踏」という字は「ふむ」と読むので、「ふしゅう」「ふうしゅう」「ふんしゅう」などと読み間違える人が多いため注意しましょう。先人のやり方や考え方などをそのまま受け継ぐことを意味します。

横に並んでビル街を歩く人たちのイラスト

踏襲の由来

「踏」の字には「足をあげて地に下ろす」といういわゆる「ふむ」という意味のほかに、「ふまえる」「考えをあわせる、よりどころとする」という意味があります。

また、「襲」の字は「襲撃」というように、「おそう」という意味がよく知られていますが、上着と下着が一揃いになっている着物「かさね」や「重ねること」の意味もあります。さらに、「世襲」というように「継ぐ、受け継ぐ」という意味があり、先人や先例、あるいは他人のやり方、考え方をそのまま受け継ぐことを指すのです。

踏襲の使い方

踏襲はどのような場面で使えばよいのか、例文をあげながら見ていきましょう。

ノートパソコンとタブレットを操作している人の写真

踏襲する

〈例文〉
1:会社の伝統を踏襲し、新しいプロジェクトを進めていくつもりです。
2:先輩のアドバイスを踏襲し、同じ手法で問題を解決することができました。
3:伝統的なデザインを踏襲した新商品が、消費者から高い評価を頂きました。

このように「踏襲する」という言葉は、今までの意見や方法のよいところを真似ながら、新しくよいものをつくっていく、ブラッシュアップするといった前向きなイメージで使われることが多いです。一方で「古いやり方を踏襲していてはイノベーションは起こせない」というように、ネガティブなイメージで使うこともあります。

前例踏襲(ぜんれいとうしゅう)

ビジネスシーンでは、よく耳にする言葉かもしれません。辞書的にこのような四字熟語はありませんが、読んで字のごとく、前例に倣うということです。あえてこのように表現することで前例がより強調されます。

〈例文〉
1:会社でのプロジェクトは、前例踏襲して進められました。
2:このモデルは前例踏襲してこの形になりました。
3:前例踏襲した結果、そのプロジェクトはうまくいきました。

踏襲の類義語

踏襲の類義語にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

洋風の朝ごはん、和風の朝ごはん、パスタのイラスト

継承(けいしょう)

継承とは、前の世代やほかの人から引き継ぐことをいいます。具体的には、物や権利、技術、知識、伝統、文化など、さまざまなものが継承の対象となります。

〈例文〉
1:この地域の伝統的な踊りは、世代を超えて継承されてきました。
2:父が経営していた会社を継承することになりました。
3:彼は先代の社長から企業文化を継承し、さらにそれを発展させました。

準拠(じゅんきょ)

準拠とは、ある基準、規則、方針などに従うこと、またはそれに伴うことです。特定の基準や規則に沿って行動や判断をする際に使用される言葉です。

〈例文〉
1:意見は古典文学に準拠したもので、現代の感覚とは異なる場面もある。
2:この製品は国際的な安全基準に準拠しています。
3:この製品は環境基準に準拠しておりエコ商品として認定されています。

倣う(ならう)

倣うとはすでにある物事をまねて、その通りにすることです。この言葉は、特に何かを参考にして自分自身の行動やスタイルを形成する際に使用されます。

〈例文〉
1:彼は成功者とされる人たちに倣って、自分自身のキャリアを重ねていました。
2:この町の建築様式は、古代ローマの都市に倣っています。
3:この料理は、フランス料理に倣いながらも日本独自のアレンジが加えられています。

踏襲の対義語

踏襲の対義語として辞書的にズバリこれ、というものはありませんが、前例を受け継ぐことと反対の意味を表す言葉を紹介します。

ハイキングをする人たちのイラスト

改革

改革とは、既存の制度、方法、習慣などを見直し、よりよいものにすることです。この言葉は、社会、政治、経済、教育など多くの分野で使われ、一般にはポジティブな変化や進歩を起こす行動とされます。

〈例文〉
1:会社は経営改革を実施し、効率的な業務フローを確立することを目指しています。
2:教育界では、新しい教育政策を取り入れるための大規模な改革が求められています。
3:政府は経済の活性化を図るべく新しい改革を進めていく方針です。

改善(かいぜん)

改善とは、状態、制度、方法などの悪いところを見直し、よりよい状態にすることです。改良に似ていますが、改良は具体的なものについて使う一方、この言葉は抽象的なものに多く使います。特に問題点や不足している部分を修正し、全体の品質や効率を高めるために使用されます。

〈例文〉
1:お客様のご意見を受けて、製品の設計を改善しました。
2:環境問題への対応として、工場の排出ガスを改善する新技術が導入されました。
3:社内の古い体質を改善して新しい風を取り入れるべきです。

脱却(だっきゃく)

脱却とは、困難な状況や覚悟、束縛などから逃れること、またはそのような状態を改善することです。この言葉は、特に問題や制限がある状況から自由になる、または改善するための行動や思考の変化を示す際に使用されます。

〈例文〉
1:彼は多忙な日常から脱却するために、週末は山に登ってリフレッシュしているそうです。
2:企業は古い経営スタイルから脱却し、より効率的な方法を模索しています。
3:経済の停滞から脱却するために、新しい政策が導入されました。

まとめ

踏襲は、先人の方法や考えを受け継ぐことという意味を持ち、ビジネスや日常生活でよく使われる言葉です。似たような意味の言葉が多くありますが、状況や目的に応じて最適な言葉を選ぶためにも、意味をよく理解しておきたいですね。

武田さゆりさんのプロフィール写真

執筆

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。

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