石橋を叩いて渡るとはどんな意味?
「石橋を叩いて渡る」ということわざ。学校の授業で習った記憶がある、という方もいるのではないでしょうか? 言葉の響きからなんとなく意味を想像できるものの、正確な意味を覚えていない方も多いかもしれません。
そこで本記事では、石橋を叩いて渡るの意味や使い方、類語、対義語などを紹介します。言葉の意味を覚えて、自信を持って使いこなしましょう。
まずは、意味を辞書で確認してみましょう。
堅固に見える石橋でも、なお、安全を確かめてから渡る。用心の上にも用心深く物事を行うことのたとえ。
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
石橋とは、言葉の通り石でできた橋のこと。たとえ、見るからに頑丈そうな橋であっても、「本当に安全なのか?」と用心して渡ることから転じて、用心深い性格や慎重に物事を行なう様子などを指すようになりました。
石橋を叩いて渡るは、時に皮肉をこめたニュアンスで用いられることも。慎重になりすぎて行動に移すまでに時間がかかったり、優柔不断などのデメリットとして捉えられることもあります。ポジティブな意味とネガティブな意味、どちらも含まれたことわざなので、使う際には気をつけたいところです。
使い方を例文でチェック!
石橋を叩いて渡るは、日常のどんな場面で使われることわざなのでしょうか? よく使われるパターンを2つ紹介します。
1:リーダーは石橋を叩いて渡る性格なので、そのチームは大きな失敗をしたことがない
石橋を叩いて渡る人は、常にリスクを考えて行動するため、大きな失敗をすることがあまりありません。慎重に物事を行なうので、ミスも少なく信頼されやすいタイプといえるでしょう。冷静な判断力があり、チェックもしてくれるため、同じチームにいると安心ですね。
2:彼は石橋を叩いて渡る性格なので、好きな人になかなか告白できない。
1の例はポジティブな意味として使われていたのに対し、ここではネガティブな意味として使われています。臆病で心配症がゆえに、恋愛の場面でも「もし、振られたらどうしよう」などとマイネスなことを考えて、なかなか積極的にアプローチができないことも。優柔不断であることから、周囲をハラハラさせたり、せっかくのチャンスを逃してしまうこともあるようです。
石橋を叩いて渡るに似たことわざ
石橋を叩いて渡ると似た意味を持つことわざは意外と多くあります。ここでは代表的なものを3つ紹介しましょう。
1:念には念を入れる
「念には念を入れる」の意味は、以下の通りです。
注意したうえにも注意する。
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
非常に注意深く、何度も確認するときに「念には念を入れる」が使われます。例えば、仕事の書類に誤字脱字がないかどうか、何度も目を通したり、プレゼンを失敗しないように何度も練習を重ねるときにも、「念には念を入れて練習した」などと表現します。用心深く、慎重な様子が、「石橋を叩いて渡る」と共通しています。
(例文)
・建物の安全確認には念には念を入れるように心がけた
・忘れ物がないかどうか、念には念を入れてチェックしよう
2:備えあれば憂いなし
「備えあれば憂いなし」の意味は、以下の通りです。
万一に備えて、あらかじめ準備をしておけば、事が起こっても少しも心配事がない。備えあれば憂えなし。
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
いざというときのために、普段から準備をしておけば心配事はなくなるということ。災害などの非常事態に備えて、食料や道具を揃えておくのも、「備えあれば憂いなし」に当てはまる行動といえそうです。
(例文)
・怪我をしたときのために、ポーチの中に絆創膏を入れておいたよ。備えあれば憂いなしだからね
・母は、「備えあれば憂いなしだから」と言って、いろんなものを買いだめする癖がある
3:転ばぬ先の杖
「転ばぬ先の杖」の意味は、以下の通りです。
前もって用心していれば、失敗することがないというたとえ。
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
「転ばぬ先の杖」とは、躓いて転ぶ前にあらかじめ杖をつくことから転じて、事前に注意していれば失敗することがないという意味で使われるようになりました。自分の身を守るために、用心して手を打っておくことも必要ですね。
反対の意味を持つ言葉とは?
石橋を叩いて渡るは、慎重に物事を行なうさまを表しますが、反対語にはどのようなものがあるでしょうか? あわせて覚えてみてください。
1:軽率
「軽率(けいそつ)」の意味は、以下の通りです。
物事を深く考えずに軽々しく行うこと。また、そのさま。かるはずみ。
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
軽率とは、十分に考えないで、物事を決めたり行動してしまうこと。その結果、相手の信頼を損なったり、ミスを犯してしまうこともよくあります。「あのときは、軽率に約束をしてしまった」などと、自らの行動を反省するときに使われることが多いです。
(例文)
・上司に確認しないまま、高額な商品を購入してしまったのは軽率な判断だった
・先生から「軽率な行動は慎みなさい」と注意された
2:後先見ず
「後先見ず(あとさきみず)」とは、前後の事情を考えず無分別に行動すること。その行動をすることでどうなるかをよく考えないで行動してしまうため、やった後で「あんなことするんじゃなかった」と後悔することも。リスクを考えて慎重に行動する「石橋を叩いて渡る」性格の人とは、正反対といえるでしょう。
(例文)
・後先見ずやった結果、やる必要のない作業まで行ってしまった
・後先見ず、まずはやってみよう
最後に
石橋を叩いて渡るとは、用心深く物事を行うことを表すことわざ。大抵は、人の性格や振る舞いを指すときに使われます。慎重に物事を行なうことから、リスクを回避できる長所もあれば、用心深さが仇となり積極的に行動に移せない一面もあるでしょう。「自分も石橋を叩いて渡るタイプかも?」という方は、ぜひ長所を生かして行動できるといいですね。
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