「参る」は「行く」の謙譲語
「行く」の謙譲語には、「伺う」の他に「参る」という言葉があります。例文を見てみましょう。
・明日の1時に御社へ参ります。
・のちほどそちらへ参りますので、もう少々お待ちください。
「伺う」は行く先の相手を敬う意味合いがありますが、「参る」には自分の行為を丁寧に示す表現です。どちらも敬語表現として適切ですが、より敬意を表したい場合は「伺う」を使うとよいでしょう。
「伺う」の類語表現
「伺う」には他にも、類似した表現があります。場面に応じて使い分けてみるとよいでしょう。それぞれの内容をご紹介します。
承る
「承る」は「うけたまわる」と読み、「受ける」「聞く」「伝え聞く」の謙譲語です。「聞く」の意味がある「伺う」と類似しています。例文を見てみましょう。
・ご要望は確かに承りました。
・〇月〇日からのご予約を承っております。
・本日は〇〇がお客様のご意見を承りました。
「承」の漢字には、「前のものを受け継ぐ」「相手の意向や意図を受け入れる」という意味があり「相手の気持ちごと受け入れる」といったニュアンスがある言葉です。しっかり聞きとったこと、意図は読み取ったことを伝えたいときに使います。
お聞きする
「お聞きする」は、「聞く」に敬意を表す「お」を付けた謙譲語です。例文をご紹介しましょう。
・御社が〇〇に移転するとお聞きしました。
・先日の会議についてお話をお聞きしてよろしいでしょうか。
「聞く」という意味で使う場合は、「伺う」とほとんど意味は変わりません。「伺う」には他にも意味があるため、「聞く」という意味をしっかり伝えたい場合は「お聞きする」を使う方がよいでしょう。
拝聴する
「拝聴」は「はいちょう」と読み、「拝聴する」は「聞くこと」を意味する謙譲語です。例文を見てみましょう。
・先日の講演では貴重なお話を拝聴できましたこと、感謝しております。
・ぜひ貴重なご意見を拝聴したく、お願い申し上げます。
「拝」という漢字には「頭を深く下げて礼をする」「ありがたく受け取る」という意味があります。「伺う」に比べると、相手の話をありがたく聞くという姿勢や気持ちをより強く示すことができるでしょう。
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「伺う」の英語表現
「伺う」を英語で表現すると、3つの意味ごとに次のようになります。
・聞く:「hear」「be told」
・尋ねる:「ask 」「inquire」
・行く:「visit」「come」
それぞれ、場面や意味によって使い分けましょう。例文をご紹介します。
・I was told you were ill.
(ご病気と伺いました。)
・Excuse me, may I ask the way to the station?
(ちょっと伺いますが、駅はどこですか?)
・I’m going to visit your office at 11 a.m. tomorrow morning.
(明日の午前11時に御社に伺います。)
「伺う」の意味を理解して正しく使い分けよう
「伺う」は複数の意味がある謙譲語です。意味を理解し、正しく使い分けましょう。メールでも口頭でも使えますが、メールでは意味の履き違えが起きないようにしなければなりません。丁寧にしようとするあまり、二重敬語にならないよう注意も必要です。ニュアンスを正確に伝えるために、類語表現を使うのもよいでしょう。
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