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2022.12.02

誤用に注意!「小春日和」とはいつ? 正しい意味や使い方を紹介

 

小春日和とは、春先の暖かい日と勘違いしていませんか? 当記事では、小春日和の正しい意味や使い方、類義語、外国での表現など例を挙げながら紹介します。

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小春日和とは

「こはるびより」と読みます。意味は、「初冬の穏やかで暖かい日和」のこと。いかにも小春らしい日のことです。

青空のもとに咲くコスモス

「小春」という言葉のイメージから、「春先の穏やかで暖かな天気」のことと勘違いする人が多いようです。平成26年度に文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、約4割の人が間違った「春先の穏やかで暖かな天気」と回答しています。

年齢別に見ると16~19歳で66.1%、20代で54.5%と他の年代より高く、5割を超えています。このことから、若い人を中心に本来の意味を認知していないことがわかります。

一方で50代では60.2%、60代では58.4%の人が正しい意味を認知していました。この年代は、山口百恵さんの『秋桜』というヒット曲をご存じでしょう。コスモスの花が咲く秋に嫁いでいく娘から母への歌です。歌中のサビに出てくる「小春日和」という歌詞から本来の意味を知った人もいるかもしれません。

小春とは

小春とは陰暦の10月の別称で、現在の11月から12月上旬にあたります。古くから文学作品にもよく用いられる表現です。

1:「十月は小春の天気。草も青くなり梅もつぼみぬ」(兼好『徒然草』第155段)

訳:(陰暦)十月は春のように暖かいお天気である。草も青くなり梅もつぼみをつけた。

2:「秋から冬に成る頃の小春日和は、斯の地方での最も忘れがたい、最も心地の好い時の一つである」(島崎藤村『千曲川のスケッチ』)

3:「小春日和(コハルビヨリ)の日曜とて、青山の通りは人出多く、大空は澄み渡り」(国木田独歩『酒中日記』)

このように、古くから、秋から冬にかけて訪れる春のような暖かな日は、人々にとって癒やしの一日になったのでしょう。

小春日和という季語

小春日和は俳句などでもよく使われます。陰暦10月、現在の11月から12月を表すことから冬の季語です。実際には、俳句の17音に「こはるびより」という6音を使ってしまうのは他の表現に影響があるので、「小春」が冬の季語と覚えておきましょう。

小春日のをんなのすはる堤かな(室生犀星)
(解釈)
冬の訪れを感じる頃に、春のような暖かな陽が降り注いでいる。こんな日は土手に座ってひなたぼっこも気持ちいい。ふと、見ると女性が座っているよ。

念力のゆるみし小春日和かな(高浜虚子)
(解釈)
初冬の寒さがふとゆるんだ、春のような日差しが暖かい。(念力とは寒さのこと)

寒さに向かう頃、ふと訪れる暖かな一日の風景は、つい一句詠みたくなる気候なのでしょうね。

小春日和の使い方

小春日和とは、春ではなく晩秋から初冬にかけて使う語です。気象庁でも、報道発表資料に用いる語として「晩秋から初冬にかけての暖かく穏やかな晴天」と定義づけています。使い方の例を挙げます。

小春日和

1:ここ数日は暖かな小春日和が続きましたが、明日からは冬本番の気候となるでしょう

2:小春日和の冬の一日、ピクニックに行くには最高だった

3:外に出てみたら意外と暖かい。今日は小春日和だな

小春日和の類義語

「温かく穏やかな天気」という意味では、類義語として、「うららか」や「のどか」が挙げられます。しかし、これらは季節を問わず使える語です。「小春」をもとにした類義語としては「小春日」(こはるび)や「小春空」(こはるぞら)「小六月」(ころくがつ)などがあります。使い方の例を見てみましょう。

1:小春日(こはるび) 

小春日和と同様、晩秋から初冬の暖かい日のこと
例文:11月の小春日に息子の七五三詣りをしました

2:小春空(こはるぞら) 

冬に現れる春に似た温暖な晴天のことを指します。
例文:小春空の穏やかな日は、散歩するのに適しています

3:小六月(ころくがつ) 

「小春」と同様に、陰暦の10月の別称です。春を思わせる暖かい日和の続くところからきており、俳句などでよく用いられます。
例文:小六月という呼び名にふさわしく、11月になってもまだ汗ばむ陽気です

外国での小春日和は?

外国にも小春日和を指す表現はあるのでしょうか? 調べてみました。

枯れ落ちる葉の下に手を広げて立つ女性

英語では?

和英辞典をひくと「Indian summer」とあります。なぜインディアンサマーと呼ばれるのかはいくつか説があります。

1:アメリカンインディアンが冬支度をするために夏のように働く時期だから
2:インディアンが住んでいた地域に特に小春日和のような天候が多く見られたから

 

このほかにもいろいろな説があります。いずれにしてもアメリカ先住民の「アメリカンインディアン」と関係していることは確かでしょう。しかし、現在では「ネイティブアメリカン」と呼ぶことから、この表現がふさわしいかどうか疑問視する見方も。

また、英語では「晩年の穏やかな落ち着いた生活をする時期」や「人生や時代の円熟した晩年期」の比喩として用いられることもあります。

英語以外では?

英国では11月11日の聖マルティヌス祭の時に夏のように暑くなることから「Saint Martin’s summer(聖マルティヌスの夏)」、ドイツでは「老婦人の夏(Altweibersommer)」、ロシアでは「夫人の夏(bab’e leto)」という表現が使われているようです。小春日和に蜘蛛の糸が日差しに輝いた様子が婦人の白髪の様子に見えるから、という説があります。

参考:改訂新版 世界大百科事典(平凡社)

まとめ

小春日和は「春」という文字があることから、暖かな春の一日を指す、と勘違いしがち。しかし、晩秋から初冬にかけて使う言葉で、使う時期が短いのです。12月半ば過ぎや春先に使うのは誤った使い方なので注意しましょう。

本当の春に向かう暖かさではなく、寒さが厳しい冬に向けて一時的に訪れる暖かさ。そんなつかの間の心地よい陽気を楽しみたいですね。

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執筆

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
ライター所属:京都メディアライン

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