「貴学」の基礎知識
「貴学」は、相手先への敬称として用いられる言葉です。読み方は〈きがく〉で、メールや文書などでよく使われています。大学を受験する際に提出することのある「志望理由書」でも、「貴学」を使います。
はじめに、貴学という表現の詳しい意味や面接で話し言葉として使うのか、例文などを解説します。「貴学園」「貴学部」の使い方、貴学の対義語・反対語についても、それぞれ詳しくチェックしていきましょう。
■貴学の意味とは?
【き<貴>】
(1)接頭
1.人や人の集団を表す言葉に付いて、身分・位・家柄などが高いことを表す。「―公子」「―夫人」「―族」
2.相手または相手に属する物を表す語に付いて、敬意をもって「あなたの」の意を表す。「―国」「―社」「―研究所」
(2)接尾人を表す語に付いて、年長者などに対する敬愛・親愛の気持ちを表す。「姉―」「伯父―」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
貴学の「貴」とは、相手やその属するものについて敬意を表していることを示す言葉です。「学校」を表す「学」とあわせて貴学とすることで、「あなたの学校」という意味を敬意を示して表現しています。
貴学は、大学を指して使うことが多い言葉です。4年制大学だけではなく、6年制や短期大学なども使います。
また、貴という言葉は、ほかにも「貴女」「貴殿」「貴社」「貴兄」などと使います。
■貴学は面接で話し言葉として使う?
「あなたの学校」を敬意を示して表している貴学は、大学を受験する際などに使うことが多いです。話し言葉として使われるケースもあるものの、基本的には書き言葉としてメールや文書などで用いられています。
面接で話し言葉として使う場合には、「御校」などの言葉を使うと良いでしょう。大学を受験する際に貴学を使用するならば、志望理由書や履歴書を書く際などに使います。
■貴学の使い方・例文
先述のとおり、貴学とは尊敬の念を示しつつ「あなたの学校」を表す言葉であるものの、基本的には面接などではなく志望理由書や履歴書で書き言葉として使います。貴学を使った例文は、以下のとおりです。
・私は看護師になるために、貴学の看護学科で学びたいと考えています。看護師を目指している理由は、〇〇です。貴学の看護学科の〇〇という特徴により、私の学びたいことがしっかりと学習できると感じています。
志望理由書などを書く際は、上記のように自分のことを「私」といい、志望する大学や短期大学のことを「貴学」と書くように気をつけましょう。また、「ら抜き言葉」や誤字脱字、話し言葉などを使わないように注意が必要です。さらに、さまざまな文章表現を使って文章の調子が単調だと感じられないようにすることも、ポイントのひとつだといえます。
■「貴学園」「貴学部」の使い方
貴学と似た言葉として、「貴学園」「貴学部」もあります。これらの言葉は、貴学とは表現しているものが少々異なることに注意が必要です。「貴学園」とは、「〇〇学園」などの学校法人を指して使います。また、「〇〇学院」の場合は「貴学院」と表現します。
「貴学部」は、「文学部」などの大学で専攻する分野によって分けた「学部」に対して尊敬をもって表したいときに使う言葉です。「学科」に対して表現するときは、「貴学科」と使います。
■貴学の対義語・反対語
貴学とは相手の属する学校、とくに大学に対して尊敬をもって表現する場合に使う言葉です。つまり、貴学の対義語は自分の属する大学を指す言葉だといえます。
自分の属する大学を指す言葉は、以下のとおりです。
・本学
・本大学
・当大学
たとえば、「本大学では外国語でのコミュニケーションに力を入れています」などと使います。
貴学と似た表現との違い
貴学と似た表現には、「貴校」や「御校」などがあります。
なお、大学院を表そうとして「貴学院」といってしまうことがあるものの、この表現は誤りです。「貴学院」と使う場合には、大学院ではなく「〇〇学院」を表しています。大学院を表したい場合にも、大学を指す場合と同じく貴学を使うため、注意しておきましょう。
それでは、貴学と似た表現との違いを解説します。
■「貴校」の意味と貴学との違い
貴校とは、相手の学校を敬意を込めて表すときに使う書き言葉です。貴校の「校」は、「勉学を学ぶところ」を意味していて、〈きこう〉と読みます。
「貴学」との違いは、貴学が主に“大学”を指して使うこと、「貴校」は“さまざまな学校”を指して使えることです。貴校は、小学校や中学校、高校、専門学校などを指す場合にも使われています。大学を指す場合にも「貴校」を使えるものの、大学を指す際は「貴学」を、それ以外の学校を指す際に「貴校」を使うことが多いです。
また、「〇〇学園」や「〇〇学院」を指す場合にも貴校という表現を使えます。
■「御校」の意味と貴学との違い
御校も、相手の属する学校を敬意を示して呼ぶ際に使う言葉です。読み方は〈おんこう〉で、「御」には相手に対する敬意を示す気持ちが込められています。
御校も書き言葉として使えるものの、基本的には話し言葉として使うことが多いです。そのため、面接で相手の属する学校を示す場合には「御校」を、メールや手紙などでは「貴学」を使うと良いでしょう。相手の大学を指して口頭でいう場合には、御大学とも表現できます。
「〇〇学校様」と表してもいいですが、少々過剰な言い回しだと感じられてしまうかもしれません。
貴学の意味を理解して正しく使おう
貴学の「貴」とは、相手やその属するものについて敬意を表す言葉です。学校を表す学とあわせることで、敬意を示してあなたの学校という意味を表現しています。
貴学は話し言葉として使われるケースもあるものの、基本的には書き言葉としてメールや文書などで用いられています。面接で相手の属する学校を表す場合には御校や御大学を使い、志望理由書などでは貴学を使うと良いでしょう。
反対に、自分の属する大学を指す言葉には、本学や本大学、当大学などがあります。貴学と似た表現には貴校や御校などがあるものの、それぞれの使い方には違いがあります。大学を受験する際などの大事なシーンで間違った使い方をしてしまわないように、しっかりと理解しておきましょう。
それぞれの言葉が持つ意味や使い方、類語との違いなどを確認して、さまざまな言葉を正しく使えるようになりましょう。
▼あわせて読みたい