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【目次】
プログラミングおもちゃの目的やメリットとは?
プログラミングを使ったおもちゃは「プログラミングトイ」とも呼ばれ、論理的な思考を育む知育玩具として、近年人気です。文部科学省の方針により、小学校や中学校、高校ではプログラミング教育の本格導入も始まっています。
プログラミングを通して論理的思考を学べる
プログラミングおもちゃは、遊びを通してプログラミングを学習できる知育玩具です。PC・タブレットと連携できる商品もあります。幼児用の簡単なものから、小学生以上に向けた本格的なものまで難易度もさまざまで、子供の成長に合わせてプログラミングへの興味を引き出せます。
プログラミングおもちゃの大きな特徴は、動き・形などを自分で決められることです。目標とする動き・形を実現するためには、適切な場所に配置したり、正しく命令を出したりする必要があります。遊びながら「目的を達成するにはどのようなプロセスが必要か」という論理的思考を学べるのが魅力です。
小学校では2020年度から必修に
プログラミング教育は、2020年度から小学校で必修化されました。2023年時点では、専門の教科としては設けられておらず、ほかの教科のなかでプログラミングを使った学習が取り入れられています。
小学校では主に算数や理科、総合など複数の教科が対象です。なお、2021年度からは中学校でも技術・家庭科分野における一部項目が必修化となっています。
小学校のプログラミング学習では、基本的に難解なプログラミング言語などは使いません。目的を達するためにコンピューターでどのような指示をすればよいか、といった「プログラミング的思考」を学びます。
参考:新学習指導要領のポイント(情報活用能力の育成・ICT活用)|文部科学省
参考:小学校プログラミング教育の手引(第三版)|文部科学省
プログラミング必修化の背景にある「STEAM教育」とは
プログラミングの必修化は、文部科学省が推進する小・中・高校生を対象にした「STEAM(スティーム)教育」の取り組みに基づいています。
STEAM教育は、アメリカで生まれた「STEM(ステム)※」教育に、芸術(Arts)をプラスした教育方法です。STEM・STEAMともに、現代社会の課題解決のために融合的に取り組むべき学問や技術を指しています。
※STEM:科学(Science)・技術(Technology)・工学(Engineering)・数学(Mathematics)の頭文字
参考:STEAM教育等の各教科等横断的な学習の推進|文部科学省
プログラミングおもちゃの種類は主に3つ
プログラミングおもちゃにはさまざまな種類がありますが、代表的なタイプとしてはパズル・ボードゲーム、ブロック、ロボットの3種類が挙げられます。種類ごとの特徴や適した年齢の目安を、比較的難度の低い順に解説します。
パズルやボードゲームタイプ
パズルやボードゲームタイプは、プログラミング学習の導入にぴったりです。車やキャラクターの人形などを自由に動かし、ゴールを目指す遊びのなかで、プログラミングの土台となる論理的思考に触れられます。感覚的に操作しながら学ぶ仕組みなので、読み書きが難しい幼児でもスムーズに取り組める傾向にあります。
また、パズル・ボードゲームタイプの商品は、すごろくのように複数人で遊べるのも特徴です。親やきょうだいと遊びながら、動かし方やゴールに向かう手順などを視覚的に覚えていくことも期待できます。
ブロックタイプ
さまざまな難易度の商品がそろうブロックタイプは、幼児から小学校高学年、大人までが楽しめるおもちゃです。ブロックは、自由に組み立てて形をつくれるオープンエンドトイです。ブロックを連結させるだけのため、幼児や小学校低学年の子供でも取り組みやすくなっています。
内部に電子部品が組み込まれた商品を選ぶと、ブロックでつくったアイテムをロボットのように動かせます。直感的な組み立て・連結からアイテムの動作へと、段階を踏んでプログラミング学習へつなげる方法もあります。
ロボットタイプ
自分で命令を考えて操作するロボットタイプは、より本格的なプログラミングを体験できるおもちゃです。自分で命令を考えてロボットに指示するため、不具合やエラーがあると動きません。
ブロックタイプやパズル・ボードゲームタイプと比べて難度が高い分、試行錯誤して命令通りに動かすといった成功体験が期待できます。
命令を設定する方法は大きく、「テキストプログラミング」と「ビジュアルプログラミング」に分かれます。テキストプログラミングではプログラミング言語を使うため、PC操作に慣れた小学校高学年ごろがおすすめです。一方でアイコン・絵を用いたビジュアルプログラミングは、入力が難しい幼児や小学校低学年でも取り組みやすい傾向にあります。
プログラミングおもちゃの選び方
初めて使うプログラミングおもちゃだからこそ、選び方も知っておくことが大切です。プログラミングおもちゃを子供の成長に役立てるためのポイントを紹介します。
対象年齢を確認し成長に合わせて選ぶ
プログラミングおもちゃの多くは、製造メーカーによって対象年齢が定められています。機能や遊び方を考慮して設定されているため、商品のパッケージや公式サイトなどで対象年齢を確認するようにしましょう。
個人差はあるものの、対象年齢よりも早く取り入れると、子供にとっては難易度が高く感じられるかもしれません。子供の成長に合ったプログラミングおもちゃを選ぶことで、より高い学習効果が期待できます。
たとえば、文字の認識が難しい幼児でも、アイコン・絵を使った商品なら取り組みやすい傾向にあります。英語学習やPC操作にも慣れてくる小学校高学年ごろからは、プログラミング言語を使ったおもちゃに挑戦させるのもおすすめです。
組み立て型か完成型かで選ぶ
「組み立て型」か「完成型」かで、プログラミングおもちゃを選ぶのもひとつの方法です。
組み立て型は自分で組み立てるところも学習の一部になっており、子供の発想・アイデア次第で遊び方が広がる点が大きなメリットです。一方で、組み立てにつまずくと遊ぶ意欲がそがれ、プログラミング学習自体に苦手意識を持つ恐れもあります。
完成型のプログラミングおもちゃは組み立てが不要で、年齢の低い子供でも取り組みやすいのがメリットです。ただし、完成型のおもちゃは組み立てる経験がない分、完成までの試行錯誤にともなう達成感は味わいにくいという面も考えられます。
PCやタブレットなどの必要性もチェック
プログラミングおもちゃのなかには、PC・タブレットに接続して使う商品もあります。手持ちのPC・タブレットがない場合は、おもちゃ本体にプログラミング機能のある商品がおすすめです。
また、Windows・Mac・AndroidといったOSが対応していないと、プログラミングおもちゃは使えません。商品を購入する前に、パッケージやメーカーの公式サイトなどで、PC・タブレットの必要性と対応するOSを確認することが大切です。
3~5歳におすすめのプログラミングおもちゃ
3〜5歳のプログラミングおもちゃは、子供の好奇心をくすぐる仕掛けがポイントです。カード・パズル・ボール・ダイヤルなどを取り入れたプログラミングおもちゃを紹介します。
学研ステイフル「カードでピピッと はじめてのプログラミングカー」
カードを使って命令を出す、ボードゲームタイプのプログラミングおもちゃで、3歳から遊べます。駅・病院・信号などが描かれた「ぼうけんマップ」上でプログラミングカーを走らせるために、順路とゴールを決めます。
ひらがな・カタカナで記載された「めいれいタグ」で進む方向やアクション(ハザードやクラクションなど)をプログラミングするため、年齢の低い子供でも取り組みやすい商品です。2018年の「日本おもちゃ大賞」では、エデュケーショナル・トイ部門の大賞を受賞しています。
インターネット接続やアプリのダウンロードは不要で、プログラミングカーの裏に電池を入れるだけで遊べます。
商品名:学研ステイフル「カードでピピッと はじめてのプログラミングカー」
くもん出版「ロジカルルートパズル」
ボードの上部からカラーボールを転がして、同じ色のゴールへ入るように道(ルート)をつくっていきます。道のピースは「直線」と「交差」の2種類です。道のピースをはめ込み、ボールを転がして結果を確かめる仕組みは、感覚的な操作を好む幼児期にぴったりです。対象年齢は4歳から。
レベル別に60通りの課題が書かれた問題集つきで、段階を踏んで論理的思考を学べます。難易度の上がる、予測不能な「トンネルピース」も付属しており、繰り返し試してみることで子供の問題解決能力を育みます。
PC・タブレットなどは必要なく、開封してすぐに遊び始められるのもポイント。
商品名:くもん出版「ロジカルルートパズル」
バンダイ「ころがスイッチドラえもん ワープキット」
カラフルなブロックを連結させてルートをつくり、完成したらボールを転がして、ゴールで待つドラえもんに届けられるかを試すおもちゃです。
タケコプターやエスパー帽子など、ドラえもんの秘密道具をモチーフにした5種類のパーツは、それぞれがボールの動きを変則的にします。それらを取り入れながらゴールまでの道筋を試行錯誤することで、考える・組み立てる・試す・直すといった問題解決のプロセスを体験できるのが魅力です。
対象年齢は3歳以上で、インターネットの接続は不要のため、開封後はすぐに遊び始められます。
商品名:バンダイ「ころがスイッチドラえもん ワープキット」
フィッシャープライス「コード・A・ピラー ツイスト」
背中部分についた5つのダイヤルで、いもむし型のロボットを動かします。ダイヤルには、いもむしの進む方向のほか、おしゃべりなど動作に関するコードも合計で8種類ついています。
動作のコードはダイヤルごとに異なるので、組み合わせ次第で1,000通り以上の動きを楽しめるのが特徴です。ダイヤルを回すだけのため、年齢が低い子供でもスムーズに取り組めます。
ロボット本体にプログラミング機能があるため、インターネット接続やアプリのダウンロードは不要です。
商品名:フィッシャー プライス「コード・A・ピラー ツイスト」
5~7歳におすすめのプログラミングおもちゃ
小学校前の時期である5〜7歳には、遊びのなかに本格的なプログラミング要素を取り入れたおもちゃがおすすめです。
タカラトミー「ポケモンパッド ピカッとアカデミー」
ポケットモンスターのキャラクターたちと、楽しく遊びながらプログラミングを学べるゲーム型タブレットです。対象年齢は3歳以上で、5〜7歳頃まで長く遊べます。100以上のメニューが本体に収録されており、インターネット接続やアプリのダウンロードは必要ありません。
小学校のプログラミング学習も意識した内容で、入学前から取り入れるのもおすすめです。プログラミングメニューでは、プログラミングのほか、エンジニアリングやアニメ制作、作曲なども体験できます。マイクと判定機能がついており、手本に合わせた英語の発音レッスンや、音読・早口言葉などの練習も可能です。
商品名:タカラトミー「ポケモンパッド ピカッとアカデミー」
ロジブロックス「シークレット・レコーダー」
対象年齢5歳以上で、大人まで幅広い年代で楽しめるブロックタイプのプログラミングおもちゃです。
ブロックは役割に応じてカラーが分かれています。ボタン・光センサー・電源供給ベース・録音&再生などの役割を持ったブロックで遊びながら、ITの仕組みを学べます。
4色のブロックと空き箱を使い、開けると同時に「誕生日おめでとう!」という音声が流れるサプライズボックスをつくることも可能です。身近なアイテムを使ったプログラミング体験は、テクノロジーの基礎学習にも役立ちます。
商品名:ロジブロックス「シークレット・レコーダー」
タカラトミー「e-Craft embot(エムボット) スターターキット」
ダンボールでつくったくま型のロボットを動かす、対象年齢6歳以上のプログラミングおもちゃです。はさみ・のりを使って切ったり折ったりできるダンボール工作は、小学校低学年の子供でも比較的簡単に取り組めます。
紙コップ・空き箱・牛乳パックなどの身の回りの素材を使って、オリジナルの要素を足すのも楽しみのひとつ。
完成したロボットを操作するには、タブレット・スマートフォンに専用のアプリをダウンロードする必要があります。ブロック式とフローチャート式を選べるアプリでは、子供の習熟度に合わせたプログラミング学習が可能です。
商品名:タカラトミー「e-Craft embot(エムボット) スターターキット」
7~10歳におすすめのプログラミングおもちゃ
小学校のプログラミング教育に触れ始める7〜10歳には、ソフトウェアを組み合わせた商品がおすすめです。オンラインで使えるプログラミングおもちゃは、同時にPC・タブレットなどの操作を学べます。
レゴ エデュケーション「SPIKE ベーシックセット」
STEAM教育を取り入れた小学校低・中学年向けの学習教材です。「レゴ エデュケーションSPIKE アプリ」をダウンロードすると、オンラインでプログラミング学習を進められます。
組み立ての初期段階では、フィギュアや重ねるだけの組み立てブロックのような扱いやすいアイテムが用いられるのが特徴です。日常的なテーマを題材とした内容にはストーリー性があり、楽しいレッスンを通して問題解決のプロセスを体験できます。
商品名:レゴ エデュケーション「SPIKE ベーシックセット」
Makeblock「codey rocky」
完成型のプログラミングロボットはAIに対応しており、感情表現や色の検出といった命令が可能です。手間のかかる組み立ては必要なく、箱から出したらすぐに遊び始められます。
2種類の専用ソフトウェアがあり、ロボットのコントロールはもちろん、プログラミング言語のひとつ「Python」を使ったコーディングも体験できます。Bluetooth機能があるため、手持ちのスマートフォン・タブレットにつなげて使えるのもポイントです。
商品名:Makeblock「Codey Rocky」
ソニー「toio バリューパック」
コンソール(操作部)と2台のキューブ・リング型コントローラーから構成される「toio」と、別売の専用タイトルを組み合わせて遊びます。工作・ドライブ・音楽・ロボット操作といった専用タイトルがそろっているため、幅広いプログラミング体験が可能です。
6歳以上を対象にした「バリューパック」には、toio本体と専用タイトル「トイオ・コレクション」が入っています。
付属のプレイマットを使うと、PC・タブレットなどがなくてもキューブを用いた5種類の遊びを体験できます。キューブはPCが必要な「toio Do」のビジュアルプログラミングにも対応しており、本格的なプログラミングへのステップアップも可能です。
商品名:ソニー「toio バリューパック」
10歳以上におすすめのプログラミングおもちゃ
ある程度プログラミング学習に慣れた10歳以上には、発展的な内容も体験できる商品がおすすめです。オリジナルロボット・電気回路など、子供の好奇心をくすぐるプログラミングおもちゃを紹介します。
ソニー「KOOV アドバンスキット EKV-200A」
同シリーズの「スターターキット」と「拡張パーツセット」を合わせた完全版です。アドバンスキットに入っている小さなブロックと電子パーツを組み合わせると、20種以上のカラフルなロボットをつくれます。
専用のアプリをダウンロードすると、PC・タブレットなどからロボットの組み立て方(ロボットレシピ)を3D動画で確認できます。つくったロボットは「じゆうせいさく」として公開でき、ユーザー同士で「いいね!」やコメントなどの交流も可能です。
そのほか「がくしゅうコース」もあり、プログラミングの基礎が学べます。
商品名:ソニー「KOOV アドバンスキット EKV-200A」
サイエンス玩具研究所「電脳プログラミング ビギナー」
「電脳サーキット」と呼ばれる電子回路を使い、ゲーム感覚でプログラミングを学べる商品です。PCに無料でダウンロードできるサンプルプログラムは全18種あり、プログラミング言語の横に日本語による各指示の解説がついてきます。慣れてきたら、サンプルプログラムを自分で書き換えてみることも可能です。
電気回路で遊びながら、実際に使われているプログラミング言語の意味・構造が理解しやすいのもポイントです。
商品名:サイエンス玩具研究所「電脳プログラミング ビギナー」
SB C&S「micro:bit アドバンスセット v2対応版」
小型のコンピューターボード「micro:bit」は、イギリスの公共放送局(BBC)が主導し、子供たちがプログラミングを学ぶためにつくられたボードです。アドバンスセットにはmicro:bit本体のほか、超音波センサーや温湿度センサーなどが入っています。
無料のプログラミングソフトをPCにダウンロードし、温度・地磁気センサーの測定結果をもとにしたプログラミングを組むことも可能です。
ロボット教育学の第一人者と共同制作されたスタートガイドもついており、micro:bitを使ったプログラミングを段階的に学習しながら実践もできます。
商品名:SB C&S「micro:bit アドバンスセット v2対応版」
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