【目次】
4年ぶりの家族海外旅行。決め手は近い、安全、そして異国情緒たっぷり!
新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことで、ようやく日本からの海外旅行も以前と変わりなく旅できるようになりました。コロナ禍のさなかにスタートしたこちらの「終わりなきパパジャーニー」はこれまで国内旅行の紹介が中心でしたが、今後はより「現地でしかできない体験」を追求し、海外子連れ旅の発信(不定期)にシフトしていく予定です。今後ともよろしくお願いいたします。
さて、我が家にとって4年ぶり、娘は初となる海外旅行。行き先に悩んだのは言うまでもありません。当然ハワイも頭をよぎりましたが、せっかく海外に行くのであれば、ホテルやプールでのんびりするだけでなく、その国ならではの体験をさせてあげたい。そして「まもなく5歳になる息子に、親として何を見せてあげたいだろう?」と考えた時に、ふと頭に浮かんだのが『地球の歩き方』編集部にいた時に担当していた香港でした。
▲高層ビルが立ち並ぶ香港島。100m以上のビルの数ではNYや東京をおさえて香港が世界一。
香港は直行便で片道約4〜5時間。フライト数も多いため、子供たちに負担の少ない時間帯を選ぶことができ、時差もわずか1時間。2019年に頻発していた民主化デモも現在は鎮静化し、かつての治安のよい香港に戻っていることも当然プラス材料でした。
何より香港は高層ビルが林立する世界屈指の近代都市でありながら、すぐ裏手には下町が広がり、ディープな海外の日常を体感するのにぴったり。日本とは違う「異国の景色」や「アジアの雑踏」を今子供たちに見せてあげたいと考えていた我が家にまさに理想的な旅先です。ちょっと現実的な話をすると、物価や旅費(航空券の燃油サーチャージなども)もアメリカ方面よりはだいぶ安く、伊澤家4年ぶりの海外旅行は香港に決定しました。
ちなみに香港では全世界で50万枚の航空券が配布されるキャンペーン「ワールド・オブ・ウィナーズ」を開催。日本向け航空券は2023年6月からを予定しており、ぜひこちらのキャンペーンもチェックした上で記事もご覧ください!
▲2階建てトラムから眺めた香港島の街並み。大人もワクワクする異国情緒が香港にはあります。
バードガーデン、フラワーマーケット、金魚街。市場を巡り、異文化に触れる。
自分の体験上、旅先で史跡や名所を巡るのはもちろん興味深いことですが、その国の市場を覗いてみることが、実は文化の差異をダイレクトに感じ、異国にいることを強く実感できたりします。
今回の旅ではまず子供たちに見せてあげたかったのは、「世界にはさまざまな文化がある(異文化体験)」ということ。当たり前のことですが、大人であっても光や音、匂いなど五感を通じて異文化に触れることは、感受性を刺激したり、視野を広げたりする上でとても大切なことだと思っています。4歳の息子にとって、旅を通じた相互理解や視野拡大まではまだ先の話。とはいえ今回の旅では特段子供扱いせず、大人と一緒に(とはいえ子供が関心を持ちやすい範囲で)香港ならではの景色を見て回りたいと考えました。
そこで家族で向かったのは九龍半島側の旺角(モンコック/Mong Kok)という下町エリア。ここは「バードガーデン」「フラワーマーケット」「金魚街」といった個性的な専門店街(市場)がすべて徒歩圏内に集結し、香港ならではの文化や生活習慣を垣間見るのにぴったりな場所なのです。
▲鳥たちのさえずりが響きわたるバードガーデン。基本はカゴ内に入れられていますが、中にはこうしてパフォーマンスを見せてくれるお店も。
▲鳥カゴも風水上、「運を取り込む」アイテムとして香港では欠かせないもの。
バードガーデンがある「園圃街雀鳥花園」内では、小鳥だけでなく、カゴや餌なども販売。風水を大切にする香港では、鳥は天の遣いであり、ペットとして飼うことで幸運を呼び込むと信じられています。大人でも「へぇ!」と思うトリビアをわかりやすく子供に説明してあげながら、カゴをのぞいたり、オウムとしゃべってみたりすると、動物園よりはるかに生き物を身近に感じられるのではないでしょうか。
鳥愛好家の方が肩に鳥を乗せて公園内で談義する姿などは、まさにここでしか見られない景色。ちなみに香港人はみんな子供に優しく、興味津々で鳥を覗き込む息子に餌やりを体験させてくれたり、鳴き声の違いを聞かせてくれたり、とてもフレンドリーに接してくれます。
▲日本ではあまり見かけない色のカンガルー・ポウを販売するフラワーマーケット。匂いを嗅いで興味津々の息子(笑)
▲日本でおなじみの胡蝶蘭やスイセン、カーネーションなども並び、甘い香りに包まれます。
バードガーデンを出てすぐ目の前の通りが、花墟道(フラワーマーケットロード)。300mほどの道沿いに100軒近い花屋が立ち並ぶ、活気あふれる専門店街です。香港では「花開富貴(花が開いて金が満ちあふれる)」の考えのもと、さまざまな節目に花を買って幸運を呼び込もうとする習慣があり、旧正月(春節)の時期には紅桃(ホントウ)と呼ばれる良縁祈願の赤い桃の花や、金運をもたらすとされる金柑(キンカン)などがずらりと並びます。
また誕生日や母の日、バレンタインデーなど記念日に花を贈るのにも積極的で、街なかで花束を持った香港人を見かける機会も多かったりします。亜熱帯気候に属する香港は、南国の植物も元気いっぱい。ここフラワーマーケットではそんな風習や気候の違いを、花々を通じて子供と体感してみてください。息子も日本で見たことのない鮮やかな花を見つけては匂いを嗅ぐなど、五感をフルに使って楽しんでいました。
▲金魚街の店頭に並ぶビニール袋。国によって飼うペットも目的も様々。そんなことを子供と話しても面白いかもしれません。
▲花園街で見つけたドリアン。豊富な栄養価と濃厚な甘み、ねっとりとした食感でフルーツの王様の異名を誇ります。
そしてフラワーマーケットロードから徒歩5分ほどのところにあるのが「金魚街」。通菜街という通りの北側に、ビニール袋の中に金魚を入れて販売する金魚店が両サイドに立ち並んでいます。私が訪れるのは今回で3回目でしたが、ここはいつ来ても独特の世界観に圧倒される場所。夕方になると袋がネオンでライトアップされ、さらに幻想的な光景になります。ちなみに金魚もまた風水で「金余=お金が余る」として金運アップの象徴とされているのですが、住居の狭い香港でも金魚ならペットとして飼いやすいという側面もあるようです。
ちなみにこの通菜街の東側に並行して走る「花園街」も人気のローカル市場。洋服やスニーカー、日用品に加えて、果物なども販売していて、日本ではなかなか見かけない南国の果物がずらりと並んでいます。くれぐれもドリアンは匂いを嗅ぎに行かないよう、事前に子供に教えてあげるとよいかと思います(笑)。
前述のとおりこれらの専門店街はすべて徒歩圏内にあり、大人も子供も気軽に香港ならではの文化に触れられるスポットとしておすすめ。どれも一応ガイドブックに記載があり、観光客が訪れても安全なスポットです。ただし、昼夜問わず人通りが多いので、しっかりと子供と手を繋ぎながら歩きましょう。ベビーカーは避けたほうがよさそうです。
香港は公共交通機関移動も醍醐味。2階建てトラムでは世界でも超レア!
市場見学と同じくらい地元の人々の暮らしぶりを垣間見られるのが公共交通機関。香港の場合、路線網の利便性で考えれば地下鉄の移動がおすすめですが、そこをあえてバスやトラム、また九龍半島と香港島を結ぶフェリーにも乗ってみるのも貴重な体験となります。公共交通機関なので運賃は格安ですが、乗り物好きのお子さんなら大喜び間違いありません。これらの車窓から眺める景色が、香港人が普段眺めている素顔の香港。遠くからはきらめく夜景だった高層ビルも、日中間近で見ると室外機や洗濯物などが溢れていますが、これはこれでとても見応えも十分です。
特に香港島を走るトラムは創設から120年近い歴史をもち、今でも2階建て車両(ダブルデッカー)が走っているのは世界でもイギリス、エジプト、香港などわずかな地域だけというとても貴重なもの。もし時間が許すのであれば、上環(ションワン)から北角(ノースポイント)あたりをのんびりと往復してみてください。商業地、金融街、集合住宅とさまざまな香港の街並みを一度に堪能できます。おすすめ席はもちろん2階の最前列。ただし、トラムが動いている際は揺れるため車内で移動したり、立ち上がったりしないように!また乗車時も、トラムが駅にスレスレで入ってくるのでくれぐれもお子さんの手を握り、目を離さないように気をつけてください。
▲九龍半島と香港島を結ぶフェリー。夜になると夜景を至近距離で眺められる特等席に。
▲トラムの2階席最前列。運賃も1回あたり大人3香港ドル(約50円)と格安ですが、現金払いだとお釣りが出ないので注意。
水族館、動物園、テクノロジー体験。キッズの学びが詰まった「オーシャンパーク」
最後に香港子連れ旅に魅力的なテーマパークも紹介。香港には2大テーマパーク「香港ディズニーランド」と「オーシャンパーク」がありますが、前者は様々なブログなどでも紹介されているため今回は割愛します。
ここで紹介する「オーシャンパーク」も一見すると遊園地要素が強いのですが、実は水族館と動物園エリアだけでも広大な敷地があり、パンダを始めとした日本でも大人気の生き物を、身近に観賞できる展示が魅力。我が家も訪れましたが、まあオーシャンパークが嫌いな子供はいないだろうなというくらいの喜びようでした(笑)。ただとてもじゃないけど1日ではすべて回りきれないほど広大なので、行かれる際は丸一日確保した上で、しっかりお子様の好みやテーマで絞って巡るのがよいかと思います。ちなみに2021年には屋外プールでのスライダーが楽しめるウォーターパークも完成しましたが、そちらは入場チケットが別途必要になるのでご注意。
見どころを絞るとしたら、ここも香港ならではという視点からジャンアント・パンダが至近に迫る「ジャイアント・パンダ・アドベンチャー」、幅22m・奥行き38m・高さ7mの円柱状の巨大水槽で大型サメの生態を観察できる「ミスティークシャーク」などがおすすめ。また2021年にオープンした「エクスプローラー・アール」は最新のデジタル技術を駆使した体験型アトラクション。動物が冒険する様子をAI技術で子供の動きとシンクロさせ、進化の過程を学ぶことができ、日本のテーマパークでもなかなかお目にかかれないテクノロジーが詰まっていて一見の価値ありです。
想像以上にコンテンツ豊富で、2歳くらいから中学生くらいまでのお子さんまで幅広く楽しめそうなオーシャンパーク。ちなみに今回は時間がなくて体験できませんでしたが、事前予約制でジャイアントパンダやペンギン、ミーアキャット、イルカ、ゼイウチ、アシカなどとの触れ合いや餌やり体験なども可能。また海洋保護活動に関するインパークプログラムも充実(ただし言語は広東語か英語)していて、お子様の年齢によってはこちらを活用した旅育も面白そうです。
▲待ち時間が極めて少ないジャイアント・パンダ・アドベンチャー。この日も行列や混雑とは無縁!
▲水面、海中、海底の3層から観賞できるミスティークシャーク。オオテンジクザメやノコギリエイ、マダラエイなどが泳いでいます。
▲直感的な動きで操作可能なエクスプローラー・アール。広東語や英語がわからなくてもプレイできました。
以上、コロナ禍以降初となった家族での海外旅行in香港。親子で感動を共有し、コミュニケーションが深まること自体、旅っていいなぁとしみじみ感じましたが、息子の目に香港はどう映ったでしょうか。大人が想像する以上に子供は感受性豊かなので、もしかしたら親の意図するところとはまったく別のところで五感が刺激されているかも。ただ、それはそれでまったく構わないし、子育てや旅育の正解はひとつではないからこそ、子供たちの成長ぶりはそっと観察した上で、これからもいろいろな景色を見せてあげたいと思っています!
取材協力
▶︎香港政府観光局
トラベルエディター
伊澤慶一
旅行ガイドブック『地球の歩き方』編集部にて国内外のガイドブックを多数手がけ、2017年に独立。現在は、雑誌のホテル特集ページ制作を手がけたり、「ワーケーション」や「ステイケーション」をテーマに連載記事の執筆、また自らのInstagramアカウントで日々おすすめホテル情報を発信している。
アカウント:@izawakeiichi
ホテルステイ
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