【目次】
図鑑の世界に飛び込むかのような、沖縄北部の旅
子どもにとって、楽しい旅とは何でしょう?大好きな鉄道での移動、キャラクターに会えるテーマパーク、流れるプールにウォータースライダー、きっとどれも正解だと思います。
これを、さらに「旅育」という観点から計画するとき、子どもが楽しめるというのは大前提のまま、プラスαで「この旅からどんな学びがあるだろうか?」を私は考えています。
今回旅した沖縄北部は、緑と海に囲まれた自然豊かなエリア。東京で暮らす我が家にとって、日常味わえない贅沢な環境が広がり、さらに水族館や植物園、博物館などの文化施設が充実しているのが非常に魅力的でした。
昆虫や植物、海の生物に興味を持ち始めた3歳の息子にとって、それらを身近に、リアルに触れられるまたとないチャンス。言うなれば、「普段読んでいる図鑑の世界に飛び込むかのような旅」を体験させてあげられるのではないだろうか。そんな希望を抱きながら、このエリアを旅することにしました。
▲海洋博公園の南側はトロピカルな植物が生い茂り、3歳の息子にとっては大冒険!沖縄北部という旅先でしかできない体験をご紹介します!
「美ら海水族館」だけじゃもったいない海洋博公園
今回旅した沖縄北部は、本島の名護市以北を指します。このエリアでもっとも有名な観光地といえば、海洋博公園内にある美ら海水族館でしょう。ジンベイザメやオニイトマキエイなど大型の海洋生物と出会うことができ、子連れで楽しむにはぴったりなスポットなのですが、あまりに有名なため今回紹介は割愛します。ここで私がおすすめしたいのが、海洋博公園内の2大施設、「熱帯ドリームセンター」&「海洋文化館」です。
熱帯ドリームセンターは、熱帯・亜熱帯の花や果樹を集めた植物園で、アフリカバオバブや食虫植物など珍しい植物を間近で楽しむことできます。果樹温室内にはチョコレートの原料となるカカオの実がなっており、実物を目の前にチョコレートができる過程を親が説明してあげるのもよいかと思います。熱帯の古代魚アロワナ、体長が10cm以上の蝶オオゴマダラなど、植物以外に生き物も豊富で、まさに「図鑑の世界」が広がったテーマパークと言えるでしょう。
「海洋文化館」は沖縄を含めた太平洋地域における海洋民族の歴史や文化を紹介する施設。かつて人類がどうやって船を造り、海を渡ったか、実物のカヌー展示を眺めながら学ぶことができます。内容を正確に理解できるのは小学生以上かと思いますが、フロアと大型スクリーンをいっぱいに使った映像上映やプラネタリウムなど、飽きさせない演出で3歳の息子も十分に満喫。どちらの施設も大人は有料(熱帯ドリームセンターは760円、海洋文化館は170円)ですが、展示内容も多く、滞在中だけでそれぞれ2回ずつ行くほど楽しめたスポットでした!
▶︎海洋文化館
▲熱帯ドリームセンターのガーデン。花びらの色が多彩な理由や、気候によって育つ植物が違うことなど、実物を前に親がやさしく説明してあげながら散策します。
▲大好きなチョコレートが実はこんな実からできているなんて!事実を知った時の息子は驚いたような嬉しいような、そんな表情で見入っていました。
▲ドリームセンターの展示室が息子のお気に入り。国内外の珍しい昆虫の標本だけでなく、生きたヘラクレスオオカブトやニジイロクワガタもいました。
▲2013年にリニューアルオープンしている海洋文化館。フロアに泳ぐイルカやウミガメを投影するなど、親子で楽しめる演出になっていました!
▲ここは全然知られていない穴場スポット!海洋文化館にある文化体験ルームでは五感を刺激する木育おもちゃが100点ほど並び、0歳児でも楽しめます。
ビーチあり、遊具あり、図書館あり!海洋博公園を隅々まで歩く
沖縄北部の旅育は、この海洋博公園をさらに遊び尽くすのがおすすめです。「沖縄に来てまで、子どもと公園遊び?」と思うかもしれませんが、公園と呼ぶにはあまりに広大で、施設の充実も東京の公園とは比べ物になりません。
美しいラグーンに囲まれ子どもの海デビューにぴったりな「エメラルドビーチ」、パネル迷路やウォールクライムなど約40の遊具が揃う「アクアタウン」、琉球王国時代の村落を再現した「おきなわ郷土村」(残念ながらこの時は工事中のため入れず)、そしてあまり知られていませんが園内には沖縄の自然に関する本が充実する「みどりの図書館」もあります。これらの施設はどれも無料で利用可能、というのも嬉しいポイントです。
都心で暮らしながらも、こうした公園のそばでの子育てを私自身が憧れていたのかもしれません。あてもなくふらりと公園に出かけ、子どもが疲れるまでひたすら園内で遊び、日が暮れたら水平線に沈む美しいサンセットを一緒に眺める。旅育でありながら、大人のヘルスケアにもなりそうな、そんな滞在スタイルが叶えてくれるのが海洋博公園なのです。
▶︎海洋博公園
▲東京ドーム15個分の広さの海洋博公園。園内はジンベイザメやピカチュウなど、子どもが喜ぶデザインのカートが走っています。
▲サンゴ礁に囲まれ波が非常に穏やかなエメラルドビーチ。水質は「AA(もっとも良い)」評価、クラゲ防護ネットもあり、安全安心な海水浴場です。
▲「これはなんだろう?」と好奇心を刺激する遊具が揃うアクアタウンの遊具。園内にはここ以外にもなんとあと2カ所、遊具施設あり。1日ではとても遊びきれません。
▲アクアタウンのすぐそばにある図書館。沖縄の動植物や地理に関する本が充実。もちろん子ども向けの書籍コーナーもあります。
「もとぶ元気村」で動物たちと至近距離で触れ合う!
海洋博公園から車で3分ほどの「もとぶ元気村」は、「やんばるの自然や食材を通して、食べて・遊んで・育む」をコンセプトにした、旅育にぴったりのスポット。常時60種類ほどのプログラムが体験でき、沖縄北部の美しい自然や生き物たち身近に感じることができます。
元気いっぱいのお子様には滑り台やトランポリンなどの海上遊具で遊べる「オーシャンランド」がおすすめ。「バナナボート サンゴ礁ツアー」はボートで遊ぶだけでなく、近くにどんなサンゴが生息しているのかレクチャーを受けることで、海への理解や愛着が深まります。
3歳の息子はリクガメやウミガメ、イルカに餌をあげる「もぐもぐピクニック」に参加しました。以前、北海道でヤギや牛に餌やりをしたことはあったのですが、海の生き物たちへはこれが初めて。何をどう食べるかを理解して欲しかったのはもちろんなのですが、加えて「海にゴミを捨てたら動物さんたちが間違って食べてしまうからダメだよ。」というような話をしました。海をきれいに、というのは簡単ですが、なぜ?の部分を動物の命を守る観点から理解してほしいと思っています。
ちなみに身長110cm以上であれば、イルカについて学んだ後に背びれにつかまって一緒に泳げる「ドルフィンエンカウンター」がおすすめ。沖縄本島で、ホテル宿泊先が関係なくイルカと泳げるのはここだけ。ほかにも4歳以上だと参加可能なプログラムが増え、干潮時の浅瀬でサンゴや海の生き物を観察する「やんばる イノー体験」や釣り体験、伝統的な染物「紅型」のエコバック作りなど、沖縄ならではのプログラムをぜひ親子で楽しんでみてください。
▶︎もとぶ元気村
▲リクガメの餌はなんとハイビスカスの葉。大人も知りませんでした。意外と素早いカメの動きに、キャーキャーとびっくり。
▲12頭のバンドウイルカを飼育。美ら海水族館でもイルカやウミガメに餌やりはできるのですが、こちらの方が圧倒的に至近距離なのが魅力です。
▲沖縄の日本在来馬、与那国馬に乗れるプログラム。競走馬と比べてだいぶ小さいものの、農業や運搬を手伝い役として力強さがあり、150kgまで運べるそうです。
悪天候時にはクラフトづくりに挑戦
沖縄に滞在していると、雨や台風に遭遇することもあるでしょう。そんな時のために、屋内でできるクラフトづくり体験スポットもご紹介しておきます。
私たちが出かけたのは、商業施設「オキナワ ハナサキマルシェ」(後編で詳しく紹介)内にある「Laboratorio 43pottery」。屋我地島にあるやちむん工房の姉妹店で、実際にやちむんやシーサーの絵付けを体験できるお店です。手先、指先を動かす制作は普段の知育でも意識していますが、こちらは沖縄ならではの体験をしながら、おみやげにもなるので一石二鳥!
ちなみにこの日は、息子の強い希望でジンベイザメの絵付けに挑戦しました。さすがにまだ3歳ひとりでは難しく、横で親が終始サポートしての共同作業になりましたが、それもまたいい思い出。やちむんは焼く作業があるため体験後1ヶ月後を目処に発送されるそうですが、シーサーや海の生き物の絵付けは当日の持ち帰りが可能です。
▲完成済みのモチーフに14種類の絵具で色を付け、最後はラメを塗って乾燥させて完成!所要時間はだいたい40分ほど、料金は3,300円(税込)。
▲店内の半分が工房エリアで、もう半分がやちむんや琉球ガラスなどを販売するおみやげエリア。私たちが夢中で製作する中、妻はちゃっかり自分のアクセサリーを購入していました(笑)
▲「できたー!」と嬉しそうな息子。半分以上は親が塗りましたが(笑)、本人も集中して最後までやり遂げたので目一杯褒めました。ちょっと笑顔の口元がこだわりポイントのようです。
以上、まずは旅育の観点から沖縄北部でおすすめの過ごし方をご紹介しました。中編では、海洋博公園にも徒歩で行ける、おすすめのホテルをご紹介します。
トラベルエディター
伊澤慶一
旅行ガイドブック『地球の歩き方』編集部にて国内外のガイドブックを多数手がけ、2017年に独立。現在は、雑誌のホテル特集ページ制作を手がけたり、「ワーケーション」や「ステイケーション」をテーマに連載記事の執筆、また自らのInstagramアカウントで日々おすすめホテル情報を発信している。
アカウント:@izawakeiichi
【これまでの記事はこちら】
▶︎連載・終わりなきパパJOURNEY Vol.1
▶︎連載・終わりなきパパJOURNEY Vol.2
▶︎連載・終わりなきパパJOURNEY Vol.3 前編
▶︎連載・終わりなきパパJOURNEY Vol.3 後編
▶︎連載・終わりなきパパJOURNEY Vol.4 前編
▶︎連載・終わりなきパパJOURNEY Vol.4 後編
▶︎連載・終わりなきパパJOURNEY Vol.5 前編
▶︎連載・終わりなきパパJOURNEY Vol.5 後編
▶︎連載・終わりなきパパJOURNEY Vol.6 前編
▶︎連載・終わりなきパパJOURNEY Vol.6 中編
▶︎連載・終わりなきパパJOURNEY Vol.6 後編
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