ビタミンCとは?〜その働きと効果〜
ビタミンCは人の体内でつくることができないため、食事から摂取する必要がある栄養素です。
主な働きとしては、コラーゲンをつくるのに関わる、メラニン色素の沈着を防ぐ、鉄分の吸収を促す、強い抗酸化作用を持つ、病気から体を守るという5つがあげられます。ここでは、それぞれの具体的な働きについて解説します。
■コラーゲンをつくるのに関わる
コラーゲンは、人の体のタンパク質全体の約30%をしめる成分です。肌に関わる成分のイメージがありますが、皮膚だけでなく腱や骨・軟骨、血管や内臓などさまざまな組織に含まれています。このコラーゲンをつくり出す際に必要となるのが、ビタミンCです。
ビタミンCは人の体内でつくることができない栄養素のため、不足するとコラーゲンもつくることができなくなり、血管がもろくなって出血する壊血病が発症します。
■メラニン色素の沈着を防ぐ
ビタミンCは、シミに効く栄養素としても知られます。シミの原因は、メラニンと呼ばれる成分が過剰につくられることです。メラニンは紫外線によって肌の表面が刺激されたときに細胞を守るためにつくられる成分で、本来なくてはならないものです。
それが過剰につくられてたまることでシミになりますが、ビタミンCはメラニンがつくられるのを抑える働きと、できてしまったシミを薄くする働きを持ちます。
■鉄分の吸収を促す
ビタミンCの働き3つ目は、鉄の吸収をよくすることです。鉄には、肉や魚など動物性の食品に多く含まれるヘム鉄と、野菜に含まれる非ヘム鉄の2種類があります。ヘム鉄は吸収されやすく、非ヘム鉄は吸収されにくい特徴を持ちます。
ビタミンCをこれらの鉄と一緒に摂取することによって吸収されやすくしてくれるため、鉄の摂取効率を上げるのに効果的です。貧血の予防や解消のためにも、鉄を含む食材とうまく組み合わせましょう。
■強い抗酸化作用を持つ
人が酸素を体に取り込んで使う中で、活性酸素という物質がつくられます。適量であれば伝達物質や免疫に関わる物質として働いてくれますが、増えすぎると逆に体を攻撃してしまいます。ビタミンCは、この活性酸素を取り除く抗酸化物質のひとつです。
増えすぎた活性酸素は、ガンや心血管疾患などの病気の原因になるほか、臓器の老化が進む原因ともなります。特に紫外線、喫煙、ストレスなど活性酸素がつくられやすい要因が多い方は、意識してビタミンCをはじめとした抗酸化物質を摂取する必要があります。
■病気から体を守る
ビタミンCを摂取することで、免疫力を高めることが期待できます。体の中に細菌やウイルスが入ってくると、白血球やリンパ球がそれらを攻撃して体を守ります。
この体を守る能力を高めてくれるのが、ビタミンCです。白血球やリンパ球にはビタミンCが含まれており、その量が増えると能力が高く、不足すると免疫力が下がるとされています。
また、白血球やリンパ球がウイルスや細菌と戦う際にも活性酸素が発生するので、それを取り除くためにもビタミンCが必要となります。
ビタミンCの1日の摂取量の目安
ビタミンCは、1日あたり100mgが推奨量として設定されています。不足すると壊血病という欠乏症がおこり、サプリメントなどで過剰に摂りすぎると吐き気や下痢、腹痛を起こす場合も。
積極的な摂取が必要な栄養素ですが、可能であれば食品から摂取できるとよいでしょう。
■不足した場合の影響
ビタミンCにはさまざまな働きがあるため、不足すると欠乏症が起こります。代表的なものは、血管がもろくなって出血する壊血病です。
壊血病の症状としては、疲労感やイライラする、顔色の悪さ、皮下や歯ぐきからの出血など比較的小さな不調から、貧血、筋肉の減少、心臓の障害、呼吸困難など深刻なものも見られます。
ビタミンCの1日あたりの摂取量の目安は、12歳以上の男女で100mgが推奨量として設定されており、風邪や感染症などのときや喫煙のストレスによって必要量が増えます。不足しないように積極的に摂りましょう。
■過剰に摂った場合の影響
ビタミンCは過剰に摂っても健康被害が出にくいとされ、一般的な食品にはそこまで多量に含まれるものもないことから、耐容上限量は設定されていません。これは摂取量が増えると吸収率が下がり、尿として排泄される量が増えて自然に調整されるためです。
しかし、サプリメントなどで摂取した場合は摂りすぎてしまう可能性があります。1g/日以上の量を摂取するのは推奨しないとされ、極端に多く摂った場合は下痢や吐き気、腹痛が起こることがあります。
ビタミンCを多く含む食べ物
ビタミンCは、果物と野菜に多く含まれます。どちらも普段の食事の中で取り入れやすい食材のため、ビタミンCを摂取する際の選ぶ参考にしてみてください。それぞれの、ビタミンCの含有量を多い順にご紹介します。
■ビタミンCが多く含まれる果物TOP10
ビタミンCが多く含まれる食品は、果物が代表的です。ここでは比較的一般的に食べる機会のある果物の中から、多く含まれている順にビタミンCの量とエネルギー量をご紹介します。
可食部100gあたり
出典:「文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
※図表は編集部にて作成
いずれの果物も、そこまでエネルギーが多くないのがわかります。圧倒的にアセロラ(酸味種)のビタミンCの量が多いですが、酸味が強いため、基本的にはそのまま食べることは少なく、加工用として使われます。
同じアセロラの甘味種であれば、生食が可能です。同じキウイフルーツでも黄と緑でビタミンCの含有量が異なるため、どの栄養素を摂取したいかで選ぶとよいでしょう。
■ビタミンCをあまり含まない果物
果物の中には、ビタミンCをあまり含まないものもあります。代表的なのはいちじく、ぶどう、あんず、なし(和なし、洋なしともに)などです。
いずれも酸味があまりない果物のため、選ぶ際の参考にするとよいでしょう。ビタミンCを摂取したいときはこれらの果物ではなく、上記の表を参考に選ぶのがおすすめです。
■ビタミンCを多く含む野菜
果物だけでなく、野菜にもビタミンCを多く含むものがあります。代表的な野菜をいくつかご紹介します。
可食部100gあたり
出典:「文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
※図表は編集部にて作成
パプリカやピーマンに多く含まれ、主に緑黄色野菜に多く含まれていることがわかります。なかには多数の果物よりも多く含まれる野菜もあるため、普段の食事でも上手にメニューに取り入れるとよいでしょう。
ビタミンCを効率よく摂るためのコツ
ビタミンCを効率よく食べ物から摂取するには、いくつかのコツがあります。主にあげられるのが、食材を生で食べること、調理方法を工夫すること、こまめに摂取すること、相性のよい栄養素と一緒に摂ることです。ここでは、それぞれの具体的な方法について解説します。
■生で食べる
ビタミンCは、熱に弱い性質を持つ栄養素です。加熱するよりも生のまま食べる方が損失は少なく、効率よく摂取できます。
果物の場合は、加熱処理されたジュースやコンポートなどよりも生でそのまま食べましょう。野菜の場合も、ビタミンCを摂りたい場合は生のまま食べられるものを選んで、サラダや野菜スティックで食べるのがおすすめです。
■調理方法を工夫する
果物を食べる際にジュースにする場合は、可能であれば丸ごと使うとよいでしょう。レモンやゆずなど果汁を使うような場合も、果汁のみよりも果実丸ごとの方がビタミンCの含有量が多くなります。
また生のままで食べられない野菜は、ビタミンCが壊れないように短時間でさっと加熱したり、失われやすい「茹でる」を避け、「蒸す」または電子レンジを活用したりするのがおすすめです。
野菜の中にはピーマンやパプリカのように加熱してもビタミンCが壊れにくいものもあるため、上手に選ぶのもポイントです。
■こまめに摂取する
ビタミンCは多く摂取しても尿として排泄されてしまうため、体に貯めておけないという性質があります。また吸収率も、1度に摂取する量によって変わるのも特徴です。
1日あたり200mgまでであれば90%吸収されますが、1,000mg以上では50%以下になってしまいます。1度にたくさんまとめて摂るよりも、少しずつこまめに摂るようにしましょう。
■相性のよい栄養素と一緒に摂る
ビタミンCと相性のよい栄養素は、タンパク質、ビタミンA、ビタミンEです。タンパク質はコラーゲンの材料であるアミノ酸の供給源のため、ビタミンCと一緒に摂るのがおすすめです。また、タンパク質が豊富な動物性食品には鉄を含むものもあるため、鉄の吸収もよくなる効果も期待できます。
ビタミンA、EはビタミンCと同じく活性酸素を取り除く抗酸化作用を持つ栄養素です。3種合わせてビタミンACE(エース)と呼ばれ、一緒に摂ることで抗酸化作用も高まることから、あわせて取り入れるとよいでしょう。
果物でおいしく効率よくビタミンCを摂りましょう!
ビタミンCには、健康や美容のために欠かせないさまざまな働きがあります。その性質から、生のままこまめに食品から摂るのが効果的です。
野菜にも多く含まれるものはありますが、果物は生でそのまま食べられ、手軽に取り入れやすいことから、ビタミンCの補給に適しています。果物でおいしくビタミンCを効率的に取り入れて、内側から健康や美容に働きかけましょう。
監修
川島 尚子
管理栄養士兼パティシエ。料理教室運営会社で講師やメニュー開発に従事後、パティシエへ転向。現在は企業様向けのレシピ開発やコラム執筆、オンラインショップやオーダーメイド菓子の制作を行う。ヘルシーなものから子供向けまで幅広く対応。
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