シュールを使う際の注意点
「シュール」は、ポジティブとネガティブのどちらのニュアンスも含む言葉であるため、言った側と言われた側で受け取り方が異なる可能性が考えられます。
たとえば、称賛の意を込めて「◯◯さんの意見はシュールですね」と言っても、相手は否定的に受け取る場合もあります。
不要な衝突を避けるためにも、使う際はポジティブな場合にするのがおすすめです。また、肯定的な意図で言っていることを明確にするために、言葉を補うなど工夫する方がよいでしょう。
どちらにも捉えられるケースや、意見を明確に伝えなければならないケースでは、誤解を招かないように他の言葉に置き換える方が無難かもしれません。
シュールの類義語・言い換え表現
「シュール」には、複数の類義語・言い換え表現があります。それぞれの意味や使い方を例文とともに見ていきましょう。
表現の幅が広がると、使う状況や相手に合わせて適切な表現を選べるようになり、ビジネスやプライベートなどでも役立つはずです。
不条理
不条理は、物事の道筋という意味の「条理」に否定の「不」が組み合わさった言葉です。つまり、物事の道筋が通っていないことや、その様子を表します。
フランス人作家のアルベール・カミュが「異邦人」などの作品において、この言葉に哲学的な意味を持たせたといわれています。
【例文】
・誰よりも会社に貢献してきた彼が解雇されるのは不条理だ
・歴史を振り返ると、不条理だと思える出来事が多々ある
・ある政治家は不条理な振る舞いが問題となり、辞職した
社会情勢など、自分の力ではどうすることもできないようなことに使われる傾向にあります。
現実離れ
現実離れは、現実とかけ離れていることを意味する言葉です。価値観や感覚が世間一般とかけ離れているという意味でも使われ、非現実的という意味で類義語に該当するといえます。
【例文】
・彼女のアイデアは、いつも現実離れしている
・リモートワークが可能になったからといっても、山奥での一人暮らしは現実離れしているように思える
・現在は現実離れしているといわれていることが、未来では普通のことになるかもしれない
上記の例文のように、現在の状況ではあり得ないことや、常識では考えられないことという意味で使います。
奇抜
奇抜は、非常に風変わりで、人の意表をつくことを意味します。ひときわ優れていることという意味もあり、人が思いつかないようなことという意味で「シュール」の言い換え表現として使えるでしょう。
【例文】
・彼の作品は、他に類を見ない奇抜なストーリー展開が特徴で人気がある
・駅前に奇抜なデザインのビルが建ち、多くの観光客が訪れている
・SNSで奇抜な意見を発信し注目を集めようとする若者もいる
奇抜には非常に優れていることという意味もあり、ポジティブなニュアンスで使われることも多い言葉です。
シュールの対義語
どのような言葉が「シュール」の対義語に該当するのか、例を挙げて紹介します。それぞれの意味や使い方を例文と併せて確認し、知識を深めましょう。
ありきたりな
ありきたりとは、その他の物事と大きな違いがなく、珍しくないことという意味です。どこにでもある普通のことで、特に珍しくなくありふれている物事を表す言葉であるため、非現実的で現実離れしていることを指す「シュール」の対義語といえます。
【例文】
・日本人にとってはありきたりな光景だが、外国人旅行者にとっては自国では見られない特別な光景らしい
・友人に悩みを相談されたが、ありきたりなアドバイスしかできなかった
ありきたりは、日常会話でも使いやすい言葉なので、覚えておくと役立ちます。
平凡な・凡庸な
平凡とは、際だった特徴がなく、ごくありふれていることや、その様子を意味します。非現実的で独創的なものを指す「シュール」とは対義的な意味を持つ言葉です。
【例文】
・ジムに通いだしたことで、平凡で物足りないと思っていた日々が充実したものに変わった
・平凡でもいいので、家族みんなが明るく楽しく過ごせる家庭を築きたい
凡庸は「ぼんよう」と読み、特にこれといった特徴がなく平凡であることを指す言葉です。
【例文】
・凡庸なアイデアばかりで、ヒット商品に結び付くとは思えない
・人気作家だった彼女だが、最近の作品は凡庸で物足りないといわれている
上記の例文のように、特に取りえがないというネガティブなニュアンスで使われることが多いです。
シュールの意味を理解して正しく使おう
辞書で引いた意味と、若者言葉としての意味は少しだけ違いがありました。場面によってどの意味で使っているか認識しておくと会話にズレがなくなることでしょう。
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