逐次とは? 意味や例文を解説
「逐次(ちくじ)」は、仕事などで幅広く使われる便利な言葉です。基本的な意味や、ビジネスシーンにおける使い方を詳しく解説していきます。「逐次」の成り立ちを知れば、言葉の意味が分かりやすくなるはずです。
順を追って物事が進むこと
「逐次」とは、物事が順を追って次々に進行するという意味です。たとえば、料理を作る過程をイメージすると分かりやすいでしょう。材料を準備し、切り、炒め、味付けをするという風に、手順を一つずつ順番に行うことが「逐次」です。
「逐」は「追う」「順を追う」、「次」は「次ぐ」「次々に」という意味を持ち、合わせて「順序立てて進める」という意味になります。仕事上では「進捗状況を逐次報告する」といった使い方が多く見られます。
ちく‐じ【逐次】
[副]順を追って次々に物事がなされるさま。順次。
引用:小学館 デジタル大辞泉
ビジネスシーンで使う「逐次」の例文
職場においては、仕事を進める上での円滑なコミュニケーションを目的として、「逐次」を含んだ言葉を使うことがあります。以下、具体的な例文を見ていきましょう。
・個人面談の日程については、逐次連絡いたします
・新システムの導入は、部署ごとに逐次実施していきます
・契約内容の変更は、両者協議の上、逐次修正するものとする
「逐次」を使うことで、物事を順序立てて丁寧に進めていく意図が、相手に伝わります。階段を一段ずつ上がるように、着実に作業を進めていくイメージです。
逐次を使った熟語を紹介
「逐次」を含む熟語として、「逐次報告」「逐次確認」「逐次刊行物」という三つの熟語を紹介します。それぞれの意味や具体的な使用例を知って、状況に応じて使い分けられるようになりましょう。
「逐次報告」の意味や使い方
「逐次報告」とは、物事の進行に合わせて順を追って報告することを意味します。ビジネスシーンでよく使われるこの表現は、プロジェクトの進捗状況や問題点を、漏れなく伝えてほしいケースで重宝される傾向にあります。
たとえば、プレゼンの準備において「逐次報告をお願いします」と指示されたら、プレゼンの企画・構成作成・資料作成・発表準備・関係者への連絡など、各段階の完了や課題を順序立てて報告するというニュアンスでしょう。これにより、上司や関係者は全体の流れを把握しやすくなります。
「逐次報告」を心がけることで、チーム内のコミュニケーションが円滑になれば、問題の早期発見・解決にもつながるでしょう。
「逐次確認」の意味や使い方
「逐次確認」とは、物事を順序立てて一つずつ確かめていくことを指します。
たとえば、新製品の開発過程で、設計から試作、テストまでの各段階の逐次確認は、やはり問題点や問題が起こりそうな点に早く気付き、対策を立てることにつながります。
逐次確認は、特に複雑なプロセスや大規模なプロジェクトにおいて重要です。逐次確認によって全体の進捗状況を把握しやすくなり、手順の抜け漏れを防げると考えられるためです。
仕事において「マニュアルの内容を逐次確認してください」といった指示をされた場合は、順を追って丁寧に確認することを求められているのだと捉えられるでしょう。
「逐次刊行物」の意味や使い方
「逐次刊行物」とは、同じタイトルで継続的に発行される出版物を指します。たとえば、毎日発行される新聞や、週刊・月刊誌などは逐次刊行物の一つです。
これらは順序立てて次々と刊行されるため、「逐次」という言葉が使われています。新聞や雑誌以外にも、年報や統計書などが含まれます。
とはいえ、必ずしも定期的に発行されるものとは限りません。不定期な場合でも、巻号や年月日などの順序を示す表示があり、終わりを決めずに継続して発刊されるものは、逐次刊行物といえます。
「逐次」の類義語・言い換え表現と対義語もチェック
「逐次」には、似た意味を持つ類義語と、反対の意味を持つ対義語があります。「逐次」の類義語・言い換え表現である「順次」「随時」「適宜」の使い分け方や、対義語として使われる「ばらばら」「順不同」について説明していきます。
類語「順次」「随時」「適宜」の使い分け方
「逐次」の類義語は、「順次」「随時」「適宜」などです。「順次」は順序に従って次々に進めることを意味し、「逐次」とほぼ同じ意味で使われるといえます。例えば「申込者を順次面接する」といった使い方が可能です。
「随時」は、時と場合に応じて適切なタイミングで行うことを表します。「随時受付中」のように、特定の順序や時間にとらわれない場合に使用します。
「適宜」は、その場の状況に応じて対応する意味です。「適宜休憩を取ってください」など、柔軟性を持たせたいシチュエーションで使います。
逐次と三つの類義語はビジネスシーンでよく使用されますが、ニュアンスの違いを押さえ、適切に使い分けるとよいでしょう。
「ばらばら」「順不同」は反対の意味
「逐次」と対照的な表現として、「ばらばら」や「順不同」が挙げられます。
「ばらばら」は、物事が散らばっている状態や、まとまりがない様子です。「資料がばらばらに散らかっている」といった使い方ができます。
一方で「順不同」は、特定の順序や規則性がないことを意味します。「参加者は順不同で発表します」のように使用可能です。
たとえば、プロジェクト管理において、タスクを「逐次」進めるか、「ばらばら」に並行して進めるかで、作業効率が大きく変わることもあります。対義語を理解することで、「逐次」とうまく使い分けができるでしょう。
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