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2022.10.28

【蟷螂の斧】の意味は?由来はあの昆虫!例文や類語と合わせて解説

蟷螂の斧とは、力の弱いものが自分の力量をわきまえず、強敵に立ち向かうことを表した言葉です。本記事では、この言葉の読み方や由来について説明するとともに、よく似た言葉について詳しくご紹介します。

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蟷螂の斧の意味とは?

とうろうのおの」と読み、力が弱い者が身のほどをわきまえない行いをするという意味です。「蟷螂」とはカマキリのこと。もともとは中国・春秋時代の書物にいくつか登場する比喩表現で、馬車の前に立ちはだかるカマキリの故事を由来にしています。

【蟷螂の斧】
《カマキリが前あしを上げて、大きな車の進行を止めようとする意から》弱小のものが、自分の力量もわきまえず、強敵に向かうことのたとえ。

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

無謀な行為を戒めるニュアンスが大きい言葉ですが、勇気ある行動を讃える意味で使う場合もあります。

ここでは、蟷螂の斧の内容や語源を詳しく見ていきましょう。

「蟷螂」はカマキリのこと

カマキリが前あしを上げて威嚇するイラスト

蟷螂とはカマキリのことで、「斧」はカマキリの前あしを指します。蟷螂の斧は、カマキリが前あしを上げて自分よりも大きなものを威嚇する様子をたとえにした言葉です。

中国の故事を由来とする言葉

蟷螂の斧の由来は、紀元前6世紀ごろに書かれた中国の故事『韓詩外伝(かんしがいでん)』の中に出てくる逸話。斉(せい)の国の荘公(そうこう)という人物が狩りに出かけた際、1匹のカマキリが馬車の車輪に前あしで威嚇しているのを見つけ、「これが人間だったらきっと天下を取るのだろう」と言いって馬車を遠回りさせ、カマキリに道を譲ったという話です。

カマキリは虫のなかでは強いものの、広い世界では小さな虫に過ぎません。自分より大きな相手に前あしを振りかざすカマキリのように、勝ち目のない相手に立ち向かうことを「蟷螂の斧」とたとえるようになりました。これを無謀な行為として戒めるニュアンスもありますが、戦う相手を選ばない勇敢な者への賞賛の意味で使われることもあります。

ビジネスシーンでも使われる

険しい山を登って旗を立てるふたりのビジネスマンのイラスト

蟷螂の斧はビジネスの場面でも使われやすい言葉です。たとえば、弱小企業が巨大市場に参入する、あるいは設立したばかりの会社が競合する大企業を相手に新商品を開発するといったシーンに使うことができます。

自分の実力を考えない行動という意味で使われることが多い言葉ですが、失敗を恐れない勇気ある挑戦というニュアンスで使うことも可能です。

蟷螂の斧を使った例文

例文を読むことで言葉の理解を深めることができます。蟷螂の斧を使った例文をいくつか紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

例文

・ライバル会社にとって我が社の戦略は蟷螂の斧かもしれないが、万全は尽くしたい。

・弱い立場だからこそ、蟷螂の斧と言われようとも大胆な作戦で攻めたいと思う。

・強豪チームが揃って参戦する大会に出場するのは、蟷螂の斧と言われても仕方ない。

・新入社員がベテラン社員と営業成績を競うのは、まるで蟷螂の斧のようで応援したくなる。

・圧倒的な戦力を持つ国に戦いを挑むのは、蟷螂の斧としか言いようがない。

 

蟷螂の斧の類語

蟷螂の斧にはよく似た言葉がいくつもあります。抵抗しても力が弱くて問題にならないという意味の「小男の腕立て」、弱者が身のほどを考えず強者に立ち向かうという意味の「竜の鬚を蟻が狙う」などがあげられます。

類語を覚えておけば、会話の文脈に合わせて使い分けができるでしょう。ここでは、蟷螂の斧の類語を4つご紹介します。

小男の腕立て(こおとこのうでたて)

力の弱い者が抵抗しようとしても、非力で相手にならないという意味です。

「小男」は力が弱い男という意味で、「腕立て」は自分の腕力を頼りに人と争うことを表します。蟷螂の斧とほぼ同じような意味で使われる言葉です。

例文

・彼は気が小さいのにすぐに他人とトラブルになるような言動をする。まるで小男の腕立てのようだ。

小男の腕立てと思われようと、挑戦することに意味があると思う。

 

竜の鬚を蟻が狙う(りゅうのひげをありがねらう)

蟻の行列のイラスト。「蟷螂の斧」の類語・「竜の鬚を蟻が狙う」のイメージ

弱者が身のほどを考えずに強者に立ち向かうことをたとえた言葉です。

巨大な竜の髭を小さな蟻が狙うのは無謀な行為であることを表しています。蟷螂の斧と同義の言葉といえるでしょう。

例文

・一社員が社長に意見しても、竜の鬚を蟻が狙うと思われてしまうだけだろう。

・大企業がほぼ独占している市場にベンチャー企業が割り込むのは、まるで竜の鬚を蟻が狙うようなものだ。

 

ごまめの歯ぎしり(ごまめのはぎしり)

ごまめのイラスト

力の弱い者が激しく悔しがることで、悔しがっても無駄であることを示しています。

「ごまめ」とはカタクチイワシを干したもので、もともと弱い魚が干されている状態。その様子を「何もできない」「無力である」という意味にたとえた言葉なのです。

例文

・多くの人が賛成に回ってしまい、ここで反対してもごまめの歯ぎしりだ。

・どんな試合でも負けた以上、何を言ってもごまめの歯ぎしりと思われる。

 

徒手空拳(としゅくうけん)

「手に何も持たず、素手である」ことを表し、転じて何かを始めようとするときに頼りになるものがないという意味の言葉です。

徒手空拳は同じ意味合いの語句を重ねて強調した言葉で、「徒手」は手に何も持たないということ、「空拳」は武器などを何も持たないこぶしを表します。また似た言葉に赤手空拳(せきしゅくうけん)があり、意味はほとんど同じです。

例文

・若いころにアメリカに渡ったときは徒手空拳だったものの、現在では多くの財産を築くことができた。

・彼は徒手空拳で会社を設立して最初の頃は苦労したが、現在は社員が100人以上在籍する大企業に成長した。

 

蟷螂の斧は意味を正しく理解しよう

いろいろなポーズをきめるカマキリのイラスト

蟷螂の斧は、力が弱いのに身のほどをわきまえない行いをするという意味です。カマキリが前あしで自分より強いものを威嚇することをたとえにしています。無謀な行為を戒める意味がありますが、勇気ある挑戦として賞賛する意味合いでも使われます。

蟷螂の斧には類語も多く、いくつか覚えておけば会話を豊かにすることができるでしょう。例文も参考に、蟷螂の斧の意味を正しく把握してください。

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