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【目次】
「レガシー」とは?
ビジネスシーンなどで、「オリンピック・レガシー」や「レガシーシステム」という言葉を見聞きしたことはありませんか? また車を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。この「レガシー(legacy)」は、英語では「遺産」や「財産」、「亡くなった人が遺したもの」などを意味する言葉です。
私たちが普段、使っている言葉の中には、英語に由来するものが多くあります。しかし、英語の本来の意味とは、異なる意味合いで使われている言葉も多くあり、「レガシー」もその中の1つ。「レガシー」の詳しい意味などを一緒にチェックしていきましょう。
日本語でいう「レガシー」とはどういう意味?
日本語で「レガシー」という場合、「過去から伝わるもの」や「未来へと伝えるもの」といった意味合いです。ビジネスシーンなどでは、よい意味合いで使われるほか、悪い意味合いでも使われています。
よい意味で使う場合
「レガシー」は本来、「遺産」という意味ですが、「未来へ受け継がれるもの」という意味でも使われています。例えば、「レガシーをつくる」は「後世にも残る業績をつくる」という意味です。
また、ポジティブな表現として「伝統」という意味で使うことも。「レガシー企業」、「レガシーカンパニー」と表現されることがありますが、これは「伝統ある会社、企業」を指し、古くより創業し、実績を積み重ねてきた歴史のある企業などを表現しています。
悪い意味で使う場合
特にIT用語で「レガシー」は、「時代遅れ」や「古い慣習」というような、悪い意味合いで使われることがほとんどです。その代表的なものが「レガシーシステム」。旧式のコンピューターシステムや、古い技術や業務のことをいいます。
「オリンピック・レガシー」とは?
「オリンピック・レガシー」とは、オリンピックやパラリンピックを開催することで、開催国や開催都市にもたらす効果のこと。経済や社会、インフラの整備、スポーツ振興など、その変化を大会終了後も長期にわたって、持続させることを重要視するという考えです。
また、「オリンピック・レガシー」は下記の5つの分野に分けられます。
・Sporting Legacy(スポーツ)・・・競技人口の変遷やスポーツ環境の変化
・Social Legacies(社会)・・・官民一体の体制構築、オリンピック・パラリンピック教育の推進
・Environmental Legacies(環境)・・・都市再生
・Urban Legacies(都市)・・・交通インフラの整備やバリアフリー化
・Economic Legacies(経済)・・・雇用創出や技術の発展
さらに、これらの5つの分野で変化するものが、ポジティブなものか、ネガティブなものなのか、有形か無形か、また、計画されたものか、偶発的なものなのかという事柄で考えられます。
「レガシー」と「レジェンド」の違いは?
「レガシー」と似た言葉、「レジェンド」。この2つの言葉は似ているため、使い方を迷ってしまうこともあるのでは? 「レジェンド」とは、「伝説」や「伝説的人物」また「伝説上の人物」をいう言葉です。
例えば、「彼女は〇〇界のレジェンドだ」というように、特定の分野で伝説となるような偉大な人物をいう際などに使われます。「レジェンド」と言い表されるのは、故人だけではありません。存命している人、現役で活躍している人に対しても使われます。
また「レジェンド」はニックネームとしても使われる言葉です。ある分野で、伝説に残るような偉業を成し遂げた人に対して尊敬の念を込め、「レジェンド」と呼ぶことが多いでしょう。
ネガティブな意味合いで使われることがある「レガシー」に対して、「レジェンド」はほとんどがポジティブな意味合いで使われます。
日本で「レガシー」という言葉が一般的になったきっかけとは?
日本で「レガシー」という言葉が一般的になったのは、1980年代~1990年代にかけてだといわれています。自動車メーカーである当時の富士重工業(現 SUBARU)が、1989年に乗用車「スバル・レガシィ」を発売。これが「レガシー」という言葉が、社会に浸透していくきっかけとなったとされています。
「レガシー」の使い方を例文でチェック
現在では「レガシー」は、政治、経済、IT、スポーツ、様々な分野で使われる言葉です。使い方を例文でチェックしていきましょう。
1:「あの企業が経営破綻した原因は、膨大なレガシーコストによるものだといわれている」
「レガシーコスト(legacy cost)」とは「過去に取り決めた事柄や習慣によって、現在に生じている負担」。「負の遺産」というニュアンスで使われる表現です。「レガシーコスト」を代表する例として、一般企業などで、退職者に支払い続けないといけない年金や保険料、また年功序列の賃金制度などが挙げられます。
2:「現政権において後世に残るレガシーをつくりたい」
「レガシーをつくる」とは「未来に残るような業績をつくる」こと。政治の分野においては、「政治的業績をつくる」という意味で使われます。
3:「あの人は時代にそぐわない価値観をもったレガシーな人だ」
この場合の「レガシーな人」とは、「時代遅れの人」「古い考えをもった人」ということ。ネガティブな意味合いで使われています。
「レガシー」の言い換え表現にはどんなものがある?
「レガシー」は、肯定的、中立的、否定的、どのニュアンスも込めることができます。肯定的な意味で言い換えたい場合は、「業績」や「功績」。中立的な意味合いの場合は、「遺産」や「従来型の」ということができます。そして、否定的な意味合いの場合は、「過去の遺物」と言い換えることができるでしょう。
英語で「legacy」と「heritage」との違いは?
「legacy」と同じく「遺産」という意味をもつ単語、「heritage」との違いについても見ていきましょう。
「heritage」は「遺産」や「伝統」、「継承」、「先祖伝来のもの」という意味。「legacy」にも「遺産」という意味があり、それには金銭的なものも含まれます。対して「heritage」は、金銭的なものは含まれません。「heritage」は「歴史的価値のあるもの」「文化価値のあるもの」という意味合いで使われる単語です。例えば「世界遺産」は、「world heritage」と表現されます。
最後に
「遺産」を意味する「レガシー」について見てきました。「レガシー」は悪い意味でもよい意味でも使われる言葉です。微妙なニュアンスでその意味合いが異なるため、正しい意味や使い方を理解しておく必要があるといえます。
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