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2023.04.15

「業を煮やす」とはどういう意味?|使い方や由来、類語をご紹介

業を煮やすとは、思うように物事が進まず、苛立ったり腹を立てたりすることです。具体的にどのようなシチュエーションで使う言葉なのか、例文を通してご紹介します。また、由来や類義語も説明します。

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「業を煮やす」とは思い通りにならずに苛立つこと

業を煮やす(ごうをにやす)とは、思い通りにならずに苛立ったり、腹を立てたりすることです。

怒りが爆発した様子を表したイメージイラスト

なお、突発的にイライラすることや腹を立てることは、業を煮やすとは少々ニュアンスが違います。何かが起こってからしばらくの間は我慢し、これ以上は我慢しきれないときに業を煮やして、苛立ったり腹を立てたりします。

【業を煮やす】ごうをにやす
事が思うように運ばず、腹を立てる。「無意味な発言が続き―・して席を立つ」

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

■「業を煮やす」の由来とは?

業を煮やすの「業(ごう)」とは、理性では抑えられない心の働きを指します。つまり、業を煮やすとは、心の中が鍋で煮たように熱く沸き立ち、怒りや苛立ちが抑えられない状態になることを表現しています。

もともと業とは、仏教用語です。「カルマ」と呼ぶこともあり、理性では抑えられない心の働きや、前世での行いに応じた現世での報いなどの意味で使います。

■「業を煮やす」を例文でご紹介

業を煮やすを用いた例文を紹介します。

・さっきから同じ話の繰り返しだ。業を煮やして、「いつまでこのような無駄な時間を過ごすのか」と声を上げた

・申請手続きをしたいだけなのに、窓口をたらい回しにされている。業を煮やして、書類を破り捨てて帰ってきてしまった

・いくら温厚でも、さすがに何回も同じことを尋ねると業を煮やしてしまうよ

 

■「業」を使った表現をご紹介

仏教用語の業(ごう、カルマ)という言葉は、日常生活に溶け込んでいます。慣用句も多く、知らず知らずのうちに使っていることも少なくありません。

例えば「業が深い」とは、前世で悪行をしてきたため、現世で報いを受けているという意味で使用する言葉です。運が悪いことや欲深いことに対して、「業が深い」と使うこともあります。

そのほかにも、「業を背負う」という言い方もあります。過去に罪を犯して、償いのために生きていくという意味です。本当に罪を犯した場合に使用することもあれば、前世で罪を犯したとして使われる場合もあります。

「業を煮やす」の類義語・対照的な表現を例文でご紹介

「業を煮やす」と同じく、腹立ちや苛立ちを我慢しきれないときに使う言葉としては、次のものが挙げられます。

・業を沸かす
・腹に据えかねる
・堪忍袋の緒が切れる

また、業を煮やすと対照的な意味の言葉としては、次のものがあります。

・寛容

イライラして額に手を置く人のイメージイラスト

それぞれどのようなシチュエーションで使う言葉なのか、「業を煮やす」とのニュアンスの違いなどについて例文を挙げて紹介します。

【類義語1】業を沸かす

「業を沸かす」とは、「業を煮やす」と同様の意味を持つ言葉です。どちらもぐつぐつと、苛立ちや腹立ちが煮えたぎっているイメージです。次のように使います。

・わたしはいつも怒っているわけではありません。しかし、あまりにも生徒たちの態度がひどいため、毎日、業を沸かさざるを得ない状況なのです

・朝から電話をかけているのに、ずっと話し中が続いている。いくらなんでもそんなに長電話をする人はいないだろうと、とうとう業を沸かして電話をかけるのをやめた

・「彼女は本気で怒っていたね」「それはそうじゃない? 彼の浮気ぐせは今に始まったことじゃないけど、さすがに3回目にもなれば業を沸かすよね」

 

【類義語2】腹に据えかねる

「腹に据えかねる」とは、怒りを自分自身の中に留めておけない状態を指す言葉です。「業を煮やす」と同様、いくらかは我慢したものの、これ以上怒りや苛立ちを我慢できなくなったときに使います。

なお、「腹に据えかねる」の「腹」とは、心や感情のことです。心の中で受け止めきれない怒りを「腹に据えかねる」と表現します。

・毎日塀に落書きされる。さすがに腹に据えかねて、監視カメラを設置した

・あまりの言葉遣いの悪さに、腹に据えかねて注意をした

・観劇中のおしゃべりがうるさく、腹に据えかねて「静かにしてください」と伝えた

 

【類義語3】堪忍袋の緒が切れる

「堪忍袋の緒が切れる」とは、これ以上我慢できなくなり怒りを放出することを指します。なお、「堪忍」とは人の間違いを許すことです。また、「堪忍袋」とは間違いを許す度量の広さを指します。

つまり、「堪忍袋の緒が切れる」とは、人の間違いを許せない状況まできてしまったことを意味します。

・3日間連続で門限に遅れてしまった。いつもは優しい父親も、さすがに堪忍袋の緒が切れたようだ

・彼女は温厚で、堪忍袋の緒が切れることはないようだ

・もう堪忍袋の緒が切れました。これからは、離婚に向けて弁護士を通して話します

 

【対照的な表現】寛容

「寛容」とは、相手に対して広い心で接することを指します。怒らず、苛立たず、あるがままを受け入れるときに使う言葉です。

・彼は本当に寛容な性格だ。今回ばかりは怒ると思ったが、表情すら変わらなかった

・寛容さを求めるなら、まずは自分から寛容になりなさい

・寛容な態度は素晴らしいと思うが、我慢しすぎてストレスを受けていないか心配だ

 

「業を煮やす」を正しく使用しよう

ある程度は我慢したものの、これ以上苛立ちや怒りを我慢できないときに「業を煮やす」という言葉を使います。

風船に針を刺そうとしている様子を表したイメージイラスト

日本には、仏教用語の「業(ごう、カルマ)」を使った慣用句が多数あります。おもに「前世からの報い」や「理性では抑えられない心の動き」という意味で使うことを理解しておくと、慣用句の意味も理解しやすくなるでしょう。

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