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2023.09.06

折衝とは? 言葉の意味やビジネスシーンでの活用方法を例文付きで紹介【教員監修】

 

折衝とは異なる意見や立場の人々と協議を重ね、合意点や妥協点を見つける過程や行為を指します。普段聞きなれない言葉かもしれませんが、ビジネスシーンでは比較的よく使う言葉。当記事では正しい使い方、類義語、対義語、英語表現まで紹介します。

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折衝とは

折衝(せっしょう)とは端的にいえば、駆け引きをすることです。利害関係が一致しない相手と問題を解決する際の駆け引きを指します。お互いが納得できるように話し合ったり、妥協したりするというニュアンスが含まれるので、ビジネスシーンの営業や接客などの場で次のように用いられています。

〈例文〉
1:新しいプロジェクトを進めるには、関連部署との折衝が欠かせません。
2:A社とB社の間で品質管理に関する折衝が行われています。
3:彼女は折衝のプロで、難しい話し合いもスムーズにまとめることができます。

ミーティングをしている人々のイラスト 中心に大きな電球が描かれている

折衝の言葉の由来

日本や中国で古くから使われていますが、最も古い出典のひとつが『詩経』であるとされています。この古典的な文献において、「敵の衝いてくる矛先をくじきとめる」という形で使われています。戦場で敵の攻撃を受け流し、その力を無力化するという意味合いです。

この意味から進化して、現在では「異なる意見や立場の人々と協議を重ね、合意点や妥協点を見つける過程や行為」といった意味で広く使われています。政治、ビジネス、日常生活における対人関係まで、多くの場面で折衝のスキルが求められているといえるでしょう。

折衝の類義語

折衝にはどのような類義語があるのか、例文を挙げながら紹介します。

握手している人の手元のイラスト

交渉(こうしょう)

「交渉」は特定の問題について相手と話し合うこと、掛け合うことを指します。これにはビジネス、政治、個人間の関係など多くの場面での応用があります。多くは「交渉する」という形で用いられますが、人と人との関わり合いや、関係という意味でも使います。

〈例文〉
1:国際交渉の席で、彼女は圧倒的な説得力を発揮しました。
2:新しいプロジェクトを始める前に、いくつかの関係部署と交渉が必要でした。
3:彼は不利な状況でも交渉をうまく進める能力があります。

談判(だんぱん)

「談判」は、特定の問題や案件について相手と話し合い、条件を整える行為を指します。一般にもめごとなどの決着をつけるための話し合いで、両者の利害が相反する場合が多く、アグレッシブな印象が伴います。

〈例文〉
1:彼女は車の価格について激しく談判しました。
2:土地の売買において、談判のスキルは非常に重要なもののひとつです。
3:労働条件を改善するために、経営層と社員の談判が行われました。

駆け引き(かけひき)

「駆け引き」は、特定の目的を達成するための、相手との心理的なやり取りを意味します。相手の出方に応じて臨機応変な態度が求められます。これは競争やゲーム、あるいは人間関係などでもよく用いられる表現です。

〈例文〉
1:弟はポーカーでの駆け引きが得意で、よく勝ちます。
2:交渉の最中、彼は駆け引きを駆使して条件を有利に進めました。
3:出会いの場でも、駆け引きがうまい人は成功することが多いでしょう。

このように、これらの類義語はそれぞれ微妙に異なるシチュエーションや目的で使われますが、基本的な意味や目的は折衝と近く、相手と何らかの合意に達することです。

折衝の対義語

折衝の類義語について見てきましたが、続いて対照的な意味を持つ言葉についても例文を挙げて紹介します。

ゴールに向けて走るビジネスパーソンのイメージイラスト

強行(きょうこう)

「強行」は、他者の意見や状況を顧みずに、自らの意志や計画を無理に進めることを指します。

〈例文〉
1:部長は従業員の反対を押し切って、プロジェクトを強行しました。
2:政府は多くの反対意見があるにもかかわらず、その法案を強行採決しました。
3:彼女は自分の考えが正しいと信じて、行動を強行する傾向があります。

一方的(いっぽうてき)

「一方的」は、一方の主体だけが意見や行動を行い、相手の意見や反応を無視する様子を指します。

〈例文〉
1:彼は一方的に別れを告げ、連絡を遮断しました。
2:社長の一方的な決定に、従業員たちは不満を感じています。
3:その一方的な報道は、公正な議論を阻害すると思います。

強制(きょうせい)

「強制」は、他者に対して自らの意志や決定を強いること、またはそのような状況を指します。

〈例文〉
1:彼女は仲間に強制的に意見を押しつけました。
2:新しい規則は強制力があり、遵守しないと罰則があると聞いています。
3:彼は家族から結婚を強制されていますが、本人は乗り気ではないようです。

これらの対義語・対照的な言葉は、折衝が相手と合意を形成する過程であるのに対し、一方が他方に自分の意志を押しつける状態をそれぞれ異なる形で表しています。これらの言葉は、折衝が求める「相互の理解と合意」に対立する概念です。

折衝の英語表現

折衝の英語表現としては「negotiation」「discussion」「bargaining」などが挙げられます。それぞれ例文とともに紹介します。

negotiation

「negotiation」は、交渉や話し合いという意味です。ふたり以上の人々やグループが互いに合意に達するために話し合うプロセスを指します。以下例文です。

1:The company is in negotiation with the union over the new labor contract.
会社は新しい労働契約について労働組合と交渉中です。

2:The negotiation was tough, but both parties finally reached an agreement.
交渉は厳しかったが、最終的に両者は合意に達しました。

3:Negotiation skills are essential for anyone in a leadership position.
交渉スキルは、リーダーシップをとるポジションにいる人には不可欠です。

discussion

「discussion」は、特定のトピックについての意見交換や考察を意味します。以下例文です。

1:The board had a lengthy discussion about the budget.
役員会は予算について長い議論を持ちました。

2:We need to have a serious discussion about our future plans.
私たちは将来の計画について真剣な議論を持つ必要がある。

3:After much discussion, we decided to postpone the event.
多くの議論の後、イベントを延期することに決めました。

bargaining

「bargaining」は、価格や条件などを交渉する行為を指します。主に商取引で使われます。

1:She is excellent at bargaining and always gets a good deal.
彼女は駆け引きが得意で、常によい取引をします。

2:The bargaining between the buyer and seller lasted for hours.
買い手と売り手の駆け引きは数時間続きました。

3:Collective bargaining is a process of negotiation between employers and employees.
団体交渉は、雇用者と従業員間での交渉プロセスです。

まとめ

折衝という言葉の意味や、ビジネスの現場での活用方法についての理解は深まりましたか? 日常業務でのコミュニケーションをスムーズに進めるためのキーワードとして、ぜひ活用してみてくださいね。

武田さゆりさんのプロフィール写真

執筆

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。

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