仕事を辞めたいと思ったことはある?
「仕事を辞めたい」と悩んだことはありますか? 職場の人間関係、残業続きの毎日、合わない仕事内容や、ストレスフルな業務など、辞めたい理由はいろいろあるでしょう。何事も、「始めるより辞める方が難しい」ともいいますよね。また、「これってただ甘えているだけなのかな?」と悩んでいる方もいるかもしれません。
そこでこの記事では、「仕事を辞めたい」と思ったときに知っておきたいポイントや、ストレス診断などについて解説します。無理をし過ぎないためにも、チェックしてみてください。
仕事を辞めたいのは甘え?
仕事を辞めたくて悩んでいるとき、真面目な人ほど、「これって甘えなのでは?」と考えこんでしまうかもしれません。
また、昨今の人手不足の中、辞めたいと言った人に心ない言葉を浴びせる人もいるようです。例えば、限界まで長時間労働を重ねた末に、仕事を辞めたいと上司に漏らしたところ、「こんなことで弱音を吐いているのは、ただの甘え。そんなことじゃ、どこに行っても通用しないよ」などと言われたというケースもあるとか。
最近では、正社員に限らず、アルバイトでも、無理に引き止められるケースもあるようです。では、仕事を辞めたいというのは、本当に単なる甘えなのでしょうか?
もちろん、働くことが億劫というような単純ななまけ心の話でしたら、それは甘えかもしれません。しかし、長時間労働や、休日出勤が当たり前の会社などでは、話が別でしょう。仮に、こういった過重労働がなかったとしても、セクハラやパワハラが横行しているような職場は、早く離れた方がよいケースも。
また、適性を考えない人事配置などによって、仕事が自分に向いていないと感じている人もいるかもしれません。特に、人手が足りていない会社では、適性やその人の経験スキルなどを考えず、単なる欠員補充として穴を埋めさせるような無計画な人事配置もあるようです。
このような体質の会社では、長期的に見て、スキルアップや有意義な経験を積むということは難しいかもしれません。場合によっては、自分のキャリアを長期的に考え、転職をするということも、考えてもよいのではないでしょうか。いずれにせよ、辞めたいというのは甘えだとは限らないでしょう。
仕事を辞めたいときに知っておきたいこと
仕事を辞めたいと会社に伝えたところ、「代わりの人を見つけてくるまでは、辞められない」などと言って、拒否される事例があるようです。しかし、代わりの人員を採用するのは、会社側が行うこと。
また、基本的に会社は、労働者の退職を禁止することはできません。契約の期間が定められていない場合、いつでも労働者側から退職の申し入れをすることができるとされています。なお、民法上は、退職を会社に伝えてから2週間経過すると、雇用契約は終了となることもポイント。
一方、契約社員など、期間に定めがある場合は、注意が必要です。原則、やむを得ない理由がない場合は、契約期間内の退職はできません。ただし、2年契約など、1年を超える期間で契約をしている場合は、1年を過ぎれば、いつでも退職できることとされています。
もう一つ確認しておきたいのが、就業規則。就業規則に「退職は、1か月前までに申し出ること」などと、規定されている場合があるからです。代わりの人の採用や、業務の引き継ぎなどの期間も必要ですので、就業規則に沿った申し出をするのが無難でしょう。
中には、ある日突然出社してこなくなり、音信不通になるケースもあるようです。いわゆる「ばっくれ」というもので、軽い気持ちで考えている人もいると聞きます。しかし会社からすれば、これはかなり大迷惑。また、「まさか大病で倒れているのでは?」や、「事件に巻き込まれたのでは?」と心配した上司が、緊急連絡先の家族へ連絡したというケースもあるようです。
思わぬ大騒ぎになってしまう可能性がありますので、必ず、退職の意思はしっかり伝えるようにしましょう。
ストレス診断でメンタル状態をチェック
仕事を辞めたいと思ったときにチェックした方がよいのは、自分の心の状態です。もちろん、仕事でミスをしてしまったときや、上司に怒られたときなど、一時的に「あーもう辞めたいな」と思うことは誰でもあるでしょう。
しかし、この辞めたいという思いが、一時的なものではなく一定期間続くような場合は、かなりのストレスがかかっている可能性があります。あまりに過度なストレスが積み重なると、精神が疲弊してしまうことも。
厚生労働省の「こころの耳」というウェブサイトには、5分程度でできるストレス診断があります。最近仕事でストレスを感じているという人は、自分の精神状態を一度チェックしてみるのもおすすめです。
参考:働く人のメンタルヘルスポータルサイト「こころの耳」(厚生労働省)
辞めたいけど次がないときは?
「仕事を辞めたいけど、次の仕事が決まっていないから辞められない」という悩みをお持ちの方もいることでしょう。
たしかに、仕事は大事な収入源ですので、次の仕事を探してから辞める方が安心かもしれません。しかし、注意したいのは次がないと思い込んでいるケース。
「私なんて、転職先が見つかるわけはない」などと、ネガティブに考えてしまっている方も実際にいるようです。また、家族などから、「今の仕事を辞めたら、次がないでしょう?」などと諭されることもあるようですね。
特に、仕事を辞めたいというときには、現在の仕事がうまくいっていない、もしくは、人間関係に悩んでいるなど、何かしらの問題を抱えていることが多いでしょう。こういったときは、自己肯定感が下がってしまい、否定的な考えにとらわれてしまっていることも。
「次がない」と思い込まず、転職サービスやハローワークなど、いろいろな情報を探してみることをおすすめします。
また、現在の年収を維持できないからといって、次がないと思わない方がよいケースも。中には、連日深夜まで残業をしていた人が、転職後に多少年収が下がったものの、「ワークライフバランスが取れて、幸せ感が増した」ということもあるようです。
家計の状況や、将来設計によって、どのぐらいの年収を確保しなければいけないのかというのは、変わってきます。単純に年収や福利厚生などで「辞められない」と判断せず、「ほかの可能性もあるのでは?」と柔軟に考えてみるのがよいのではないでしょうか。
最後に
この記事では、仕事を辞めたいときに知っておきたいことや、ストレス診断、注意したいポイントなどを解説しました。最近、仕事で大きなストレスを抱えているという人は、ぜひチェックしてみてください。
執筆
塚原社会保険労務士事務所代表 塚原美彩(つかはら・みさ)
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。
ライター所属:京都メディアライン
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