仕事を断るのってありなの?
仕事を断りたいときに、「どう断ったらいいの?」と悩むことはありませんか?「引き受けるよりも、断る方が難しい」という声もよく耳にします。また、断り方に気をつけないと、人間関係にひびが入ってしまうことも。どうしたら当たり障りのない断り方をできるのか、気になるところですよね。
そもそも「仕事を断るのは、ありなの?」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。フリーランスなど、基本的に自分で仕事を選べるなら別ですが、特に会社勤めの場合、仕事を断ることに抵抗があるという方は多いかもしれません。
たしかに、ただ面倒くさいというだけで仕事を断ることは、単なるわがままと捉えられてしまうことも。特に、会社員として働いている人の場合は、この点は慎重に考えたいところです。というのも、合理的な理由がなく仕事を断ることは、労働者としての義務を果たしていないことになってしまう可能性もあるからです。
とはいえ、限界まで仕事を抱えているのに、上司に言われたからと言ってすべてを引き受けていては、体や心のバランスをくずしてしまうこともありえます。健康を犠牲にしてしまっては、元も子もありません。そのため、時には仕事を断ることも必要といえます。
仕事を断る際の注意点
仕事を断るときに、注意した方がよいポイントを見ていきましょう。断るという同じ行為であっても、言い方や相手との関係性に気をつけないと、思わぬもめごとを呼んでしまう恐れも。そんなことを避けるためには、以下のポイントをチェックしてみてください。
1:理由を説明する
1番気をつけたいのは、単なる「さぼり」と思われないようにすることです。合理的な理由があって断っているということを、しっかり説明するようにしましょう。
中には、上司から仕事を頼まれた際に「いやです」などとぶっきらぼうに断ってしまい、勤務態度が悪いとして、人事評価を下げられてしまうという事例もあるようです。
そもそも、会社員の場合、業務命令に従い、誠実に仕事をすることが求められています。そのため、単なる好き嫌いだけで仕事を断るというのは、リスクがあると考えた方がよいでしょう。ただ、あまりに忙しすぎる場合は、「今〇〇と〇〇の案件を抱えているので、リソース的に難しい状況です」などと現状を共有するのがおすすめです。
なお、直属の上司からの依頼の場合は、特に慎重にしたいところ。基本的に、断る前にまずは相談をするのが原則です。たとえば、自分が今抱えている仕事の現状などを踏まえて、相談するというイメージです。
そうすると、「では、〇〇の件より、こちらを優先でお願いします」など、指示があることも。こういった相談をしないで断ってしまうと、職務怠慢に見えてしまうことも考えられます。
もちろん、あまりにも無理難題を言われたときに、すべて引き受ける必要はありません。しかし、1度自分の仕事の現状などを説明した上で、どのようにするべきか相談した方が、角は立ちにくいでしょう。
2:言い方や声のトーンを意識する
断る際、声のトーンや言い方でかなり印象が変わってきます。どんなに忙しかったとしても、あからさまに不機嫌な態度を出すのは避けたいところ。後々の人間関係にも関わってくる可能性があるからです。
時には、「なんでこんなことまでしなきゃいけないの? 忙しいのに!」と思ってしまう場面もあるかもしれません。しかし、「今忙しいんですけど!」などと声を荒げてしまうのと、「申し訳ございません。今手一杯でして…」と言うのでは、かなり印象が異なるでしょう。
組織で働く上で、やわらかい言い方や、声のトーンを意識しておくと、不要なトラブルや誤解を避けやすくなります。
3:結論を明確に伝える
断ることが苦手な人は、いろいろと言い訳のような言葉を並べてしまい、結局何が伝えたいのかわからないということもあるようです。お断りをしなければいけないときは、意思表示は明確にしたいところですね。
「できたらやります」や、「検討します」などとあいまいな言い方をして、依頼を引き受けてくれたと誤解されてしまうこともあるようです。また、いろいろと言葉を並べているうちに、相手に言いくるめられてしまい、結局断るはずだった仕事をやることになってしまったというケースも。
仕事なので、依頼をしている方も明確な回答が早く欲しいところです。結論を先延ばしにしてしまい、「やっぱりできません」と言われると、困ってしまうでしょう。お断りをすると決めたときは、言葉遣いに気をつけつつ、早めに、結論を明確に伝えるようにしたいですね。
メールで断るときのポイントと例文
メールで断るときは、どのような点に気をつけたらよいのでしょうか? メールは感情表現が伝わりにくい分、さらに気を遣うもの。ここからは、例文を見ていきましょう。
例文:「この度は、光栄なお話をありがとうございます。せっかくお声掛けいただきましたのに、大変申し訳ございませんが、今は〇〇の件の対応があるため、お受けすることが難しい状況です」
また、以下のように代替案を提案することも考えてみるとよいでしょう。
「来月末以降でしたら可能ですが、いかがでしょうか? 」
「〇〇のみであれば、お引き受けできますが、いかがでしょうか? 」
さらに、相手との関係を今後も保ちたい場合は、「またの機会がございましたら、よろしくお願いいたします」などと末尾に添えるのもおすすめです。
断ることに罪悪感があるときは?
仕事を断ることは気が引けるという方も多いでしょう。相手の役に立ってあげたいという思いから、断ることに罪悪感があるという人もいるのではないでしょうか?
また、中には本当は手一杯なのに、限界を超えて頑張り過ぎてしまう人もいるかもしれません。その結果、体を壊してしまったというケースもあるようです。
安請け合いしてしまうと、結果的に相手に負担をかけてしまうこともありえます。場合によっては、頼んだ人に対して不快感を感じてしまうこともあるかもしれません。そのため、「相手との関係性を大切にしているからこそ、時にはお断りすることも必要」と考えてみてください。
最後に
この記事では、仕事の断り方のポイントや、メールの例文を解説しました。仕事を断るというのは、何かと気を遣うもの。とはいえ、毎回すべての仕事を引き受けられるとは限りません。今後のために、おさえておくと安心でしょう。
執筆
塚原社会保険労務士事務所代表 塚原美彩(つかはら・みさ)
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。
事務所ホームページ:塚原社会保険労務士事務所
ライター所属:京都メディアライン
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