コンソメはブイヨンの代用品になるか?
コンソメはブイヨンとよく似ています。ブイヨンがないときの代用品として、真っ先に思いつくのはコンソメかもしれません。コンソメとブイヨンの違いや、コンソメを代用品にするときの注意点をチェックします。

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ブイヨンとコンソメの違いと使い分け方
ブイヨンは、フランス料理で「だし汁」のことです。よく使われる材料は牛肉や牛の骨、鶏肉や鶏がら、タマネギ・ニンジン・セロリ・ハーブなどで、これらをよく煮込んで作ります。
一方、コンソメは、ブイヨンに牛や鶏の骨、魚の骨やアラなどを入れて煮込み、塩・香辛料で味を付けたものです。アクを取り脂などをこして仕上げるため、透き通った琥珀色が特徴です。
つまり、コンソメはブイヨンから作られているのでブイヨンの代用にできます。ただし、ブイヨンはベースになるだしによってビーフ味やチキン味などの違いがあります。
チキンブイヨンの代わりにはチキンコンソメを使う、といった具合にレシピに合わせて使い分けるのがコツです。
ブイヨン(〈フランス〉bouillon)
1 西洋料理の基本材料の一。肉・骨・魚類などと香辛料・香味野菜などをいっしょにして長時間煮込んで作る煮出し汁。スープ・ソースのもとにする。
2 細菌の培養に用いる肉汁。
ブイヨンの代わりにコンソメを使うなら塩分に注意
コンソメは、ブイヨンに肉や野菜のだし、塩などの調味料を加えて作られています。一般的に、コンソメの方がブイヨンよりも塩分が強めなので、ブイヨンの代用にする場合は入れすぎに注意が必要です。
ブイヨン向けのレシピなら、書かれたブイヨンの分量より控えめに使います。味が薄いと思ったときも、味見しながら少しずつ塩分を調整するのがおすすめです。
逆に、コンソメの代わりにブイヨンを使うときは、塩・こしょう・ハーブなどで味を調えます。
固形と顆粒、粉末タイプの使い分け方
ブイヨンとコンソメは、それぞれ固形と顆粒、粉末の状態で売られています。
固形タイプは一定量で固められ、1個ずつ紙などで包まれているのが特徴です。個数でグラムが分かるため、計量の手間がかからずスープや煮込み料理に便利です。また、個包装なので味が劣化しにくいという利点もあります。
顆粒タイプや、さらに細かい粉末タイプは溶けやすく、使う量を調節しやすいのがメリットです。料理の下味から煮込み料理や炒め物まで幅広く活用できます。
特に、細かい粉末タイプは水分があまりない状態でも溶けてなじむため、ソテー作りに重宝します。
ブイヨンの代用品になる調味料・4選
ブイヨンの代用品になる調味料はさまざまです。ただし、それぞれに特徴があるので、どんな料理にも合うというわけではありません。ブイヨンの代用品になるもの4種と、使い方のコツや合う料理の傾向を紹介します。
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【チキン味】鶏がらスープの素
ブイヨンは、メインになるだしによって、チキンブイヨンやビーフブイヨンなどの種類に分かれます。
チキンのだしが濃厚なチキンブイヨンの代わりなら、「鶏がらスープの素」が適しています。鶏がらスープの素は、鶏がら(鶏の骨)や、ネギ・ショウガといった野菜を煮込んだものです。
ただし、原材料にニンニクや鶏油が使われているため、あまり多く入れると中華風味になるかもしれません。洋風料理に修正する場合は、オレガノ・バジルといったハーブや香辛料で調整できます。
【チキン・豚骨味】中華調味料・味覇(ウェイパー)
味覇(ウェイパー)は、株式会社廣記商行が販売する中華系の調味料の一つで、中華風の炒め物やラーメンのスープなど、中華料理に合う味付けです。
鶏がらと豚骨をベースにした、濃厚なコクが特徴で、ブイヨンの代用品になります。こってり系の料理はもちろん、量を調整すればあっさり系の料理にも使えます。
例えば、スパイシーで味の濃いカレー料理や、豚肉を使った料理ならおいしく出来上がるでしょう。あまり量を入れすぎると中華風になってしまうので気を付ける必要があります。
【ビーフ味】韓国の調味料・ダシダ
ダシダは韓国の食品メーカーCJが製造・販売している粉末調味料で、牛骨や牛肉のだしにタマネギやにんにくを入れて作ったエキスのことです。
牛骨や牛肉のだしをベースにしているため、ビーフブイヨンの代用品に向いています。鶏料理や魚料理にはあまり適しているといえません。
味付けが韓国風であることと、にんにくの味付けが出てしまうため、使う料理は選ぶ必要があります。ブイヨンの代用に使う場合は、レシピにあるブイヨンの分量よりも少なめに入れ、後は味を見ながら調節します。
【海鮮味】和風だし
和風だしは商品にもよりますが、かつお節や昆布、煮干しなどでだしを取っています。
海産物から取っただしは牛や鶏のだしに比べるとあっさり風味なので、チキンブイヨンの代用としても、やや味が物足りなく感じるかもしれません。ブイヨンの代用にするときは、肉系のだしや香味野菜をプラスするのがポイントです。
逆にいえば、あっさり系の料理に使いやすく、自分好みでアレンジしやすいのが特徴になります。洋風料理に使うときは、ウィンナーやベーコンなどの肉類や、ハーブやスパイスを加えるのがおすすめです。
意外と簡単なブイヨンの作り方
ブイヨンというと、作るのに難しそうなイメージがあるかもしれません。ブイヨンは煮込み料理なので、材料を入れたら後はほったらかしで数時間煮込むだけです。チキンブイヨンやビーフブイヨンのレシピや保存方法を紹介します。

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チキンブイヨンの作り方
ブイヨンは意外に手間が掛からない料理なので、時間のあるときにチャレンジすれば一味違った家庭料理を楽しめます。チキンブイヨンのレシピ例は次の通りです。
【材料】
・鶏がら 1kg
・タマネギ 1個
・ニンジン 1本
・にんにく 1片
・塩 適量
・パセリ・タイム・セロリ ひとつまみ
・黒こしょう ひとつまみ
・ローリエ 1/2
・水 約3L
【作り方】
大きい鍋に、下茹でした鶏がらと水を入れて強火にかけます。お湯が沸いたら小さく切った野菜、ハーブ・黒こしょうを加えて2~3時間くらい弱火で煮込みます。煮汁を布でこして細かい野菜やハーブを取り除くと出来上がりです。
通常、冷蔵庫で1週間、冷凍庫で2~3カ月の保存が可能です。保存する際は、必ず熱湯消毒した密閉容器に入れ、粗熱が取れてから冷蔵庫や冷凍庫にしまいます。
ビーフブイヨンの作り方
ビーフブイヨンも、チキンブイヨンと同じように材料をじっくり煮込むだけです。ビーフブイヨンの材料とレシピ例は以下の通りです。
【材料】
・骨付き牛肉(牛スネ肉や牛スジ肉でも可能) 300g
・タマネギ 1個
・ニンジン 100g
・セロリ 100g
・パセリ・タイム・セロリ ひとつまみ
・水 約2L
【作り方】
タマネギ・ニンジン・セロリを小さく切って、大きめの鍋に肉や野菜、ハーブを入れます。
材料がかぶるくらいの水を注いで強火にかけ、お湯が沸いたら弱火で20分くらい煮込みます。最後にざるで具材をこして取り除いたら終了です。
保存方法は、熱湯で消毒した容器に入れて常温で冷まします。粗熱が取れた後、密閉して冷蔵庫か冷凍庫に入れます。
野菜ブイヨンの作り方
野菜だけを煮込んで作るブイヨンは、使いきれなくて余った野菜の切れ端を利用できます。ビーフブイヨンなどに比べればあまり費用もかからないので、気軽に作れるレシピです。
【材料】
・タマネギ 150g
・ニンジン 150g
・キャベツ 100g
・セロリ 80g
・にんにく 3片
・ローリエ 1枚
・パセリ(軸の部分)4~5本
・塩 少々
・こしょう 少々
・水 約3L
・料理酒または白ワイン 150cc
【作り方】
野菜は筋を切るように薄くスライスし、鍋に野菜を入れたらかぶるくらいの水を注ぎます。強火にかけて沸騰したら、火を弱めてアクを取り、ハーブ・塩・こしょうを入れます。
弱火で煮立たせながら20分くらい煮込んだ後、目の細かいざるで少しずつこして完成です。野菜のだしと甘みの利いたブイヨンは、和洋中の煮物料理、スープ・雑炊などさまざまに活用できます。
ブイヨンの代用品は料理によって調整しよう

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ブイヨンの主な代用品はコンソメを入れて5種類あります。それぞれの特徴を理解しておけば、うっかりブイヨンを切らしてしまったときでもあわてなくて済みます。
コンソメをブイヨンの代用にする場合は、塩分量に注意が必要です。他の調味料も、ベースになっているだしがチキンかビーフか豚骨か、あるいはこってり系かあっさり系かで合う料理が変わってきます。失敗しないように、特徴と合わせて覚えておきましょう。
また、ブイヨンは家庭でも作れます。基本的にほったらかし料理なので、他の家事をしながら煮込むこともできます。一度挑戦してみて家族や友達を驚かせるのも楽しいかもしれません。
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