「お納めください」は手土産や贈り物などを渡すとき、「ご査収ください」は確認が必要な書類や資料を送る際に使用します。
「お納めください」との違い
「ご査収ください」には、受け取るだけでなく「内容を十分に確認してください」というニュアンスが含まれます。一方で「お納めください」に確認する意味合いは含まれていません。
しかし、取引先にお土産を渡すときに「ご査収ください」と伝えたり、ビジネス文書を送信したりするときに「お納めください」と記載するなど、意味を混同している人も多くいます。間違って使用すると失礼にあたる場合もあるので、十分に注意しましょう。

「お納めください」を使う際の注意点
職場などで「お納めください」と言って贈り物を渡すときは、どのような点に気をつけたらいいでしょうか? 注意するポイントを紹介します。

贈り物の内容に配慮する
まず「お納めください」を使う前に、贈る品物に応じて、この表現が適切かどうかを考える必要があります。高価な品物や正式な贈り物であれば適していますが、日常的なものや軽いプレゼントの場合は、かしこまりすぎてしまうかもしれません。

ちょっとした贈り物や感謝の気持ち程度であれば「よかったら受け取ってください」など、適度にカジュアルな表現を使ったほうが相手に無理なく受け取ってもらえるでしょう。
目上の人に使う際の前置き
「お納めください」を目上の人に使う際は、前置きを加えることで、相手への敬意を強調することができますよ。たとえば、「よろしければ」や「心ばかりの品ではございますが」などをつけると控えめな印象を与え、配慮を示せるでしょう。
親しい相手に使うには不向き
親しい関係の相手に「お納めください」と言うと、堅苦しいと思われる可能性があります。そのような場合は、相手との距離感や関係性に応じて、もっとリラックスした表現に変えたほうがいいでしょう。親しい先輩や後輩に贈り物をするときには、「どうぞ受け取ってください」や「これ、よかったら使ってね」などと表現してみてはいかがでしょうか?
「お納めください」の例文
次は、ビジネスシーンで頻繁に出てくる「お納めください」の例文を紹介します。そのまま使用できる例文も多いので、ぜひ覚えておきましょう。
例文
・心ばかりですが、お納めください。
・ご遠慮なくお納めください。
・ささやかなものですが、どうぞお納めください。
・〇〇を持参いたしました。ご遠慮なくお納めくださいませ。
・宅配便にて〇〇をお送りいたしました。何卒お納めください。
「〜ください」という言い回しは、命令形ですから敬意は高くありません。そこに「ませ」をつけて「〜くださいませ」とすると、敬意を表せます。
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「お納めください」の言い換え表現
次に、「お納めください」と言い換えできる類語表現を紹介します。それぞれの意味と使い方をマスターして、正しい敬語を身に付けましょう。
ご笑納ください
「ご笑納ください」には、「つまらないものですが、笑って受け取ってください」という意味があります。笑納にはへりくだる意味が含まれ、冗談が言える間柄の人に対して使うのが一般的です。上司や取引先など目上の人に向かって言うと失礼にあたるおそれもあるため、使用しないほうが無難でしょう。
例文
・ちょっとしたお土産です。どうぞご笑納ください。
・〇〇をお送りいたしましたので、ご笑納ください。
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ご受納ください
「ご受納ください」は、「受け納めてください」という意味です。「お納めください」とほぼ同じ意味で、何か贈り物を渡すときに添えられます。ただ、「お納めください」より頻繁に使われる言葉ではありません。相手によっては意味が伝わらないこともあるので注意しましょう。
例文
・ささやかなものですが、どうぞご受納ください。
・〇〇を持参いたしましたのでご受納ください。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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お受け取りください
「お受け取りください」は、その言葉のとおり「受け取ってください」という意味です。しかし、カジュアルな印象を受ける言い回しのため、ビジネスシーンではあまり使用されません。使う相手は見極めたほうがいいでしょう。
例文
・〇〇を同封いたしましたので、どうぞお受け取りくださいませ。
・つまらないものですが、お受け取りくださいますようよろしくお願いいたします。
お納めいただければ幸いです
「ください」と強制するニュアンスを和らげ、相手の判断に委ねる丁寧な表現です。
例文
・わずかばかりではございますが、お納めいただければ幸いです
「お納めください」の英語表現
ここからは、海外とのやりとりで使える英語表現を紹介します。「お納めください」と同じ意味で使用できるので、積極的に使ってみましょう。

“Here you are.”
“Here you are.”は、人に何かを渡すときに使われる表現で「こちらです」「はい、どうぞ」という意味があります。上司や取引先など目上の人にも使えるフォーマルな言い回しで、「お納めください」と同じ意味を持つので、ぜひ覚えておきましょう。
例文
・This is a small gift. Here you are.
(つまらないものですが、お納めくださいませ)
・This is 〇〇. Here you are.
(〇〇を持参しました。どうぞお納めください)
“I hope you like it.”
“I hope you like it.”は、贈り物を渡すときによく使われる表現です。頭に付いた“I hope”により、「そうだったらいいな」という謙虚な気持ちを含められます。“Here you are.”と同じく使用頻度が高いので、一緒に覚えておきましょう。
例文
・This is 〇〇.I hope you like it.
(〇〇をご用意したので、どうぞお納めください)
・I brought 〇〇 today.I hope you like it.
(〇〇を持参いたしました。つまらないものですが、お納めくださいませ)
「お納めください」に関するよくある質問
「お納めください」という表現に関して、ビジネスシーンでよくある質問とその回答をご紹介します。
Q. 「お納めください」の意味は?
「お納めください」 は、「どうぞ受け取ってください」「大切にしまっておいてください」といった意味を丁寧に伝える敬語表現です。主に金銭や品物などを相手に差し出す際、へりくだった気持ちを込めて使われます。
Q. 「お納めください」は給料や代金の受け渡しにも使えますか?
「お納めください」は一般的に、給料や代金の受け渡しには使いません。この表現は相手への感謝や贈答という意味合いが強く、目上から目下へ、あるいは同等の関係である人に何かを差し上げるとき使われることが多いからです。
給料や代金は、労働や商品・サービスに対する対価として支払われるものであり、贈与とは性質が異なります。そのため給料を渡す際には「給与をお渡しします」、代金を受け取る際には「代金を頂戴いたします」など、それぞれの状況に合った、より明確で事務的な表現を使うのが適切です。
最後に
- 「お納めください」 は、贈り物をする際に「受け取ってください」と丁寧に伝える言葉
- 書類送付には不適切で、給料や代金の受け渡しにも使わない
- 敬意を表す言葉であるものの、親しい相手に使うのは不適切な場合もあるため注意が必要
「お納めください」は、ビジネスや日常の中で贈り物を渡すとき、感謝や敬意を示すために使われます。適切な状況で使うことにより、相手との信頼関係を築くきっかけにもなりますよ。次回何かを贈るときには「お納めください」と一言添えて渡してみてはいかがでしょうか?
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Domani編集部
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