「感謝申し上げます」
「感謝申し上げます」は、「感謝」に、「言う」の謙譲語である「申し上げます」が組み合わさった敬語です。「あなたに感謝しています」という気持ちを表す言葉と考えてください。丁寧な表現なので、目上の人や取引先にも使うことができます。
「心より感謝申し上げます」は、「心の底から感謝しています」の意。ビジネスシーンでは定番の表現です。
《例文》
・日頃からたいへんお世話になり、心より感謝申し上げます
「厚く御礼申し上げます」
「厚く御礼申し上げます」は、心からの感謝を表す丁寧な表現で、目上の方に使用することが多いでしょう。年賀状やお礼の手紙などで用いられています。メールなどでは、結びの文として使うことも多いですね。結婚式の挨拶やビジネスのスピーチでも登場しますが、その場合は「この度はお忙しい中お集りいただき、厚く御礼申し上げます」のような使い方をします。
「御礼」は「おんれい」と読み、漢字で表記するのが一般的。ビジネスシーンでは、「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます」のように使います。
《例文》
・ひとかたならぬご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます
「深謝申し上げます」
「深謝申し上げます」は、心の底から深く感謝するという意味。強い感謝の気持ちを表します。「深謝」は「しんしゃ」と読み、謝罪の言葉として使用することも。心から深くお詫びしたい場合に用いることが多いでしょう。
この表現は、スピーチやメール、文書などでよく登場します。感謝と謝罪の両方の意味があることを把握しておくといいですね。
《例文》
・滞在中はたいへんお世話になり、改めて深謝申し上げます
・多大なるご迷惑をお掛けしたことを、深謝申し上げます
「恐縮です」
「恐縮です」は、相手に対して申し訳なく思う、あるいは相手の厚意を受けたことに感謝しながらも恐れ入る場合に使います。「誠に恐縮です」「たいへん恐縮です」という表現で用いることも多いです。会話はもちろん、メールや文書などにもよく登場します。
《例文》
・ご多忙のところたいへん恐縮ですが、いま一度ご確認いただきますようお願いいたします
感謝を伝えるメールの書き方とは?
ビジネスシーンで欠かせないのが、メールを使って感謝の気持ちを伝えること。文字のやりとりになりますので、会話以上に丁寧な対応を意識したいところです。失敗しないメールのマナーや書き方について、チェックしていきましょう。
感謝やお礼のメールは、早いタイミングで送る
感謝やお礼のメールを送るなら、24時間以内に送信するのがおすすめです。いち早く感謝の気持ちを伝えるほうがいいですね。文章を書くのは大変かもしれませんが、時間を置きすぎるのはNG。なるべく早く気持ちを伝えるようにしましょう。
件名はわかりやすく、簡潔にする
件名は、「わかりやすく簡潔に」が鉄則です。差出人は誰か、要件は何かが一見でわかるようにしましょう。
「先日は誠にありがとうございました」という件名は、避けたほうがいいですね。丁寧ではあるものの、差出人や要件がわかりにくいからです。この場合は、「先日の〇〇の御礼 〇〇会社 氏名」とするのがおすすめ。一目でわかり、検索もしやすいでしょう。
「取り急ぎ」という言葉は注意
ビジネスメールでよく見かける「取り急ぎ」というフレーズ。「取り急ぎ」とは、「とりあえず急いで」を意味する言葉です。「取り急ぎ」は、相手や状況によっては、あまりよい表現と受け取られないことも。失礼にあたるかもしれないということを把握しておくといいですね。
定型文は、そのまま使わない
テンプレートや定型文は、最低限のマナーを知るためのもの。それだけをコピペして送るのは避けましょう。基本的には、文例を参考にしながら、具体的なエピソードを入れるのがいいですね。自分の言葉で書くからこそ、相手に気持ちが伝わります。そのことを意識するようにしてください。
「ありがとうございます」をビジネスシーンで使うときの注意点
ビジネスシーンで「ありがとうございます」を使うときに注意したいことを紹介します。次の3点は意識するようにしてください。
相手と状況を選ぶ
「ありがとうございます」はいいイメージを与える言葉ですが、相手や状況によって表現を変えるといいですね。たとえば、相手に何かしらの負担がかかり、「手を煩わせて申し訳ないな」という気持ちを伝えたい場合、「ありがとうございます」だけだと相手は軽く感じるかもしれません。
この場合は「お手数をおかけし申し訳ありません」「恐縮に存じます」などの言葉を添えると、気持ちがより伝わるはず。相手と状況を考えながら、言葉を使い分けましょう。
漢字表記に注意
上述したように、「ありがとうございます」は漢字で表記することも可能。「有り難うございます」「有り難う御座います」「ありがとう御座います」など、複数のパターンがあります。書き間違いのないよう注意したいですね。
相手にどのような印象を与えたいかを考える
一方の「有り難う」は、漢字表記でも問題ありません。「有り難うございます」と表記すると、かしこまっているイメージを与えるかもしれません。「ありがとうございます」と表記すると、やわらかい印象になるでしょう。
相手にどのような印象を与えたいかで、表記を決めるようにしましょう。
「ありがとうございます」の英語表現とは?
英語には明確な「敬語」表現がありません。そのため、丁寧な表現の単語を選ぶこと、真摯な態度で伝えることが大切です。相手への感謝の気持ちを適切に表現できるように、簡単な英語表現を紹介します。
Thank you very much./Thank you so much.(誠にありがとうございます)
深い感謝の気持ちを伝えたいときに使います。“very”や“so”を使うことで、より感謝の気持ちを強調することができます。
Thank you for contacting me.(連絡をいただき、ありがとうございます)
上記の例文のように、何に対して感謝しているのかを具体的に伝えることも大切です。
I appreciate your kindness. (ご親切に、ありがとうございます)
目上の方に丁寧にお礼を言いたい場合は、“appreciate”を使います。
最後に
「ありがとうございます」の敬語やビジネスシーンでの使い方を紹介しました。相手やシーンに合わせた表現を選び、心を込めて感謝の気持ちを届けてくださいね。
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