夫婦間の束縛はどこから?
「夫婦間の束縛」とは、具体的にどの程度の行為を指すのでしょうか? まずは、夫婦間の束縛にまつわる一般的な基準から確認していきましょう。
一方的に強制するところから
夫婦間の束縛について、「○○は束縛」とされるような明確な基準はありません。しかし一般論としては、「相手を無視した一方的な強制」が夫婦間の束縛と判断される傾向にあります。
夫婦が対等であることを大前提に考えると、正当な理由なく相手の行動を縛るのは道理に合いません。「△△はしないで」「□□とは会わないで」など、相手の気持ちを考えることなく自分の価値観や願望を基準に何かを強制しようとしたら、その時点で「夫婦間の束縛」といえるでしょう。
一方で、はたから見てひどい束縛だったとしても、される側が心から納得し、受け入れているのであれば基本的に問題はないという見方も。ネガティブな意味合いで「夫婦間の束縛」とされるのは、あくまでも「束縛されたくない」と感じているパートナーに対する一方的な強制・強要です。
お願いベースは許容範囲の場合も
たとえ正当な理由のない一方的な強制だったとしても、お願いや「○○してほしい」といった意思表示に留まる場合、必ずしも束縛とはいえないケースも。
お願いや意思表示の場合、最終的にどうするかの決定権は要求されたパートナー側にあると考えられるからです。一概にはいえませんが、要求された側が自分の意思で拒否し、要求した側がそれを素直に受け入れるのなら、その時点では「束縛」とは言い切れないでしょう。
束縛をしない夫婦間とは
「束縛のない夫婦でいたい」と思ったら、どのような点を意識すればよいのでしょうか。お互いに心地よい関係を築くためのポイントを紹介します。
お互いの自由を認めている
束縛をしない夫婦関係では、互いの自由を認め合っています。たとえ夫婦だったとしても、「相手の自由を奪う権利がある」とは考えません。
たとえば、どちらかが週末に友人と食事に行きたいと考えた場合、「行ってきてもよい?」と相手の許可を求めるのではなく「行ってくるね」と報告します。
自分が自由なぶん、相手の自由を尊重する・意識してお互いに自由時間を与え合うといった暗黙の了解のもと、お互いに心地よい関係を育んでいるのです。
「共生婚」という考え方も
中には、束縛のない夫婦関係のある意味究極の形として、「共生婚」を選ぶ夫婦もいます。
「共生婚」では、一緒に生活こそするものの、家事や家計は基本的に別です。性別による役割の分担もありません。いうなれば、同じ屋根の下で一人暮らしをしているような、ルームメイトのような夫婦のスタイルです。
共生婚を選んだ夫婦は、その多くが性交渉を持たないよう。とはいえお互いに愛情はあり、作った料理を相手にも取っておいたり、時間が合えばデートをしたりといった形で支え合います。
男女の役割に縛られる必要がなくなり、ライフスタイルの多様性が認められつつある現代ならではの夫婦の形といえるでしょう。
束縛をしない・されないための方法
束縛をすることもされることもなく、心地よい距離感の夫婦でいるためには、いったいどうしたらよいのでしょうか。具体的な対処法を紹介します。
スケジュールを共有する
夫婦間で束縛が生まれる大きな原因の一つに、「相手の行動を把握できないことに対する不安」があります。特に独占欲が強いタイプの人の場合には、不安がそのまま相手への束縛となりがちです。
また、相手のスケジュールに家族の食事の時間などが振り回されてしまうため、結果として束縛に捉えられてしまうケースも少なくありません。
そこでおすすめなのが、お互いのスケジュールを共有するという方法です。お互いのスケジュールが把握できていれば、不要な不安が生じることも、それによって束縛することもされることも減るはず。
毎朝当日のスケジュールを確認し合う・スマホのスケジュールアプリを利用するなど、お互いの負担にならないスケジュールの共有方法を検討してみるのもよいでしょう。
お互いに自立する
相手に依存しすぎず、お互いに自立することも、束縛をしない・されない夫婦になるための大切なポイントです。
パートナーへの依存は、「この人を失ったらどうしよう」という根拠のない不安や焦りの原因となります。相手を自分に縛り付けたい気持ちが、強い束縛を生んでしまうのです。また、相手へ過度に依存することで、相手のモラハラを許してしまうような不健全な関係に陥るリスクも高まります。
ここでいう自立は、金銭的なことだけではありません。家事や精神面などを含め、一人で生きていける能力全般を身に付けることをいいます。
お互いに自立した二人だからこそ、依存も束縛もない健全な関係を育んでいけることを心に留めておきましょう。
放任しすぎもNG!程よい距離感の掴み方
「束縛は嫌だ」と思ってはいても、お互いが放任しすぎることで心の距離が離れてしまうのは避けたいものです。程よい夫婦の距離感の掴み方とはどのようなものなのでしょうか。
人によって適度な距離感は異なることを知ろう
夫婦がほどよい距離感を掴む上で、まず押さえておきたいのが、「適度な距離感は人によって異なる」ということ。
あなたが「毎日夫婦で会話をする時間を持ちたい」と思っていても、相手は「顔を見られれば十分」と感じているかもしれません。あなたがスキンシップが好きなタイプだったとしても、相手はスキンシップが苦手なタイプである可能性も考えられます。
知らずしらずのうちに不満を抱え合わないためにも、自分の考える適度な距離感と、パートナーの考える適度な距離感との間にズレがないかどうか、しっかりと確認しておくことが大切です。
あえて別行動をしてみる
夫婦だからといって、常に一緒にいる必要はありません。ときにはあえて別行動をすることも、距離感のバランスを整える上で効果的です。
仮に、週末は一緒に過ごすことが定番化しているのなら、一人の時間を過ごしてみるのもよいでしょう。夫婦の片割れではなく、個人としての時間を意識して持つことで、お互いの依存度が過度に高まるのを防げます。
中には、程よい距離感を保つため、SNSはつながらない選択をする夫婦も。自分たち夫婦の理想とする距離感を見つけ出し、それぞれが個人としての人生を充実させることが大切です。
しっかり話し合うことが何より大切
夫婦とはいえ、深く理解し合うにはお互いの努力が必要です。「わたしたちは十分理解し合えている」「相手は○○と思っているはずだ」といった思い込みが、ときに取り返しのつかない心の距離を生むこともあります。
お互いを束縛せず、かといって放任しすぎることもない関係を育むには、会話を通じた相互理解が欠かせません。相手の言動に違和感を覚えたとき・何かを決めるとき・二人の時間が思うようにつくれないときなどは、意識して話し合いの時間を持ちましょう。
「自分の気持ちを理解してもらいたい」と思うのと同様に、相手を理解しようとする前向きな姿勢が大切です。
話し合いのポイント
夫婦がスムーズに話し合いをするには、いきなり感情を爆発させるのではなく、冷静に話し合う努力をすることが大切です。ヒートアップしてしまうと、お互いに感情的になりやすく、まとまる話もまとまりません。
冷静に話し合うためには、パートナーに対する不満や疑問点を普段から心に溜め込まないことが大切です。溜め込む前にこまめに話し合いをすることで、大きなトラブルや確執に発展することを防げます。
なお、話し合いの目的は、自分の要求を無理矢理通すことではありません。お互いの心を理解し、歩み寄るための場であることを忘れずにいましょう。
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