「各位」とは? 改めて意味を確認
ビジネスシーンなどでよく目にする「各位」。よく使われる言葉ですが、「各位」の使い方に自信が持てないという人も多いかもしれません。
文書やメールに欠かせない「各位」の意味や使い方について、改めて確認していきましょう。
「各位」とは? 辞書で意味を確認
▷【各位】読み方:かくい
大ぜいの人を対象にして、その一人一人を敬って言う語。皆様。皆様方。多く、改まった席上や書面で用いる。
[補説] 「各位殿」という表現は、敬意が重複することになるので、好ましくない。
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
「各」は大勢や皆、「位」は様を表すため、「皆様」や「皆様方」という意味合いになると考えてよいでしょう。
「各位」どのように使う?
ここからは、「各位」の使い方について見ていきましょう。いくつかポイントがありますので、まずはそれを把握してみてください。
「各位」は複数の人に向けて使う言葉
上述したように、「各位」の「各」は大勢を表します。このことから、「各位」は複数の人に向けて使う言葉であることがわかりますね。文書やメールで使われているのを見ると、「各位」の前につくのは「関係者」や「お客様」であることが多いはずです。社内であれば、部署全体やチーム全体に向けて発信する際に、使われることが多いでしょう。
目上の人や社外に対しても使える
「各位」は、目上の人や取引先、お客様に対しても使えます。敬意を示す表現なので、安心して使ってください。
ただ、目上の人の送信する際、組織や団体単位で送ると、他の人と同列になり印象がよくないのではと不安になるかもしれません。その場合は、「○○部長、および△△部各位」のように表記する、もしくは、全体とは別にして個人宛に送るなどするとよいでしょう。
話し言葉で使うのもOK
「各位」は、メールや文書で見かけることがほとんどのため、話し言葉では使わないと思われがちですが、そうではありません。ビジネスに関連するフォーマルな場などでは、関係者に向けて呼びかけるように使うこともあります。
「各位」の使い方で注意したいこと
ここからは「各位」を使う上で注意したいことを見ていきましょう。
企業や団体に使うのはNG
「各位」は、あくまでも「人」に対して使う言葉です。企業や団体に「各位」を使うのは、適切ではありません。
企業や団体には「御中」を使うとよいですね。「○○株式会社御中」と表記するのが適しています。
特定の個人には使わない
上述したように、「各位」は複数の人に向けて使う言葉です。そのため、特定の個人に使うのは適しません。個人には「様」や「殿」を使うのが正解です。また、「御中」も個人には使いませんので、注意してくださいね。
二重敬語にならないようにする
時々、「関係者各位殿」や「関係者様各位」のように使われているのを見ますが、これは二重敬語になるので誤りです。一見丁寧に感じますが、二重敬語はあまりに丁寧すぎるため、マナー知らずと思われることも。特にビジネスシーンでは注意が必要です。正しい表記は「関係者各位」や「取引先各位」ですので、間違えないようにしてください。
ただし、「お客様各位」については、例外的な使い方をするのが一般的です。「お客様」と「各位」を一緒に使うと、二重敬語になりますよね。本来は「お客各位」とするのが適切ですが、「お客様各位」が通例として浸透していることもあり、この表現を使ってもよいとされています。
「各位」の使い方を例文で確認
「各位」の具体的な使い方を見ていきましょう。例文で紹介しますので、参考にしてください。
例文1:社外に向けて使う場合
取引先各位
平素はお世話になりありがとうございます
株式会社○○ 営業部ご担当者各位
拝啓 時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます
上記以外だと、「関係者各位」や「販売店各位」などもよく使われています。メールや文書を作成する際は、上記のように表記するのが基本。日頃からお世話になっていることに対して感謝の意を表し、それから本文に入るとよいでしょう。
例文2:お客様に向けて使う場合
お客様各位
平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます
会員各位
拝啓 平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます
お客様に向けて使う際も、「各位」のあとに、ご利用いただいていることへの感謝の気持ちを丁寧に表記するのがベターです。
例文3:社内に向けて使う場合
社員各位
お疲れ様です。来月末に、社内イベントを開催します。
従業員各位
現在、台風19号が接近しています。
経理部各位
社内研修開催のご連絡です。
社内に向けて「各位」を使うのは、イベントや天候について全体周知をしたい場合や、部署単位でまとめて連絡や案内をしたい場合が多いでしょう。
例文4:日常で使う場合
保護者各位
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます
参加者各位
お疲れ様です。○月○日に交流会を開催します。
役員各位
拝啓 仲秋の候、皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます
保育園や幼稚園、学校などからの案内や、町内会など地域の団体からの連絡などでも「各位」はよく使われています。「各位」のあとは時候の挨拶で本文をはじめることを、おすすめします。
何気なく使っている言葉の誤用に注意
「各位」のように、日常ではあまり使わないけれど、ビジネスシーンでよく使うという言葉は、何気なく使ってしまいがちです。意味や使い方を改めて調べるということは、あまりしないかもしれません。そのため、知らず知らずのうちに誤用していたり、マナー違反になっていたりということもあります。
言葉の意味や使い方を改めて調べるということはあまりないかもしれませんが、気になったら、調べてみるのも。調べることで新たな発見や気づきがあるかもしれません。
調べる際は、信頼できる情報元を利用してください。特に、ネット上の情報は、真偽不明のものもありますから、注意が必要です。
最後に
「各位」は、複数の人に向けて使われる言葉。主に何かの案内や通知をするためのメールや文書で用いられることが多いでしょう。そのため、特定の個人や企業、団体には使いません。また、二重敬語になりがちなので、その点も注意が必要です。日常ではあまり使わない言葉ですが、意味や使い方を把握し、適切に使いたいところです。
あわせて読みたい