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2023.10.25

四面楚歌とは? 言葉の由来や類義語、対義語、英語表現まで詳しく解説【教員監修】

四面楚歌とは、四方を敵に囲まれ孤立無援であることを指す言葉です。よくわからないけれど、なんとなく知った気になっている言葉のひとつではないでしょうか。ビジネスシーンでもよく使うこの言葉。言葉の由来や使い方、類義語、対義語、英語表現まで紹介します。

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四面楚歌とは

四面楚歌は、「しめんそか」と読みます。四面楚歌と聞いて、どんな意味か正しく答えられますか? これは、周りを敵に囲まれて、味方が誰もいなくなり、助けを求めることができない状態を指します。

青色のブロックの周囲を円形に赤色のブロックが囲んでいるイメージ画像

言葉の由来

この言葉は、中国に起源を持ちます。中国・前漢の武帝の時代に、司馬遷(しばせん)によって編纂(へんさん)された、中国の代表的な歴史書『史記』。『四面楚歌』は、全130巻の中の『項羽本紀』に収録されています。

『史記』に、秦代末期の武将・項羽と劉邦の戦いが描かれています。沛公(劉邦)が率いる漢軍に、項王(項羽)が率いる楚の軍は垓下(がいか)の地に追い詰められます。かつて多くいた兵士の数も減り、食糧も尽きました。周囲は劉邦の漢軍に何重にも囲まれてしまいます。

すると、周囲の敵軍が自分の故郷である楚の歌を歌っているではありませんか。これを聞いた項王(項羽)は、味方の楚の国の兵士まで漢軍に取り込まれてしまったのかと、とても驚きました。援軍がきたのではなく楚の兵士が漢に寝返ってしまった、自分は完全に孤立した、と項羽は悟ったのです。

このエピソードから文字通り、四方すべてが楚の歌声、つまり敵の声に囲まれ、孤立している様子を四面楚歌というのです。

言葉の使い方

ではこの言葉はどんな場面で使うのか、使い方を見ていきましょう。ビジネスでは、たとえばプロジェクトの困難や競争相手に囲まれた状態を表現する際に使用できます。以下例文です。

1:市場の競争が激化し、我々の企業は四面楚歌の状態だ。
2:四面楚歌の状況でも、新しい戦略を立てることで突破口を見つけた。
3:彼女は四面楚歌の中でもリーダーシップを発揮し、社内の評価が高い。

青色の人々の隣に、赤色の人が1人で立っているイメージ画像
四面楚歌の類義語

四面楚歌には、どんな類義語や似た意味をもつ言葉があるのか見ていきましょう。

孤立無援(こりつむえん)

「孤立無援」とは、助ける者や頼ることができる仲間が一切いない状態、または完全に孤立している状態を指す言葉です。文字通り、孤立して援助がない状態を表現しています。

〈例文〉
1:彼女の意見はほかのメンバーから支持されず、孤立無援の立場となってしまった。
2:支店に異動となった彼は、新規事業をスタートさせ、孤立無援に陥った。
3:外出先で突然のトラブルに見舞われ、彼女は孤立無援で対応を迫られた。

八方塞がり(はっぽうふさがり)

「八方塞がり」とは、どの方向を向いても出口や解決策が見当たらない状態、または困難や窮地に追い込まれている状態を指す言葉です。文字通り、八方すべてが塞がっている様子を表現しています。

〈例文〉
1:新商品の開発は、技術的な問題や予算の制約が重なり、八方塞がりの状態となった。
2:彼は複数の取引先からクレームを受け、対応に追われる中で八方塞がりの状況を感じた。
3:試験前夜、彼女は勉強の遅れと体調不良が重なり、八方塞がりの気持ちになった。

万事休す(ばんじきゅうす)

「万事休す」とは、すべてのことが終わってしまった、または何もかもがダメになってしまった状態を指す言葉です。この表現は、事態が最悪の状態になったことを強調しています。

〈例文〉
1:重要なプレゼンテーションの当日、彼は資料を家に忘れてしまい、万事休すと思った。
2:彼の事業は順調に見えたが、主要な投資家が撤退したことで、万事休すの状態となった。
3:試合の残り10秒でゴールを許してしまい、皆、「これで万事休すだ」と落胆した。

四面楚歌の対義語

四面楚歌には辞書的に、ズバリそのものの対義語はありませんが、反対の意味をもっている言葉を紹介します。

笑顔で拳をぶつけ合うビジネスパーソン2人のイラスト

順風満帆(じゅんぷうまんぱん)

順風満帆とは、文字通り風が順調で船がスムーズに進む様子を表し、転じて、事が順調に進むことを意味します。

〈例文〉
1:彼女のプロジェクトは順風満帆に進んでいる。
2:彼の起業初年度は、予想を上回る売上を記録し、順風満帆に事業が拡大している。
3:彼女は新しい職場での人間関係や業務内容にもすぐに慣れ、順風満帆にスタートした。

四面楚歌の英語表現

四面楚歌の英語表現は、どのようなものがあるのか見ていきましょう。

surrounded by enemies on all sides

これは直訳すると、四方から敵に囲まれているという意味になります。物理的な敵だけでなく、意見や立場の違いから感じる敵対的な状況を示している例文を以下にあげます。

1:In the midst of the corporate takeover, the CEO felt surrounded by enemies on all sides.
(企業の買収の最中、CEOは四面楚歌だと感じた)
2:As the only member of his party in the council, he often felt surrounded by enemies on all sides during debates.
(議会で、党の唯一のメンバーとして、彼はしばしば討論の際、四面楚歌だと感じた)

besieged from all sides

これは、四方から包囲されている、といった意味です。ある状況や問題に対して、多方面からの圧力や攻撃を受けている状態を表現する際に使用されます。以下に例文をあげます。

1:With the sudden challenges in the project, he felt besieged from all sides.
(プロジェクトでの突然の課題に直面し、彼は四方から包囲されていると感じた)
2:With competitors launching similar products, the company felt besieged from all sides in the market.
(競合他社が同様の製品を発売したので、その企業は市場で四方から包囲されていると感じた)

まとめ

四面楚歌は、四方から敵に囲まれ、孤立無援の状態を表す言葉です。ビジネスシーンでは、困難な状況やプレッシャーが多い状態を指すことがあります。正しい意味を知って、ビジネスシーンでのコミュニケーションに役立てましょう。

武田さゆりさんのプロフィール写真

執筆

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。

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