声に出して言語化することによって脳で整理され、言葉を耳で捉えることで脳が記憶しやすくなります。周囲の音よりも優先的に自分の声が入ってくるため、必然的に集中することができるのです。

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記憶したり、集中しやすくなる
独り言を言って耳から情報を入れることは、何かを記憶したいときや集中して考えたいときにも役立つことがあるそうです。

吉野さん
たとえば、外国語の単語を覚えるために声に出して練習したり、作成した書類に間違いがないか声に出して読み直したり…記憶したいときや集中したいとき、無意識でそんなふうにやっている人も多いのではないでしょうか。
精神安定の働きがある
イライラしていることや孤独感などを言葉にして吐き出すことは、心の揺らぎを解消して精神を安定させることに繋がると、吉野さんは言います。

吉野さん
心に思っていることや愚痴、かまってほしいという思いなどを発することで、自分の中に溜めこまず発散できます。さらに、ひとり暮らしの人などの場合は、孤独や不安といった心理的ストレスが溜まっていることもあるので、独り言を発することでそれが緩和されます。
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精神集中
吉野さんによると、独り言で自分にポジティブな言葉をかけることは、ここぞという場面で精神を集中させることにも役立つそう。

吉野さん
自分を応援する『大丈夫』といったポジティブな独り言は、勝負に入る前、自分自身に勝利をもたらすイメージトレーニングや心理誘導として非常に有効です。
大事な場面を前に、自分で自分に応援の言葉をかける…映画やドラマなんかで見かけそうなシーンですが、実際にそんな効果があったのですね。
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独り言が多い人への対処法
続いて、周囲の人の独り言が気になってしまうときには、どのような対処ができるのでしょうか。吉野さんに2つの対処法を教えていただきました。

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本人に声をかけたり、産業医に相談をする
吉野さんによると、独り言の内容にもよるものの、まずは「独り言を言っている本人にポジティブな声かけをする」のが一つの方法だと言います。ただし、場合によっては産業医に相談した方がいいこともあり、注意が必要とのこと。

吉野さん
アドラー心理学にもありますが、ストレスが溜まっているようであれば、それ以上ストレスが蓄積して精神的に支障をきたすことのないよう、本人に興味を持ってポジティブな言葉をかけたりフォローしてあげてください。ただ、病的な感じがある場合は、手遅れにならないよう早めに医療機関へ行くことを促しましょう。

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どうしようもない場合は近寄らない
「医療機関へのフォローも必要なさそうだけど、どうしようもない」という状況であれば、あとはなるべく近づかないようにするしかないと言います。

吉野さん
医療的ケアも何も必要ない上に、自分も付き合いきれないのであれば、これはどうしようもありません (笑)。自分がその独り言を聞いて不快になったり、引っ張られたりしないよう距離を置いたり、耳にそもそも入らないように耳栓をする方がいいかもしれません。ただ、独り言は無視をしていると増える傾向があることをお忘れなく。

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自分の独り言を控えたい場合の対処法
独り言を言うのが癖になっていて、直したいと感じている人はいませんか? 独り言を控えたいと思ったときの対処法についても、吉野さんに教えていただきました。

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独り言を言ってしまう理由を自己分析をする
吉野さんによると、独り言は自分の内心が表れているものなんだそう。まずは、どうして自分はその独り言を言ってしまうのか分析することが大切です。

吉野さん
そもそも独り言とはその人の心の内を表すサインであり、シグナルである場合が多いです。原因について『なぜ』という問いをしっかり繰り返し、思いつくままに書き出すことにより、原因分析と対処法が見えてきます。ひとりで難しいときは、思考整理を心理カウンセラーとともに行いましょう。

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周囲の人へポジティブな言葉を発する
さらに、独り言の原因の1つである「承認欲求」を満たすため、周囲からポジティブな言葉をかけてもらえるように働きかけることも有効だと言います。そのためには、自分もほかの人に対してポジティブな言葉を発することが大切なんだそう。

吉野さん
独り言の大きな要因として、かまってほしい、認めてほしい、ということが挙げられます。そのため自分から積極的に周りとコミュニケーションをとることが大切ですが、ただとればいいというものではありません。
特に大切なのは、ポジティブな声掛けをしてもらうことです。そのためには、自分から周囲にポジティブに接すること。すると、相手も同じようにポジティブに返そうとする心理効果が働きます。その『返報性の法則』を利用し、自己肯定感を上げていきましょう。

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よくある質問
独り言について、よくある質問と回答をまとめました。
Q1. 独り言とはどういう意味ですか?
A.独り言とは、誰かに話しかける意図を持たず、自分自身に対して発する言葉のことです。思考や感情がふと口に出る、考えを整理するため声に出す、目の前の状況に対する感想を漏らすなど、さまざまな状況で起こります。
周囲に人がいない状況だけでなく、人がいても意識せずに発してしまうこともあります。内面の声が外に現れたものといえるでしょう。
Q2. 独り言の言い換え表現は?
A.独り言の言い換え表現は、状況やニュアンスによっていくつかあります。抜粋してご紹介します。
独り言の言い換え表現
・つぶやき: 小さな声で、内容も断片的であることが多いニュアンスです。
・内言(ないげん): 心の中で考えていることを表す言葉です。それが声に出たという意味合いで使われることもあります。
・喃語(なんご): 赤ちゃんが意味のない音を発する様子を指しますが、大人が独り言のように意味の不明瞭な言葉を発する様子を指すこともあります。
・独語(どくご): ドイツ語を指すほか、一般的な独り言の意味で使われることもあります。
・モノローグ:演劇や文学作品における一人語りのことで、登場人物の思考や感情を表現する手法です。
・独白:ひとりごとを言うこと。また、そのひとりごと。モノローグと同じ意味でもあります。
・私語(ささやき): 本来はひそひそ話すことを指しますが、小さな声で誰にともなく話す独り言に近いニュアンスで使われることもあります。
まとめ
- 独り言には、ストレス解消や思考と精神の統一、周りへのアピールなど、さまざまな目的がある
- コミュニケーションが不足していると独り言が多くなる傾向にあるが、集中力や記憶力の向上、精神の安定などメリットもある
- あまりにも独り言が多い人には声をかけたり、産業医に相談したりする。解決が難しいときは距離を取る
今回は独り言が多い人の特徴や理由、またメリットについて、カウンセラーの吉野麻衣子さんに解説していただきました。ネガティブなイメージがある独り言ですが…声に出すことで頭の中が整理され、問題解決の糸口が見つかったり、感情の波を鎮めたりする効果も期待できます。周りに配慮しながら、ときには自分との対話を通じて精神的なバランスを保つといいですね。
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心理カウンセラー
吉野麻衣子(よしの まいこ)
「SMART BRIDAL」代表/婚活心理カウンセラー、モデル/「MBA(経営学)・心理学・AI・オンライン」を融合させた戦略的婚活の可能な結婚相談所を経営。
43歳で14歳年下男子と再婚。MBAと心理カウンセラーの資格をもち、さまざまな企業で経営側に立って部下を指導するかたわら、多くの婚活&キャリア指導の経験を活かし、女性の婚活を支援中。
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