【類義語1】心を鬼にする
「心を鬼にする(こころをおににする)」とは、かわいそうだと思いながらも厳しく接するという意味です。本当は優しく接したいけれども、それでは相手のためにならないため、あえて厳しくするという状況を表しています。
愛する者に対し、本当の気持ちとは反対の行動をするという点で、「泣いて馬謖を斬る」と似ている言葉です。しかし、「心を鬼にする」はあくまで相手のためを思ってする行動であるのに対し、泣いて馬謖を斬るは規律のための行動であるという点で異なります。
例文は以下の通りです。
・子どもは自分の手元で大切に育てたいという気持ちもあるが、【心を鬼にして】厳しい経験をさせる方が、結局は子どものためになる
【類義語2】可愛い子には旅をさせよ
「可愛い子には旅をさせよ(かわいいこにはたびをさせよ)」は、 自分の子供が可愛いと思うならば、楽をさせるよりも旅に出て厳しい経験をさせるべきという意味です。
現代では旅というと観光など楽しい印象がありますが、この場合の「旅」は親から離れるという意味合いで、一人で世の中の辛く苦しい経験をすることが成長につながることを表しています。
ある目的のために気持ちとは反対の行動をするという点で、「泣いて馬謖を斬る」と共通する部分があります。ただし、「可愛い子には旅をさせよ」は「子ども自身のため」、「泣いて馬謖を斬る」は「規則のため」という大きな違いがあります。
例文を紹介しましょう。
・彼にすぐに肩書きをつけることもできたが、【可愛い子には旅をさせよ】という言葉もあるように、平社員からスタートさせることにした
【類義語3】獅子の子落とし
「獅子の子落とし(ししのこおとし)」とは、自分の子供にあえて厳しい試練を与え、力を試すことで一人前にするという意味です。獅子は、生まれた子を深い谷へ投げ落とし、這い上がってきたものだけを育てるという言い伝えがあり、中国から伝わった言葉とされています。
可愛い者に試練を課すという点で、「泣いて馬謖を斬る」と似た言葉です。しかし、「獅子の子落とし」は子どもの能力を試すことが目的ですが、「泣いて馬謖を斬る」はあくまでも規律のためという違いがあります。
例文を見てみましょう。
・自分の子どもに大成してほしいと思うなら、甘やかすのではなく【獅子の子落とし】のように厳しく接することも必要だ
「泣いて馬謖を斬る」は組織の規律を表すもの
「泣いて馬謖を斬る」は規律を守るためには私情を捨て、たとえ愛する者であっても処罰するという意味です。組織の規律を表す言葉で、ビジネスやスポーツの場面でよく使われます。
私情を挟んでは組織の秩序を守れず、愛するものを処分してでも規則は守らなければならないということを伝えている言葉です。あえて気持ちとは反対に相手に対し厳しくするという意味合いでよく似た言葉も多く、一緒に覚えておくとよいでしょう。
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