【手取りとは】意味を確認
収入に関する言葉にはいろいろなものがありますが、「手取り」もその一つ。よく使われる言葉でもありますよね。しかし、手取りについて詳細な説明ができるという人は、意外と少ないかもしれません。
手取り以外だと、「給与」もよく使う言葉。どちらも同じことを表すと思われがちですが、意味はそれぞれ異なります。収入に関することは、何かしらの手続きや申請で尋ねられることがありますので、違いを知っておきましょう。
「手取り」とは? 意味を確認
「手取り」とは、給与などから税金その他を差し引いた金額のことを指します。つまり、実際に受け取れる金額のことですが、会社員だと、手取りの範囲で生活をするというのが一般的です。
「給与」とは何か
「給与」の意味も確認しておきましょう。給与とは、会社から支払われるお金すべてのこと。従業員は、労働の対価として給与を受け取ることになります。給与にあたるのは、基本給や各種手当、賞与などです。
また、現物支給された物があれば、それも給与とみなします。例えば、自社の新製品を賞与扱いで受け取った場合は、それも給与に含まれるということです。
「所得」も知っておこう
公的申請や金融商品の契約時によく尋ねられるのが「所得」です。給与の年間合計収入から、「給与所得控除」を差し引いた金額のことを指します。「給与所得控除」とは、会社でいう「経費」のようなものと捉えると、イメージしやすいかもしれません。
通常、会社員には経費がありません。仕事に必要なものは、基本的に会社が用意していますよね。個人事業主のように、自分で仕事用のパソコンを用意するということはないはずです。
しかし、仕事用としてスーツやビジネスシューズ、靴下、通勤用カバンなどは、自分で購入します。人によっては、スケジュール帳やペンなども、自己負担しているかもしれません。そのことを考慮し、一定の金額を必要経費として認めようというのが「給与所得控除」になります。給与所得控除は、法律で収入金額ごとに定められた一定の金額が差し引かれます。
【手取り】どのように計算する?
手取りについて紹介しましたが、手取りはどのように計算するのかも見ていきましょう。
「手取り」はこのように計算する
繰り返しになりますが、手取りは、給与から税金や社会保険料を差し引いたもの。手取りは次のように計算します。
給与−(税金+社会保険料+その他)=手取り
税金や社会保険料は、扶養人数や住んでいる自治体により異なります。そのため、同じ給与額であっても、誰かとまったく同じ手取り額になることはほとんどないでしょう。手取りは、給与の75~85%程度になることが多いとされますが、これも個人により異なります。
【手取り】給与で支給されるお金を説明
ここからは、給与で支給されるお金の内訳について見ていきましょう。さまざまな項目がありますが、代表的なものをピックアップして紹介します。
基本給
給与の基本となるのが、「基本給」です。諸手当を除いた、基本的な賃金部分であり、「本俸」や「本給」という言い方をすることもあります。
賞与は、この基本給をもとに算出し、毎月の給与とは別に支給されます。多くの場合、業績に応じて、基本給×○か月分として年に数回、支給されます。
時間外手当(残業代)
会社が定めている労働時間を超えて勤務をした場合や、法廷労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて勤務をした場合に、加算で支給されるお金のこと。法定労働時間を超過したり、休日や深夜に出勤したりした場合、通常の賃金よりも割り増しした金額を支払うのが一般的です。
資格手当
会社が定めた資格を保有している人に対して支給されるもので、金額は資格により異なります。対象となる資格や支給金額、支給時期などは、それぞれの会社で決めることがほとんどです。
役職手当
マネジメントをする役職者に対して支給される手当です。役職ごとに定められた金額が支給されます。
通勤手当
通勤で発生する交通費のこと。かかった分全額を支給する会社もあれば、あらかじめ上限額を定めている会社もあります。また、徒歩や自転車通勤、自動車通勤をする従業員に対しても、会社が定めた算出方法に沿い、一定額を支給するのが一般的です。
住宅手当
住宅にかかる費用を補助するために、支給されます。家賃補助や住宅ローン補助が多いでしょう。
家族手当
配偶者や子供など、扶養しなければならない家族がいる社員に対して、一定額が支給されます。
そのほかの手当
上記以外にも、健康への意識向上を目的に支給される「健康増進手当」、在宅勤務の補助をする「テレワーク手当(在宅勤務手当)」など、さまざまな手当てが存在します。
「時間外手当」「深夜残業手当」「休日出勤手当」は、労働基準法で支給することが定められていますが、それ以外の手当は、会社が独自で定めたもの。そのため、各種手当の内容は会社ごとで異なります。
【手取り】給与で控除されるお金を説明
給与から税金や社会保険料が差し引かれ、手取りとして手元に入りますが、その差し引かれる内容についても見ていきましょう。なお、税金や社会保険料を給与から差し引くことを、「控除(こうじょ)」といいます。
社会保険料
以下、給与から控除される社会保険料の一例です。
・健康保険料
・厚生年金保険料
・介護保険料
介護保険料については、40歳以上の人が対象になるため、それ以前の負担はありません。
税金
給与から控除される税金には、次のものがあります。
・所得税
・住民税
新卒1年目の場合、住民税の天引きはありません。住民税は前年の所得に対して課税されるからです。新卒1年目の所得に対してかかる住民税は、新卒2年目から給与天引きされるのが一般的です。
手取りと給与の違い、しっかり把握を
毎月の生活設計を考える際、給与の金額をベースにして考えると、ずれが生じてしまいます。手元に入る金額は給与より少ないため、計画通りにしているのに、お金が足りなくなるということも…。生活設計は、手取り額をベースに考えるのがおすすめです。手取りベースだと、比較的計画をスムーズに進めることができるでしょう。
おわりに
給与から税金や社会保険料を控除したのが、「手取り」です。生活設計については、手取りをベースに考えるといいですね。収入に関連する言葉はたくさんありますが、少しずつ意味が異なります。それぞれの違いを把握しておき、適切に使えるようにしましょう。
益田瑛己子
ライター・キャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー。金融機関の営業職として長年勤務し、現在はライター(ブック・Web)として活動中。3人の子供が自立し、仕事と趣味を謳歌している。
ライター所属:京都メディアライン
あわせて読みたい