「空気を読む」との違い
「TPOをわきまえる」と似た意味の言葉として近年よく使われるのが「空気を読む」です。その場の雰囲気や状況を判断して、適切な言動を取ることを指します。
「空気を読む」はその場の雰囲気から状況を推察するという意味合いが強いため、時・場所・場面にふさわしい服装や言動が決まっているTPOとはややニュアンスが異なるといえるでしょう。
ただし「空気を読む」ことには、周囲とのコミュニケーションを円滑にしたり、先回りして進行をスムーズにしたりするといったメリットがあります。社会人として身につけておきたいスキルの一つです。
TPOの類似表現を紹介
TPOには「空気を読む」のほかにも、類似する表現があります。主にビジネスシーンで多用される言葉について解説します。
臨機応変
時や状況に応じて適切な手段を取ったり、対処したりすることを臨機応変といいます。「柔軟」「フレキシブル」とも言い換えられ、突発的な事態やトラブルに対してよく使われる言葉です。
たとえば、交通機関の遅延で営業先との約束に遅れそうなとき。以下のような対応が「臨機応変」といえるでしょう。
・先方に電話して事情を説明する
・ほかの交通手段はないか検索する
・上司に連絡して指示を仰ぐ
臨機応変とはこうした事態にも慌てず、冷静に対策を考え、実行できるスキルの一つです。その場に応じた言動のことなので、どちらかといえば「空気を読む」に近い表現といえるでしょう。
ドレスコード
ドレスコードは直訳すると「服装規定」という意味です。特にパーティーや高級レストラン・ホテル・冠婚葬祭で重視されます。ドレスコードに即していれば、その場にふさわしい服装、TPOをわきまえているといえるでしょう。
フォーマル・セミフォーマル・インフォーマルの「フォーマル」は礼装とも呼ばれ、主に結婚式・披露宴・式典・格式の高いパーティーなどで着用します。
ホテルやレストランでの食事会やパーティーだと「カジュアル」でも可としている場合もあります。カジュアルには、フォーマルに近いスマートエレガンスから気軽なスマートカジュアルまで種類があり、会場や内容の格式に合わせて選ぶのが基本です。
マナー
マナーとは態度や礼儀作法全般のことです。主にビジネスや、冠婚葬祭・食事などの場面で望ましいとされる振る舞いや決まりを指します。「ルール」ほどの強制力や罰則はありませんが、双方が気持ちよく過ごすためにマナーは不可欠です。
時・場所・場面にふさわしい服装や言動をするというTPOも、マナーの一つです。同列に考えられることが多く、「TPOを守るのは社会人としてのマナー」のように使われます。
ビジネスシーンで意識したいTPO
ビジネスシーンでは特に、TPOを意識する必要があります。自社の名前を背負っているという自覚を持ち、服装や言動を振り返ってみましょう。
身だしなみ
ビジネスシーンでのTPOは、職種や会社の規定に合わせるのが基本です。長い髪はまとめて顔にかかりすぎないようにしたり、明るすぎるヘアカラーや派手なヘアアクセサリーを不可としたりする会社もあります。
ただし、美容業界やアパレル業界など、華やかなパーマやヘアカラーが許可される場合もあり、規定は業界や会社によってさまざまです。
濃いメイクは控えるべきですが、品のよさや清潔感を意識して、自然なメイクをするのがよいとされています。また、業務に支障をきたすようなデザインのネイルや香りの強い香水もビジネスシーンには不向きでしょう。
服装
近年では、制服のない会社や「服装は自由」としている会社が増えています。しかし、だからといって何でもよいわけではありません。わからない場合はベーシックに徹し、周囲がどのような服装をしているか徐々に押さえていったり、先輩に聞いたりするのがおすすめです。
好印象を得るためにも、ベルト・靴・バッグに傷や汚れがないか、靴はすり減っていないか、バッグはくたびれていないかなど、状態にも気を配るとよいでしょう。
言葉遣いや振る舞い
ビジネスシーンでは敬語の使い分けや声の大きさなど、その場や相手に合わせた言葉遣いが必須です。誤った敬語は相手に失礼になるばかりか、非常識と思われる恐れも。大きすぎる声を不快に感じる人もいるかもしれません。
また、公共の場での振る舞いも重要です。たとえば電車の中や高級レストランでの食事中にスマホが鳴りだしたら、自分が慌てるだけでは済まず、同行者や周囲の人にも迷惑をかけてしまいかねません。
自分の言動が、その場にいる人を不愉快にする可能性はないか想像し、配慮することが大切です。
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