「同じ言葉を繰り返す」考えられる原因とは?
同じ言葉を繰り返してしまうのは、なぜなのでしょうか。主に考えられる原因をみていきましょう。
自分の話に夢中になっている
嬉しいことがあったときや、理不尽な扱いをうけて怒りが湧いたとき、思わず誰かに話したい衝動にかられるときはありますよね。そんなときは大抵、自分の話に夢中になってしまいます。伝えたいことを何度も繰り返してしまうのは、相手に「この気持ちをわかってほしい!」という強い気持ちからでしょう。
例えば、「先週に部長は、書類は自分が処理するといったのに、今朝になって、私が処理できてないことを怒ってきた。先週、自分が処理するといったのに!」というように、ポイントが繰り返されることで、怒りが熱をもって伝わってきます。
ただし、自分の話に夢中で同じ言葉を何度も話す人は自己中心的とみなされる可能性もあるので、注意が必要です。
自分の中で使いやすい、または気に入っている言葉がある
自分の中で使いやすい、または言いやすい言葉は人それぞれあるでしょう。しかし、ふさわしくない場面でむやみやたらに使うと、違和感を与えかねません。いくら気に入っている言葉でも、状況に合わせて使い分けることが大切です。
「同じ言葉を繰り返す」心理とは?
どのような心理状態のとき、人は同じ言葉を繰り返すのでしょうか。それぞれの例を確認していきましょう。
相手に不安を感じている
例えば初対面や、信頼関係が築けていない相手に何かを頼んだり、伝言をする際に「あの人は、本当にわかってくれているのか」「この言葉の意味を、違うように捉えられていないだろうか」など疑わしい状態のときは、何度も繰り返してしまうことは考えられます。
店員さんに「この棚にある商品を持ってきてください。似ているけど去年発売されたあちらではなく、この棚にある商品です。この棚にあります」というように、念を押したいときに何度も同じ言葉を繰り返すケースも少なくないでしょう。
緊張している
大事な会議や面接の場で、何か質問されたとき。極度の緊張から話がうまく要約できない経験は、一度や二度あるのではないでしょうか。
例えば面接の場で「私の強みは忍耐力があるところです。営業の仕事で、何軒も断られてもめげずに訪問を続けました。強みは忍耐力があるところなので、あきらめずに前向きに取り組みました」のように同じ言葉を繰り返してしまうケース。一生懸命なことは伝わりますが、くどい印象を与えかねません。
相手ではなく、話に集中している
何度も同じ言葉を話すのは、話し手の意識が相手ではなく、自分の話している内容に集中している場合も。「誰に」話しているかよりも、「何を」話しているかだけに集中しているのでしょう。
この場合、相手からは「自己中心的だ」「話していても楽しくない」と捉えられかねませんので、注意が必要です。
「同じ言葉を繰り返す」回避方法と「同じ言葉を繰り返す」人への対処法
同じ言葉を繰り返すことが必ずしも悪いということではありませんが、お互い楽しい会話をするためには意識したいポイントといえます。また、身近に同じ言葉を繰り返す人がいる場合の対策も、それぞれみていきましょう。
改善のために心がけたいこと
まずは、自分で「同じ言葉を繰り返している」と認識することが大切です。その上で、要点をまとめて結論を先に話すこと。あとから、経緯や流れなどを説明する。それには事前準備をしっかりとすることが必要です。自分の気持ちや考えを、紙にまとめて書き出し、整理するのもよいでしょう。
対処法
同じ言葉を繰り返す人への対処法としては、以下の方法を提案します。
・「聞き流す」
根本的な解決にはなりませんが、繰り返される言葉を聞き流して、その場をやり過ごすのも一つの方法です。失礼な態度にならないように、顔をみながら適度に相槌をいれるとよいでしょう。
・「反復して復唱する」
「反復して復唱する」ことを、別の呼び方で「オウム返し」とも呼びます。オウム返しの本来の意味は、「他人の話したとおりに言い返すこと」です。マイナスな意味で使われることもありますが、必ずしもそうではありません。抑揚をつけたり、感情を込めることで「この人は、私の話を理解してくれている」と安心感を与えることもできるのです。
オウム返しは、営業向けの研修などでも、販売スキルの基礎の一つとして学ぶことがあります。「お客様の話に共感しています、寄り添っています」と印象付けるための、技術の一つとして紹介されることもあります。
ただし、過剰にやりすぎると「何も考えていない、ただ復唱しているだけの人」とみられるので、使い方には注意が必要です。
・「相手の話を要約する」
相手が自分の話に夢中になり、頭がいっぱいになっている状態のときは「つまり、こういうことだよね」とまとめてあげるのも。相手も、それ以上繰り返さずに「そうそう、それが言いたかった」と納得してくれるかもしれません。
「同じ言葉を繰り返す」表現技法
「同じ言葉を繰り返す」と同じ意味の言葉で、「反復法」という表現技法があります。「同じ、または類義の語句を繰り返す」意味です。文を強調したいときや、リズム感を出したいときに使われます。
例「落ち込んでいても仕方ない。前に前に進もう!」
最後に
自分が同じ言葉を繰り返してしまう場合でも、身近な人がその場合も、双方が気持ちよく会話できることが一番です。いくら話している内容がよくても、繰り返し同じ言葉を使っているために、マイナスイメージを与えて損をしているかもしれません。
「話し上手は聞き上手」という言葉があるように、相手の話を聞くことも会話では大切なポイント。気持ちのよい会話のために、このようなこともあるのだと、頭の片隅に置いてみてください。
監修
キャリアコーチ 菊池啓子(きくち・ひろこ)さん
2003年から企業研修トレーナー・人材育成コンサルタントとして活動。国家資格キャリアコンサルタント。研修登壇回数は年間100回を超え、これまでに5つの大学でキャリアデザインを教える。現在「社外上司」として多くのビジネスパーソンの悩みに寄りそい成長をサポート。趣味は出張先での御朱印集め。家族は夫と猫2匹。
Twitter:@lotus_kikuhime
ライター所属:京都メディアライン
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