社畜とは?
「社畜」という言葉を、どこかで聞いたことはありませんか? 「限界社畜」など、SNSやインターネットなどでこの言葉を目にする機会もあるかもしれません。
簡単にいうと、「社畜」とは家畜の様に会社に飼いならされた人のこと。「会社の家畜」を略した表現で、揶揄のニュアンスが強い言葉といえます。また、自分のことを「社畜」と呼ぶときは、大抵の場合、自虐的な意味で使われていることが多いようです。
辛い業務内容、サービス残業、休日出勤など、過酷な労働条件でも黙々と働き続けるというのが、代表的なイメージでしょう。
こう聞くと、「それは仕事熱心なだけなのでは?」という疑問の声も聞こえてきそうですね。しかし「社畜」と表現する場合、自分で望んで仕事をしているというよりは、会社に言われるがまま、思考停止して働き続けているというようなニュアンスが強いといえるでしょう。
安定した収入や仕事を手放すことへの恐れから、本当は辛いのに「社畜」状態になっている人もいるようです。
また、正社員に限らず、アルバイトであっても「社畜」と呼ばれることも。特に最近は人手不足などの影響によって、無理なシフトを強要され、長時間働かされているケースもあるよう。また、労働法をあまり知らない学生などをターゲットに、違法な条件で働かせる悪質なバイトなどもあるようです。
雇用形態に限らず、長時間労働や過酷な労働であまりに疲れ果てると、冷静に考えることすら難しくなってしまうでしょう。仕事を頑張りすぎるあまり、気づいたら「社畜」状態になっていたという方も、残念ながらいるようです。
社畜になりやすい人の特徴3選
ここからは、仕事にのめり込みすぎてしまう人によく見られる特徴を解説します。
1:真面目な人
学生時代、真面目に勉強していると、先生や親に褒めてもらったという経験がある方も多いのではないでしょうか? 社会人になってからも、真面目に仕事をしていると、周囲からの評価は得やすいかもしれません。しかしこのタイプの人は、知らず知らずのうちに過酷な状況で労働しているケースも。
与えられた仕事を真面目にこなそうとするあまり、自分のキャパシティを超えた仕事を抱え込んでしまうこともあるでしょう。こうして自分の限度を超えた業務量をこなし続けると、次第に思考が停止し、「社畜」状態になってしまうと考えられます。
2:自分より他人を優先する人
たとえば、友人や恋人と出かけたときに、行き先や食べるものなどを相手の意見にばかり合わせて決めてしまうという人は、要注意。他人を優先する気遣いや優しさが、裏目に出ていることもあるかもしれません。
このタイプの人は、仕事でも、上司や同僚、後輩たちに気を遣いすぎて、仕事を断れず、長時間労働でも我慢をしてしまうことが多いでしょう。
また、人から搾取しようとする「テイカータイプ」と呼ばれる人に目をつけられやすい傾向も。こういったタイプの人が経営者の企業の場合、悪質な環境の中で限界まで疲弊してしまうという人もいるようです。
3:不安になりやすい人
普段から心配事や、不安になることが多い人も挙げられます。というのも、「社畜」状態から抜け出そうとすると、何かを断ることや、場合によっては転職をするなど、少なからずアクションを起こす必要があります。
不安になりやすい人は、「この会社を退職しても、将来大丈夫なのだろうか?」「転職しても同じ様な目に遭うのでは?」などと不安が先行してしまい、なかなか動けなくなってしまうという傾向が見られるのです。
もちろん人間ですので、新しいことをしようとすると多少の不安はつきもの。しかし、極端に不安が強い人というのは、注意が必要でしょう。
社畜を英語で言うと?
「社畜」は英語でどのように表現できるでしょうか? 「社畜」に意味が似ている英語表現には、workaholicがあります。日本語でも、「ワーカホリック」と使われることがありますよね。「仕事中毒」というような意味のため、ポジティブな意味で使われることはあまりありません。
もちろん、働き方の文化は国によって違うため、そのまま英語で訳すというのは難しいもの。ただ、workaholicも、「健康や家庭を犠牲にしても、仕事をし続ける」というニュアンスを持つ言葉なので、社畜に似ている点もあります。
かっこいい言い方はある?
冒頭で述べたように「社畜」というと、自ら望んだわけではない無理な状況で働いているというような、ネガティブなイメージで使われる言葉。一方、より自発的に仕事熱心である人や状況を表す際に使われる言葉には、どのようなものが挙げられるでしょうか。
1:仕事人間
何よりも仕事を重要視し、優先させる人のことを「仕事人間」と表現することがあります。「彼は根っからの仕事人間だ」などと聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?
「仕事人間」の方が、「プロフェッショナル」というようなニュアンスを感じる方も多いかもしれません。言い方によって、かなり印象が変わってきますね。
2:仕事一筋
たとえば、仕事を人生の軸にしてきたというときに、「仕事一筋」などといわれるようです。「長年仕事一筋でしたから」などと自分で言うこともあれば、「あの人は、仕事一筋でやってきたからね」などと人から言われることも。
「仕事人間」に似ていますが、「仕事一筋」というとプライベートの時間をあまりとらず、仕事だけに専念してきたという印象を与えるでしょう。
3:働き者
「働き者」は、「仕事人間」や「仕事一筋」に比べると、自分で言うケースはあまりないかもしれません。たとえば、仕事をがんばっている友人に、「働き者だね」などと声をかけるイメージで使われることが多い言葉です。
同じような状況で、「社畜だね」などと言ってしまったら、大変なことに。働き者は、角の立ちにくい表現です。とはいえ、目上の人には使わない方がよいでしょう。
最後に
この記事では、「社畜」の意味や「社畜」になりやすい人の特徴に加え、英語表現や、よりポジティブに使われる別の表現などを解説しました。最近では働き方改革など、働きすぎを改善していこうという動きもありますが、まだまだ過酷な環境の中で働いている人は少なくないでしょう。「最近仕事をがんばりすぎているかも」という人は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
執筆
塚原社会保険労務士事務所代表 塚原美彩(つかはら・みさ)
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。
ライター所属:京都メディアライン
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