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2023.10.23

「アセット」とは? 業界ごとに異なる意味やビジネス用語を解説

「アセット」という言葉を見聞きしたことはありますか?「アセット」には、役に立つ資源や人・利点など、さまざまな意味がありますが、業界によって捉え方に違いがあります。正しい意味とアセットを使ったビジネス用語を解説します。

いまさら聞けないアセットとは?

ビジネスシーンでしばしば使われている「アセット」という言葉。今回は、アセットの正しい意味や、類似する言葉との違いを解説します。

キャッシュフロー表

主に「資産」「財産」という意味

アセットの語源は、英語の「asset」で、日本語に訳すと「成功・目的達成・問題解決に役に立つ人やもの・資源・利点」「貴重品や価値のあるもの」「資産・財産」などの意味があります。このうち、ビジネスシーンでは「資産・財産」という意味で使われるケースが大半です。

ビジネスでいう「資産・財産」とは、金銭や株式などの有価証券、不動産といった有形資産や、知識や技術などの無形資産を指しています。

つまり、ビジネス用語としてのアセットは「個人や企業が保有する換金性のある資産・財産」のことであり、「現在から将来にわたって活用することで収益をもたらす価値のあるもの」という意味で使われています。

アセットとリソースとの違い

アセットと混同しやすい言葉に、「リソース」があります。リソース(resource)は日本語に訳すと、「供給源」「資源・手段」という意味です。ビジネスシーンにおいては、業務において必要な経営資源全般をリソースと呼び、人・もの・お金を指しています。

アセットが、所有しているだけで価値のある資産・財産を指しているのに対し、活用して初めてその価値を生み出す資源(人・もの・お金)を意味しているのがリソースです。

労働力・資材や業務運営にかかる経費のように、「事業活動において消費されるものかどうか」という点から判断し、使い分けましょう。

各業界におけるアセットの意味

資産や財産という意味を含むアセットですが、業界によって意味は異なります。各業界において、アセットという言葉がどのような意味で使われているのか紹介します。

 見開いたノートに書かれた、財務会計ビジネス マーケティング利益収益貿易の概念

経済・金融業界におけるアセット

アセットという言葉がよく使われるのは経済・金融業界で、金銭や有価証券・不動産といった経済的価値のある資産を表します。

経済・金融業界では、非上場企業の未公開株式プライベートエクイティや、先物取引・オプション取引といった、株式や債券などの金融商品から派生した金融取引であるデリバティブなどもアセットと呼びます。

ただし、アセットという言葉のみで使用するケースはあまり多くありません。資産を保有する機関「アセットオーナー」や、投資対象となる資産の種類「アセットクラス」などのように使われるのがほとんどです。

IT業界におけるアセット

IT業界では、情報システムやデジタルデータなどをまとめて、ITアセットもしくはデジタルアセットと呼びます。

具体的には、情報機器やソフトウェア・ライセンス・サービス契約といった情報システムを構成するものです。デジタルで記録された文書や、画像データ・音源・イラストなどの素材全般が、ITアセット・デジタルアセットに該当します。

ほかには、セキュリティシステムの一つであるブロックチェーンを用いて運用されている仮想通貨も、ITアセット・デジタルアセットに含まれます。

Web広告業界におけるアセット

Web広告業界におけるアセットは、企業がビジネスを行う上で所有している、さまざまなデータベースや情報のことです。

アセットを活用することで、過去に関連性の高い検索を行った消費者に広告を表示したり、自社サイトに訪れた消費者に繰り返し広告を表示したりできます。より効率的に商品・サービスを訴求するために欠かせないのが、Web広告業界におけるアセットといえます。

アセットを使ったビジネス用語

アセットを用いた言葉は、ビジネスシーンの会話においてよく出てきます。具体的なビジネス用語と、適切に使うための例文を紹介します。

カラフルな円グラフを持った手元 

アセットアロケーション

アロケーションとは英語の「allocation」のことで、割り当てや配分という意味があります。

つまり、アセットアロケーションとは「資産を配分して運用すること」という意味です。自分の資産を投資・運用する上で、現金・預貯金・有価証券・不動産など、どのようなものにどれくらいの割合で投資するかを決めることを指しています。

アセットアロケーションにより投資先を分散することで、投資リスクが分散できるほか、安定したリターンが確保されるのがメリットです。以下に、アセットを使用した例文を紹介します。

●リスクの許容度や期待するリターン、運用目的に応じたアセットアロケーションは、資産運用をするにあたって非常に重要である

ブランドアセット

ブランドアセットとは、企業や商品・サービスが持つ知名度やイメージなど、ブランドの付加価値・資産価値全体を指す言葉です。ブランドエクイティと呼ばれる場合もあります。

具体的には、ブランドの知名度や、イメージ・信頼性・ロイヤルティ・知的財産権などがブランドアセットに該当します。

基本的に、アセットは将来にわたって収益をもたらすのが前提となりますが、ブランドアセットにおいては、ネガティブなイメージも含めて総称されるのが特徴です。以下に、ブランドアセットを使用した例文を紹介します。

●ブランドアセットを確立することで、消費者に安心感や満足感を提供できるため、顧客の獲得や競合への優位性など自社にとっても好循環が生まれるだろう

アセットマネジメントとは?

アセットという言葉を見聞きすると、「アセットマネジメント」という単語を思い浮かべる人も少なくありません。しかし、アセットマネジメントという言葉は、業界ごとに異なる意味で用いられている場合があります。

金融業界のアセットマネジメント

金融業界においてのアセットとは、金銭・有価証券・不動産のほか、プライベートエクイティやデリバティブのことです。個人や法人が保有する金融資産を、所有者に代わって管理・運用する業務をアセットマネジメントといいます。

リターンを獲得するためにアセットマネジメントの業務を行うことは、金融機関にとって重要な業務です。また、アセットマネジメントの業務に携わる人は、アセットマネジャーと呼ばれます。

公共事業のアセットマネジメント

水道・土木事業のような公共事業においても、アセットマネジメントという言葉が使われます。

水道・道路・公共の建造物といった社会インフラを資産とみなし、損傷や劣化に備えた定期的なメンテナンスを行うことがアセットマネジメントです。

1980年代当時のアメリカでは、社会インフラの維持管理が十分に行き届いておらず、老朽化が深刻な問題になっていました。そこで、長期的に安全性の高い社会インフラを利用できるように管理する、アセットマネジメントの考え方が浸透したといわれています。

不動産業界のアセットマネジメント

不動産業界でのアセットマネジメントとは、個人や企業が保有する資産のうち、不動産に関する投資や運用管理代行業務のことをいいます。

業務内容は、投資用物件の取得に向けた情報提供や交渉・買付にはじまり、保有物件の改修や管理に関する資金運用、物件売却時の交渉の請け負い、所有者への利益還元など多岐にわたります。

不動産投資において高い運用成果を得るためにも、不動産のアセットマネジメントは重要度が高い業務の一つです。

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