【例文】
・あの部署がうまく回っているのは、係長が部長と部下たちの間でバッファーになっているからだ
・社交的で元気なAさんがバッファーとなって、部署の雰囲気が明るくなった
・両国の間で緊張が続いていたが、B国がバッファーとなり交渉したことで最悪の事態を免れた
ビジネスでの「バッファー」の必要性
なぜビジネスにおいて、バッファーが必要とされているのでしょうか。必要とされている主な理由を三つ紹介します。バッファーの必要性を押さえ、意識して仕事に取り入れるのも一つの方法かもしれません。
焦りによるミスの軽減に役立つ
スケジュールや時間に余裕がないと、気持ちに焦りが生まれミスをしてしまうなど、本来持っている実力を発揮できない場合があります。また、念入りに計画を立てても、思わぬ事態で時間が取られてしまうことも珍しくありません。
スケジュールや時間にバッファーを持たせることで、ミスを軽減し業務をスムーズに行うことにつながります。時間にゆとりがあることで焦らずに済むため、業務に集中できるようになったり、実力を存分に発揮できるようになったりするでしょう。
ただし、バッファーを持たせすぎると時間の無駄になってしまう恐れも。不測の事態に備えることは大切ですが、経験に基づいたデータ分析などを実施し、定期的にバッファーの適正化を図る必要があります。
臨機応変な対応ができる
バッファーがあれば、業務中のトラブルやイレギュラーな事態に臨機応変に対応できるでしょう。
ビジネスシーンでは計画通りに業務が進むように努めるものですが、一つの業務に複数の人が携わることが多く、何かしらの理由で物事がスムーズに運ばなくなってしまうことも珍しくありません。
また、作業を進めていくうちに、改善点や追加の業務などが明らかになり、変更する必要性が生まれるケースもあります。ビジネスにおいては、バッファーを有効活用して仕事の質や効率化を図ることも大切です。時間にゆとりがあることで、その時々で適切な対応ができるようになるのです。
結果的に業務効率化や品質維持につながる
バッファーがあることで、焦りによるミスの軽減やイレギュラーな対応が可能になり、結果的に業務の効率化につながります。安定性が高まることで、成果物の質の維持や向上も期待できるでしょう。
また、バッファーを持たせる意識で業務を計画・遂行すれば、通常よりも業務を早く完了させることも可能に。結果的に、定められた期日までに質の高い商品やサービスを提供できるため、信頼性や顧客満足度の向上にもつながります。
なお、バッファーは工程の最後に設け、一元管理することが重要なポイント。進捗状況を定期的に確認し、最適化を図ることが大切です。
「バッファー」業界別・場面別の意味
バッファーは、業界によって異なる意味で使われています。それぞれの業界・場面では、どのように使われているのでしょうか。
金融業界
金融業界では、資金的に余裕を持たせることをバッファーと表現します。たとえば、予期せぬ出来事が起こっても資金繰りに悪影響が及ばないように、自己資本に一定の割合で上乗せする資本を「資本バッファー」と呼びます。その他にも「資本保全バッファー」「資本バッファー比率」という用語があります。
IT業界
IT業界でのバッファーは「保存領域」という意味で用いられています。パソコンなどでデータの受け渡しをする際の、一時的な保存領域という意味です。
たとえば、パソコンで書類を印刷するときは、異なる機種間で処理速度の差が生じます。処理速度の差を補うために、保存領域にデータが保存されるのです。
また、「バッファーオーバーフロー」というプログラミング用語もあります。パソコンのメモリの緩衝領域(バッファーー)よりも大きいデータが送られることで発生する問題のことです。
動画再生で「バッファー」を使うことも
動画のストリーミング再生で、バッファー(バッファリング)が使われる場合も。動画に関して使う際は、「バッファ」と表記されることが多い傾向にあります。
ストリーミング再生は、映像データなどを受信しつつ再生する方法で、すぐに再生できることが利点です。動画を再生する際にあらかじめバッファー領域に映像データを保存しておくことで、動画が途切れ途切れになるのを防げ、ストレスフリーな映像配信が期待できます。「バッファ時間」という、バッファー領域に動画を保存するためにかかる時間を指す用語もあります。
データの蓄積が再生に追いつかなくなって再生が一時停止する現象は、「リバッファ(リバッファリング)」です。動画を再生中にバッファが発生し、画面の中央がグルグルと回って止まってしまうという経験をした人も少なくないでしょう。
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