自己肯定感とは? 自己肯定感を高めるメリットは?
「自己肯定感」とは、「ありのままの自分を認めて大切に思える」感覚のこと。よい人生を送るために必要になる、根源的な力ともいえます。自己肯定感を高めることで得られるメリットや、自他ともに自己肯定感を高めるためのポイントを、5万人のキャリアサポート実績を持つキャリアコーチの菊池啓子さんに伺いました。
「自己肯定感とは、ありのままの自分を肯定し、よいことも悪いこともすべて含めて『これが自分なんだ』と受けとめられること。『どんなことでも何とかなるし、自分には幸せになる価値がある』と思え、自分自身を肯定的に、そして好意的に受け止めることができる心の状態です。へこんでも立ち直れる柔軟性があり、いやな気持ちになっても受け止めることができるので、精神状態も安定しています」(キャリアコーチ・菊池啓子さん)
自己肯定感が高いと、自分らしく生きることが可能になりますね。ただ、そんな中にも、自己肯定感が高くて少し周囲に配慮が足りない人っていませんか?
「『ありのままの自分を肯定する』というと、『わがまま』『身勝手』『向上心がない』というネガティブなとらえ方をする人もいます。実は、他人や周囲を尊重しない、身勝手な思考や行動をする人は、自己肯定感が低い状態。自分自身を肯定できていないので、余裕がなく我を通したくなるのです。
本当の意味で自己肯定感が高い人は、ネガティブな状態も受け止められます。ものごとを肯定的にとらえ、周囲の人の存在も尊重することができるのです。また、自己肯定感が高いと、自分に対して期待を持てるので、妥協したり傲慢になることはなく、どんな自分であっても受け入れながら、成長意欲をもって前進することができます。」(菊池さん)
自己肯定感を高めることは、感情の安定や人間関係の構築、そして豊かな人生の実現につながりますね。自分自身を信じて肯定することで、人生がより充実したものになると言えるでしょう。
自己肯定感を高める5つのセルフケア
自己肯定感を高めるために有効なセルフケアがあります。日常でぜひ、実践してみてください。
1:「ポジティブな3分」のモーニングルーティンを持つ
朝のコンディションが、その日1日を決めます。3分でいいので、「自分のためのいい時間」を持ちましょう。お気に入りのコーヒーやお茶を楽しむ、簡単にできるストレッチをひとつする、通勤途中に目を閉じて好きな音楽を聴く。自己肯定感を高めるための言葉や名言などを集めた本を1ページだけ読むのも有効です。忙しい中でも「自分のことを最優先する3分間」を作ることが、自己肯定感を高めることにつながります。
2:「反省」をしない振り返り
定期的に自分の行動を振り返りましょう。項目は、「取り組んだこと」「新たな知識を得たこと」「できたこと」「気づいたこと」「もっと良くなるためのアイデア」「感謝すること」の6点。「新しいレシピを試した」「駅で階段を使った」「スマホの新しい機能を知った」というような日常の些細なことでOKです。
振り返りをすると、ついできなかったことに目がいきがちですが、「反省」をする必要は全くありません! 自分にダメ出しばかりをしていると、自己肯定感は低くなります。ダメ出しをしている時間があるのなら、「もっとよくなるためのアイデア」に焦点を当てていきましょう。
3:自分へのご褒美
自分自身をちゃんと労い、ご褒美の習慣を持ちましょう! 実は、「成果が出たときのブランドバッグ」のような大きなご褒美よりも、「クレーム処理がうまくいったからお気に入りのチョコレート」のような、ちょこちょこご褒美のほうが効果的。自分への感謝の気持ちや労いの気持ちをしっかり表現することで、自己肯定感を高めることができます。
4:友人との時間を持つ
気の置けない友人と過ごす時間は、ありのままの自分を出し、周囲から肯定される体験です。また、「良好な関係を作ることができる自分」「いざとなったら頼れる人がいる自分」ということを実感することで、自己肯定感が上がります。
5:積極的に「感謝」の気持ちを持つ
些細なことでも感謝の気持ちを持ち、表現することで、気持ちが安定し、物事をポジティブに捉えることができます。「すみません」が口癖になっている人は、「ありがとう」に変換をしましょう。感謝の表現は、自分も他人も同時に肯定することにつながります。
他人の自己肯定感を高めるには、どのような関わりをするとよい?
子供や部下の育成に関与する人々は、他人の自己肯定感を育む役割が求められます。これは、「自分らしく在ることが許され、大切だ」と感じられる経験を頻繁に提供することにより実現されます。それが自己尊重感の形成につながり、人間としての成長や発展を促す重要な要素となります。
自己肯定感を高めるためのポイントは次の3点です。
1:受容と尊重
どんなに近しい関係であろうと、感覚や思考は違うもの。自分にとって「あり得ない」と感じることでも、相手の個性や意見を受け止め、尊重します。反論などがある場合は、まず「あなたは〇〇なんですね」と相手が言った通りのことをオウム返しに伝え、一呼吸置いた後に、自分の意見や思いを伝えましょう。
相手が自分自身を受け入れられる環境を提供し、安心感を持たせることで自己肯定感を高めます。
2:共感とサポートの提示
子供や部下の感情や経験に共感し、相手が抱える課題や悩みに対して、サポートすることができると伝えます。ちなみに「共感」とは、「相手がどう感じたのかがわかる」ということ。同意や同感ができないことでも、相手の気持ちをそのまま言葉で伝えます。
「そんな気持ちになったんですね」「私はこのようなサポートができますよ」と伝えてみましょう。「自分自身は理解されている」「支えてもらえる」と思えることで、自己肯定感が高まります。
3:評価と承認
子供や部下の成果や努力を積極的に見出し、肯定的なフィードバックを与えます。達成した目標や困難を乗り越えた努力を見ているということを伝え、相手の自信を育みましょう。また、褒めるだけではなく、時には課題や改善点の指摘も必要です。適切なフィードバックや助言を通じて成長の機会を提供しましょう。
おわりに
自己肯定感を高める第一歩は、自分自身を大切に扱うこと。周囲に向けている労りや、やさしさを、まずは自分に向けてみてくださいね。
監修
キャリアコーチ 菊池啓子(きくち・ひろこ)さん
2003年から企業研修トレーナー・人材育成コンサルタントとして活動。国家資格キャリアコンサルタント。研修登壇回数は年間100回を超え、これまでに5つの大学でキャリアデザインを教える。現在「社外上司」として多くのビジネスパーソンの悩みに寄りそい成長をサポート。趣味は出張先での御朱印集め。家族は夫と猫2匹。
Twitter:@lotus_kikuhime
ライター所属:京都メディアライン
あわせて読みたい