決算とは何か、基本的事項を紹介
決算の時期が近づくと、経理課などから、経費精算や請求書提出についての案内があるでしょう。通常よりも早く経費申請をしなければならないなど、何かとバタバタしがちですが、決算とは何をするのか、決算の時期は決まっているのかなど、疑問に思うことはありませんか?
企業にとって、決算は最重要業務の一つ。法律により義務付けられているため、決算をしない企業はありません。まずは決算の基本的なことを見ていきましょう。
決算とは、経営成績と財政状態を明らかにすること
決算とは、一会計期間の経営成績と期末の財政状態とを明らかにするために行う手続きのこと。企業だけでなく、国や地方公共団体、一般社団法人などの団体も、決算を行うことが義務付けられています。
決算にはいろんな種類がある
決算にはいろいろな種類があり、行う時期ごとに名称があります。
本決算(ほんけっさん):期末に行う決算
中間決算(ちゅうかんけっさん):期間のちょうど半分の時期に行う決算
四半期決算(しはんきけっさん):期間を4つに分けて行う決算
本決算はどの企業も必ず行いますが、中間決算や四半期決算については、企業の任意とされているため、行わない企業もあります。
ただし、金融商品取引法の対象になる企業は、四半期決算を行い、報告書を提出することが義務付けられています。
決算業務は何をする?
決算で行われる業務についても知っておきましょう。一般的には、次のような流れで決算を行います。
1:該当期間内に生じた経費や売上などを、帳簿に記録し確定させる
2:資産や負債の実数をカウントし、残高を確認
3:決算整理仕訳
4:決算書を作成する
5:株主総会などで提示し、承認を受ける
6:決算書をもとにして、法人税などの申告書類を作成し、提出する
決算に必要な書類とは?
決算業務では、さまざまな書類を作成します。どのような書類を作成するかは企業ごとに異なりますが、代表的なのは以下のものです。
・損益計算書(経営成績を示したもの)
・貸借対照表(決算日においての財政状態を示したもの)
・キャッシュフロー計算書(現金や預金などの動きを示したもの)
上記は、財務三表と呼ばれており、特に重要とされる書類です。
決算の時期は、9月・12月・3月が当たり前?
決算というと、9月や12月、3月をイメージする人も多いでしょう。特に本決算は、3月が多いように思いますよね。
決算の時期に決まりのようなものはあるのでしょうか?
決算の時期は、企業の任意で決めてOK
決算の時期については決まりがなく、企業が自由に設定すればよいとされています。そのため、決算の時期は企業ごとで異なります。
本決算の時期で多いのは、12月もしくは3月でしょう。12月を本決算にすると、海外企業と同じタイミングで決算を行うことができ、それをメリットと考える企業もあります。
3月については、年度の終わりであることや、公的機関と決算月を合わせるためという企業が多いかもしれません。また、税法改正されることが多い4月の前に決算をする方が、負担が軽いという理由もあるでしょう。
また、9月を本決算にする企業もありますが、これは繁忙期を避けられるという理由が多いかもしれません。年末の12月や年度末の3月は、何かと業務が多忙になりがち。それを見越して、閑散期に本決算をする企業もあります。
個人事業主は決算の時期が決まっている
個人事業主も決算を行いますが、個人事業主の一会計期間は、1月1日から12月31日と決められています。これは確定申告をするためで、決算の時期を変更することはできません。
参照:クラウド会計ソフト マネーフォワード|決算とは?行う理由や時期、業務の流れ、必要書類について解説!
決算の時期、あとから変更できる?
一度定めた決算の時期を、あとから変更することは可能です。決算の時期を変更するにはどうすればよいか、見ていきましょう。
決算の時期変更、どんな手続きをする?
決算の時期を変更する場合、次のように手続きを行います。
【手順1】定款の変更
決算時期の変更をするには、定款で定めた事業年度を変える必要があります。株式会社の場合は、株主総会の特別決議を得なければなりません。
【手順2】異動届などを準備し、関係機関に提出
決算の時期を変更した定款、株主総会の議事録、届出書などを関係機関に提出します。提出先は、管轄の税務署、市役所などの自治体、都道府県税事務所などです。
なお、必要書類や提出先については、事前に問い合わせ、正しい情報を得ておきましょう。
手続きは、煩雑になりがち
実際の決算時期の変更手続きは、煩雑になることがほとんどです。また、決算の時期を変更するということは、事業の年度が変わるということ。この変更に付随して発生する社内業務は多く、かなりの負担を伴うことになるでしょう。
そのため、決算の時期を設定する場合は、あとから変更することがないようによく検討する必要があります。
決算の時期を変えるとどうなる?
決算の時期を変更すると、どのような変化が生じるか、事前に把握しておきたいところ。デメリットになりやすいことも含め、確認していきましょう。
資金繰りや業務の改善につながることも
決算の時期を変えると、それが資金繰りや業務の改善につながることがあります。たとえば、事業を進めるうちに決算月が繁忙期と重なってしまい、社内の事務負担が過度になったというケースであれば、得られるメリットは多いかもしれません。
決算の時期変更により生じる負担も
前述したように、決算の変更手続きは煩雑になるため、社内業務の負担は重くなります。これは大きなデメリットともいえますので、変更する時期は慎重に検討しなければなりません。
また、一会計期間は、1年を超えることができません。そのため、決算時期を変更した年は、1年以内に2回目の本決算を迎えることになります。通常よりも短期で決算業務をすることになり、その点でも社内事務への負担は大きいでしょう。
加えて、税理士への報酬や、各種税金の納付も前倒しで発生しますので、その点も注意が必要です。
参照:弥生株式会社【公式】 決算期とは?決め方や変更の方法などについて詳しく解説
最後に
12月や3月を決算時期とする企業は多いですが、どの時期に本決算をするかは、企業が自由に決めることができます。決算の時期を変更したい場合、所定の手続きをすることで変更できますが、手続きは煩雑になりがち。社内にもかなりの負担がかかります。決算の時期を決める場合は、さまざまな角度から検討し、慎重に決めることが望ましいでしょう。
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