「怠慢」とは?
「あのプロジェクトがうまくいかなかったのは、リーダーの怠慢のせいだ!」という愚痴だったり、はたまた「それは、あなたの怠慢じゃないんですか?」なんてキツい発言を受けた経験がある方もいるかもしれません。
「怠慢」と聞くと、怠けている様子のことだということは想像できますが、正しい意味はどんなものなのでしょうか? まずは、「怠慢」の詳しい意味を確認していきましょう。また怠けている様を表す言葉に「怠惰」がありますが、「怠慢」と「怠惰」の違いなどについても解説します。
「怠慢」の意味や読み方は?
「怠慢」は「たいまん」と読み、意味は「やるべき仕事や物事をやっていない状態や様子、または、おろそかにしていること」を表す言葉です。
さらに使われている漢字の意味を詳しく見ていくと、「怠」は「なまける」や「だるい」という意味で、心がゆるんでいる様子をいうもの。そして「慢」には「気持ちがゆるんでいること」や「だらだらとして進みが遅いこと」という意味があります。そのことから「怠慢」は「心に締まりがなく、だらけていること」を表す言葉になるのです。
「怠慢」と「怠惰」の違いは?
「怠慢」と似ている言葉に「怠惰(たいだ)」があります。「怠惰」の意味は「やるべきことを怠けて、だらしないこと」。「怠慢」も「怠惰」も怠けて業務や用事を怠ることを表す言葉です。
これらにはどんな違いがあるのでしょうか? それは一般的に「怠慢」は、ある仕事や業務など、具体的にやるべきことがある場合、それをやっていない際に用いられます。
一方で「怠惰」は、「怠惰な生活を送る」や「怠惰な性格」などというように、だらだらと過ごしているような生活態度や、怠け癖のある人の性質をいう場合に使う表現です。
「怠慢」と「タイマン」の違いは?
「怠慢」と同じ読み方の「タイマン」。「タイマン勝負」や「タイマンを張る」などといいますが、これは「怠け勝負」や「怠けの張り合い」という意味ではありません。「そんなことわかっている!」という方が、ほとんだと思いますが「タイマン」の意味も見てみましょう。
「タイマン」は「1対1でする喧嘩や戦い」のこと。主に不良の少年少女が使う言葉でした。なぜ「タイマン」というのかというと、英語で「1対1」を意味する「man-to-man」から由来すると考えられています。「タイマン」は、第3者を介入させずに、「1対1で正々堂々と勝負する」などの意味合いで使われることが多いでしょう。
ちなみに、日本では「man-to-man」というと、「マンツーマンレッスン」などのように、「1対1の対面で」といった意味合いで使われることがあります。しかし英語で「man-to-man」は「率直に」や「正直に」という意味。「腹を割って話す」という意味で「man-to-man talk」などという言い回しをします。
そのため、1対1のことを「マンツーマン」というと、通じないことも。もし、1対1をいう場合は、「one-on-one」と表現することが多いので、覚えておくと役に立つかもしれません。
「怠慢」の使い方を例文でチェック
では実際にビジネスシーンや日常生活で「怠慢」の使い方を例文でチェックしていきましょう。
1:「やるべきことをわかっているのに、やらないのは職務怠慢だ」
「職務怠慢」とは、仕事や業務などのやるべきことを怠けてやらないということ。寝坊での遅刻や欠勤なども「職務怠慢」といえ、解雇の理由にもなり得ます。
2:「最近のあの人は怠慢が過ぎる」
「怠慢が過ぎる」とは「ひどく怠けていること」。怠けている人の態度が、黙って見ていられないほど酷い、という場合に使うことができます。
「怠慢」の類語・言い換え表現とは?
「怠慢」の類語・言い換え表現は「横着」・「無精」・「骨惜しみ」があげられます。それぞれ言葉の意味を詳しく見ていきましょう。
1:「横着」
「横着」は「おうちゃく」と読み、「やるべきことをわざとやらずに怠けること」、「楽をしようとすること」をいいます。また「自分勝手でずうずうしいこと」を指す言葉です。
なぜ「横」と「着」という字で怠けることを表すのでしょうか? それは「横」は「枠からはみ出る様子」や「自分勝手」という意味で、「着」には「おさまる」や「その場所に落ち着く」という意味が含まれます。そのため「自分勝手なところに落ち着く」ということを表す言葉になります。
【例文】
・あの人の横着な仕事ぶりは変わらない
・チェックもしないで書類を提出するなんて横着者のすることだ
2:「無精」
「無精(ぶせい/ぶしょう)」は、「怠けて頑張らないこと」「めんどくさがること」。また身だしなみに無頓着なことをいいます。「無精」は「不精」とすることもあり、同じ意味です。
【例文】
・直接会ってお礼をいうべきだが無精して電話で済ませた
・彼はいつも同じ服を着ている無精者だ
3:「骨惜しみ」
「骨惜しみ」は、「苦量や努力するのを避けて怠けること」をいいます。
【例文】
・彼女は利益の少ない仕事は骨惜しみしてやらない
・彼女は骨惜しみせずによく働く
「怠慢」の対義語は「勤勉」
怠けることをいう「怠慢」に対して、反対の意味に当たる言葉は「勤勉」です。「勉強や仕事に一生懸命努力することやその様子」をいったものです。またそのような人のことを「勤勉な学生」「勤勉な人」などのように表します。
「怠慢」の英語表現は?
「怠慢」を英語で表現するには、業務を怠ることをいう場合は「negligence」。怠ける人をいう場合は「lazy」を使って表すことができます。
「negligence」
「negligence」「手抜き」や「義務を怠ること」という意味。「negligence of duty」ということで「職務怠慢」を表すことができます。
【例文】
・She was negligent of her duties. (彼女は職務怠慢だった)
「lazy」
「lazy」は、「怠慢な」や「のろのろとした」ことをいう形容詞。「ゆっくりとした」という意味で「a lazy river(ゆっくり流れる川)」などのように使う場合もありますが、人に対していう場合は、ネガティブな意味合いで使われることがほとんど。例えば「lazy person」で「怠け者」という意味になります。
【例文】
・What a lazy person.(何て怠慢な人何だ)
最後に
ほとんど同じ意味を持つ「怠慢」と「怠惰」は、使い分けることができます。「怠慢」は業務や仕事などやるべきことを怠ったとき、「怠惰」は、だらしない生活態度などに用いるという違いがある、ということがわかりました。さらに類語や英語表現なども理解しておくと、いざというときに役立つことでしょう。
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