人はどうして執着するの?
みなさんは、何かひとつのことに気を取られて、そのこと以外に考えられなくなったり離れられなくなったりした経験はありますか? その気持ちは、ひょっとすると「執着」と呼ばれるものかもしれません。
基本的にはマイナスにとらえられがちな執着心ですが、この気持ちを振り切って自身の糧にできることだってあるはずです。そこで本記事では、人はどんなことに執着するのか、そして執着しやすい人の特徴、執着心を手放す方法などについて紹介します。
「執着」の意味
一つのことに心をとらわれて、離れられなくなること。
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
一般的な読み方は「しゅうちゃく」ですが、「しゅうじゃく」と読む場合もあります。
執着は、人の心と深く結びついており、小説や映画などのテーマとして取り扱われることもしばしばあります。多くの場合、執着心はネガティブな心の働きとしてとらえられがちです。しかし、社会や他社との関わりの中で「自分」を見つめるうえでは、目を背けられない存在でもあります。
執着には、どのようなものがある?
執着といっても、物事や人など、対象はさまざまです。ここでは、その具体的な例をいくつか挙げてみます。人によって対象も程度も変わってくるものですが、みなさんにとって執着の対象となるものはどんなものなのでしょうか?
1:お金
金銭関係は、執着の対象になりやすいもの。お金があれば、大抵の悩み事は解決するともいわれています。反対に、極端に言ってしまえば、お金がなければ何もできないということにもなりかねません。このような精神的な不安から、常に「お金が欲しい」と思ったり「お金を失ってしまう」という欠乏感に陥ってしまったりすることがあります。その背景にあるのが、執着心です。
2:恋愛関係
恋人や好きな人に対して、執着することも少なくありません。「相手がどこで誰と何をしているか知らないと気が済まない」と相手を束縛したり、「別れを告げられたらどうしよう…」と情緒不安定になったりするケースが挙げられます。
3:食べ物
執着するのは、お金や人だけではなりません。執着は人間の欲望とも関係します。例えば食欲。常に食べ物のことを考え、食べることを基軸に生活しがちになるのです。
4:外見の美しさ
昨今、SNSや画像加工アプリの流行によって、ルッキズムが助長されている傾向にあります。その結果、過度なダイエットをして健康を損なう人が増えているのです。「美しくありたい」という思いは素晴らしいものですが、執着しすぎるとかえって自分の体と心を蝕んでしまいかねません。
執着してしまう人の特徴
執着してしまう人には、どのような特徴があるのでしょうか? この機会に、ぜひ自分自身を振り返ってみてください。
1:自分に自信がない
何かに執着してしまう人の特徴として、自分に自信がないという特徴が挙げられます。例えば、恋人や友人など特定の人に執着している場合は、その傾向が強いといえるでしょう。相手が自分を構ってくれるということが、自分の自信のなさを補強し、アイデンティティになっている場合があるためです。
その相手に去られてしまっては、自分の存在意義を認めてくれる人がいなくなってしまうと感じ、執着することがあります。
2:満たされない気持ちがある
毎日の生活が充実していないと、満たされない気持ちを埋めるために、何かに執着しやすいタイプの人も。例えば、食べ物への執着に当てはめて考えてみましょう。
特に熱中できる物事もなく、ただいたずらに時間を過ごしていると、なんだか寂しい気持ちになってきます。そんなときにおいしい食べ物を食べると、幸せな気持ちになりませんか? この気持ちをずっと味わっていたいという思いから、食に執着してしまうパターンなどがあるようです。
3:思い込みが激しい
思い込みが強い人も、執着もしやすい傾向があるといえます。一度自分が正しいと思ったら譲れなかったり、周りの意見を聞けなくなったりする強情な一面があるので、ひとつのことにこだわり続けてしまうのです。
執着心を手放す方法を紹介
ここまで、執着しやすい人の特徴の一例を見てきました。例に挙げたような執着心にとらわれて、困っている方も少なくないのではないでしょうか? そこで、最後に、執着心の手放し方について一緒に考えてみましょう。
1:感情をため込まない
執着しやすい人は、感情を表に出すことが苦手な人が多い傾向にあります。その結果、ため込んだ感情が爆発して負の執着につながるケースが多いのです。
なるべく、思ったことは素直に口に出してみる習慣をつけるようにしてみると、少しずつ改善されるかもしれません。
もちろん、何でもかんでも口に出してしまうと周りの人を傷つけてしまいかねないため、ある程度の線引きは必要です。口に出せないような感情は、日記などに書くのがおすすめ。自分の気持ちを言語化して、整理することもできます。
2:頼れる先を増やす
ひとつの人や物事に一直線になってしまうことから、執着することになります。それならば、気軽に話せる友達を数人つくる、推しをつくる、趣味を増やすなど、自分の気持ちを分散させられるようにするのも効果的です。
3:自分磨きをする
執着をしてしまう人の特徴として、自分に自信がないということを挙げました。改善するためには、自分磨きをして自信をつけるのが近道です。
バランスのとれた食事や、軽い運動をするだけでも健康的な心身に近づきます。サウナなどもおすすめ。発汗を促進し、代謝がよくなるだけでなく、気持ちもリフレッシュします。
最後に
執着を手放すには、自分と向き合うしかありません。自分が何に執着しているのか、どうして執着しているのかを知り、自分にあった方法で、少しずつ執着と適度な距離を保てるようになりたいものですね。
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